ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q 檻の中の女』(2)

5年前にさかのぼる。民主党副党首ミレーデ・ルンゴーは美貌と頭脳で記者たちに好かれていた。彼女は首相と彼の賛同者にも決して媚びないチャーミングな女性だった。夜は働かないことで了解を得ているミレーデは仕事が終わると家に車を走らせる。家政婦が食事の用意をしてある家に弟のウフェがテレビを見ながら待っている。障害をもつウフェはミレーデだけを頼りに生きている。21年前の自動車事故で両親が亡くなり、ウフェは内臓出血で5カ月入院した。脳の血管に出血があったためいまも口がきけない。ミレーデだけが助かったのだ。

ミレーデはウフェと週末にベルリンへ行こうと思う。ふたりはフェリーで出発する。
そのフェリーでミレーデは行方不明になった。捜査は難航しミレーデは見つからないままである。ウフェは最初は海へ突き落とした犯人として逮捕されるが釈放されいまは施設にいる。

それから5年、カールとアサドは調査を再開する。
当時の捜査状況をあらゆる角度から検討して一歩ずつ前進していく。
カールは私生活もややこしい。別居している妻がいて義理の息子はカールの家にいる。昇格試験を受けないために警察署内での位置もややこしい。
次作「特捜部Q キジ殺し」を早く読みたい。
(吉田奈保子訳 ハヤカワポケットミステリ 1900円+税)