キャロル・リーア・ベンジャミン『バセンジーは哀しみの犬』

レイチェル・アレグザンダーはニューヨークの女性探偵で愛犬ダシール(アメリカン・スタッフォードシャー・テリア)と暮らしと仕事をともにしている。ユダヤ系で離婚歴あり。結婚した相手の姓であるアレグザンダーをそのままにしている。性格の違う姉は結婚して夫とこどもたちと楽しい家庭を持っている。

仕事がなくてどうしようと思っているときに児童本作家のデニスから電話があった。友人の画家クリフォードが殺されて愛犬のマグリット(バセンジー)が行方不明だという。クリフォードはゲイの画家で警察は同性愛者への虐待事件として調べている。クリフォードには恋人のルイスがいるから夜中に街をうろつくはずはない。

マグリットはドッグショーで優勝したことのある名犬なので、その方面も調べたほうがよいと元ドッグトレーナーのレイチェルは考える。犬好きのひとならアメリカのドッグショーのことがよくわかって楽しいに違いない。わたしはアメリカン・スタッフォードシャー・テリアとバセンジーという犬の種類があるのをはじめて知った。バセンジーは吠えない犬だって。そしてマグリットは素晴らしく美しい。

ギャラリーのオーナーはクリフォードの死を利用して高値をつけて個展を開こうとしている。
レイチェルは電話と足で調査を続ける。
(阿部里美訳 創元推理文庫 980円+税)