監督・脚本:ディアーヌ・キュリス『サガン ー悲しみよ こんにちはー』

昨日ネットでこの映画があるのを相方が見つけて今日レンタル屋で借りてきてくれた。2008年のフランス映画である。わたしはサガンを描いた映画があることを知らなかった。もうちょっとアンテナを張らなくては・・・

見た後で監督・脚本のディアーヌ・キュリスの名前は知っている、なにか書いているはずと古い日記を探したら出てきた。イタリア、トリノ出身の作家チェザーレ・パヴェーゼを描いた「ア・マン・イン・ラブ」(1987)の製作・原案・監督・脚本の人だった。この映画はなにもかも大好きで二度見たように思うが記憶にしか残ってない。もう一度見たい映画10本に入る。

「ア・マン・イン・ラブ」から21年目の映画「サガン ー悲しみよ こんにちはー」には、それだけの落ち着きがあるなあと感じ入った。前作ではなにもかも詰め込んでいる感じだったが、今回は描かねばならぬことをしっかりと描いていると思った。

フランソワーズ・サガンはわたしにとっては同時代を生き抜いた人である。「悲しみよこんにちは」では、少し嫉妬気味で読まなかったが、「一年ののち」でとりこになった。主人公のジョゼはお金持ち階級の人で、わたしは無産者階級の人だが、感じがそっくりと友人に言われた。それから10数年は左手にエンゲルス、右手にサガンを持って歩んでいた(笑)。

とにかく破格のお金を稼いでおそろしい無駄遣いをする人で、結婚(2回)や出産も経験している。なのに恋する女性の感情を描いてこんなに鋭く繊細な人はいない。どの作品も何度も読んで主人公の言葉を真似したりしているうちに男性をはぐらかす術に長けるようになった(笑)。

映画のサガン(シルヴィー・テステュー)は実際のサガンがやっていると思うくらいに似ていて、年を取ってくるにつれ見ているのがつらくなった。同時代を駆け抜けて先に逝ってしまったという気持ちがあるから。