ロバート・クレイス『天使の護衛』(1)

2006年に私立探偵エルヴィス・コール シリーズを4冊読んだ。もう一度読み直したいのに、4冊まとめて行方不明。押し入れの奥かもしれないが読む時間もないしまだ探してない。
エルヴィス・コール シリーズを読むと、強力な相棒ジョー・パイクとともに荒っぽく事件を解決するのが魅力になっている。今回はいつもと反対にジョー・パイクの仕事をエルヴィス・コールが援護する。

大金持ちの一人娘ラーキンは明け方の前の闇の時間に愛車アストン・マーティンをとばすのが好きだ。ある朝、目の前に銀色のメルセデス・セダンが現れ衝突する。車の中には前の席に男と女がいて後部座席に男が一人いた。ラーキンが救急車を呼ぼうと携帯電話をとりに車にもどると、メルセデスが発車し、男が一人走り去っていった。ラーキンは車のナンバーを記憶し救急車を呼ぶ。それから48時間後に彼女は司法省と連邦地区検事局の捜査官に面会することになる。それから6日後に彼女の殺害が企てられる。11日後にラーキンはジョー・パイクに会うことになる。この夜からすべてが変わった。

仕事を依頼するのはラーキンの父親コナー・バークリーだが、パイクを推薦したのは昔警察でパイクの上司だったバッド・フリンである。パイクとフリンが初めて職場で出会ってからの1章があって、読者はパイクの過去を知ることになる。パイクは暴力をふるう父親のもとで育った。海兵隊を経験し、警察を辞めてから傭兵として世界中で仕事をした。その腕を買われての仕事である。

当然、ラーキンはパイクに反発する。しかし誰も知らないはずの隠れ家を襲われ、パイクが依頼主にも秘密の行動をとるうちに、お互いにお互いの度胸を認めるようになる。調査の仕事などにエルヴィス・コールが加わる。
パイクは逃げるのではなくこちらから攻撃するのが解決方法だと作戦を立てる。その緊張感ある毎日の中で、コールがサンドイッチをつくるとラーキンはわたしは菜食主義者だと喜ぶが、コールはパイクのためにつくったんだよというシーンに和む。
パイクはこの娘のためにあらゆる手を使って闘う。だんだんふたりはいい相棒になり、凄惨な死体を見つけても度胸のあるラーキンになっていく。
(村上和久訳 武田 ランダムハウスジャパン 950円+税)