レジナルド・ヒル『幸運を招く男』

今日の午後にレジナルド・ヒルさんが亡くなられたことを知った。昨夜も寝る前に「完璧な絵画」を読んで気持ちよく眠った。彼の本を読み始めたのは遅かったけどいま最高に好きな作家だ。
本書はSさんがわたしがダルジール警視シリーズだけを読んでいるので、これもおもしろいと貸してくださったもの。〈私立探偵ジョー・シックススミス〉のシリーズで翻訳は3册出ている。「幸運を招く男」(1993)、「誰の罪でもなく」(1995)、「探偵稼業は運しだい」(2008)、1冊目がおもしろかったからあと2册もぼちぼち読むつもり(貸してもらえたらええんやけど-笑)。

ジョー・シックススミスはイギリスのベッドフォードシャーの工場町ルートンに住む私立探偵。40歳に近いが不況で工場をクビになり探偵をやってみることにする。背が低くて黒人で禿げかけた失業中の旋盤工だから、これくらいはとクライアントの期待にこたえる気持ちで私立探偵らしくデスクに足を乗せている。アメリカの冴えない私立探偵ストーリーをまるごと移したような出だし。机の引き出しには相棒の猫のホワイティがいる。

伯母さんのミラベルはいつもジョーにお節介をやいて女性を紹介する。今回は看護婦のベリルで仕事中のシックススミスと出会ったりするが、だんだんお互いに好意を持つ。ふたりはベリルの息子と猫と4人(?)でクルマで遊びに行く途中に事件で知り合った人を訪ね、そこからひと騒動のあとに事件は解決する。

ベリルは言う「あなたは他人に対する思いやりがあるわ。それに、あなたにはある能力がある。たとえ最初は間違っていても、正しい方向に進んでいく能力が。・・・」
またミラベル伯母について「彼女は公平な人だから、あたしが無能で収入のない私立探偵と結婚することに責任を感じたくないのよ」と言ってシックススミスに衝撃を与える。
(羽田詩津子訳 ハヤカワポケットミステリ 1100円+税)