ネレ・ノイハウス『死体は笑みを招く』

ドイツの女性作家ネレ・ノイハウスの作品を読むのは『深い疵』(2009)『白雪姫には死んでもらう』(2010)に続いて3作目。
フランクフルトに近い町ホーフハイム刑事警察署の主任警部オリヴァー・フォン・ボーデンシュタインと同警部ピア・キルヒホフが活躍するシリーズである。
事件が起こり複雑な様相になるが、熱心な捜査活動で核心にせまる物語に加え、警察官の私生活がからんで読み出したら離せない。
今回はオリヴァー警部の結婚生活の危機になるような妻との会話があり、殺人事件を抱えた警部が仕事を休んで妻につきそう。代わりに事件解決の責任者となったピアは中心になって指揮しようとするが、上級警部のフランクにことあるごとに嫌味をいわれる。ピアが小さい農場を持って馬を飼っていることが気に入らないのだ。その金の出処についての悪口が出回っていると同僚のカイにいわれる。ピアは上手に株を売買して運良く手にいれたお金と説明する。
ピアから別れ話をして法医学者の夫と別れて暮らしているが、向こうはピアとよりをもどしたい。事件捜査中に知り合った若者からも好意を寄せられ、殺人事件の舞台となった動物園の男性とはお互いに好意を持つ。

どどっと読んだので事件がつかめてない。そのうちもう一度読むことにして、次の本が待っているので移動する。
読んだ印象だけど、何日もかけて読んだピエール・ルメートル『傷だらけのカミーユ』と比べるとものすごく読みやすかった。フランスとドイツの差も感じたし、男性・女性の差も感じた。
(酒寄進一訳 創元推理文庫 1200円+税)