トム・マッカーシー監督『扉をたたく人』

数日前から映画を見る気が起きてきて毎日のように(気持ち的に笑)見るようになった。といってもレンタルDVDでだが。
見たい映画をメルマガなどから調べたりツタヤで探したりして借りている。
トム・マッカーシー監督「扉をたたく人」(2008)は最初4館のみで公開されていたのが、最終的に270館に拡大し6カ月間にわたってのロングランになったそうだ。それがうなづける内容の映画だった。

コネチカット州で大学教授をしているウォルターは妻を亡くしてから、仕事にも張りがなく気力のない生活をしている。ニューヨークで開かれる学会にやる気がないが行かざるを得なくて出かけいく。彼はニューヨークにアパートを持っている。
アパートに入ると、アフリカ系の若い女性ゼイナブ(セネガル人)がお風呂に入っていてびっくりする。アラブ系の男タレク(シリア人)がもどってきて、ふたりは知り合いの紹介でここを借りたという。彼らが静かに出て行くのをウォルターは追いかけて家が見つかるまで同居するようにいう。
タレクはジャンベ奏者で、彼の叩くジャンベの音にウォルターは惹かれていく。ライブにも行き、公園でたくさんの仲間で叩くときにはグループに入れてもらう。ゼイナブがアクセサリなど小物を作って売っているところにも行く。
すっかり明るくなったウォルターだが、地下鉄の改札口でもたついたときに、警察官たちに囲まれタレクは不法逮捕される。911以来、アラブ系の人間に厳しくなっており不法滞在であることがわかって拘置される。タレクの母が電話が通じないのを不安に思ってやってくる。ホテルへ行く彼女を引き止めて部屋を提供する。ふたりで拘置所に行くが母は面会できない。タレクの不安は増すばかり。拘置所の職員の対応がやりきれない。

初対面のゼイナブと3人で船でマンハッタン島をめぐるところもよかった。ふたりともおしゃれして「オペラ座の怪人」を見に行くところも、緊張が場面が続く中ちょっと気が休まった。静かに恋が進行していくところもよかった。
最後のシーン。タレクがあそこでジャンベを叩きたいと言っていた地下鉄のプラットホームのベンチに座ってウォルターがジャンベを取り出し叩き出す。