A・S・バイアット『抱擁』

1週間前に映画「抱擁」を見た。何度も見ている大好きな映画だ。
映画を見終わったら原作の本を読みたくなって、アマゾンの中古本で注文したら〈1〉〈2〉が別々の本屋さんから同時に届いた。喜んですぐに読み出した。すでに図書館で2回借りて読んでいるが、自分の本となったら格別に楽しく読める。
最初は〈1〉から読み始めたが、大好きな最後のシーンが読みたくなって〈2〉を開いた。いまはそのシーンを読んでしまったので〈2〉の最初から読みはじめている。そしたら最後の登場人物たちの中でわからなかった人や関係が理解できて、すごく実になる読書になった。また〈1〉から読まなくっちゃ。

ビクトリア時代の高名な詩人アッシュには妻がいて、女性詩人ラモットは愛する女性画家と暮らしていた。二人は燃え上がった恋をヨークシャーへの旅の4週間で終わらせ、世間に知られることなく別々に死んでいった。いま二人の間に交わされた手紙が現代の主人公モードとローランドと二人に関わる学者たちの手にある。

恋愛小説なんだけど、手紙をめぐる謎と墓を暴いても遺品を手に入れようとするワル学者の執念とそれを阻止するグループ活動はミステリを読んでるのと同じわくわくするものがある。
(栗原行雄 訳 新潮文庫 I II ともに895円+税)