『ハリウッド・バビロン』と『女優フランシス』

雑談していてロボトミーの話になった。あっ、ロボトミーの手術した女優の話あったやんと、取り出したのがケネス・アンガーの「ハリウッド・バビロン」(1978年)。ハリウッドの話題になると引っ張り出していた本だが、ここんとこご無沙汰してた。4月に開かれた関西翻訳ミステリ読書会ではジェイムズ・エルロイの「ブラック・ダリア」が取り上げられて、翻訳本の編集者によるレジュメに本書が紹介されていた。この本を知っていたのはわたしだけだったので、おおいに自慢した。

フランシス・ファーマー(1913年生まれ)は美しい女性だった。1935年にパラマウント社は「新しいガルボ」と飛びついて7年契約を結んだ。しかし金以外はハリウッドのなにもかもが嫌いという言動が取りざたされ、ささいな交通違反からパトロール警官の無礼な態度への暴行で逮捕される。警察でも裁判所でも反抗的な態度をとおし、まわりに群がったカメラマンを「ネズ公!ネズ公!ネズ公!」と罵倒した。
会社に反抗し徹底的に会社命令を拒否、警察の謀略により逮捕されたあげく、精神病院に強制入院させられ、やがてはロボトミー手術をされる。悲しいことに手術以後はおとなしくなったという。

「女優フランシス」(1982)はフランシス・ファーマーの生涯を描いた映画である。フランシスをジェシカ・ラング、唯一の理解者役がサム・シェパード。梅田コマ劇場地下のコマシルバーで見た記憶がある。強烈な映画でもう一度見るのはかなわんなと思ったくらいだ。