ステラ・ダフィ『カレンダー・ガール』

タルト・ノワールの1冊。最初に読んだケイティ・マンガー「女探偵の条件」が2002年の発行で、発行年を入れているのを読むと2002年が多いようだ。つい10年前のことなのに、わたしは全然知らなかった。新潮文庫が女性向き(赤い紐のしおり)に出して、それは何冊くらい出ていつごろまで続いたんだろう。

本書は平成14年、2002年発行だから一連のタルト・ノワールの1冊と言っていいのかしら。だけど他の作品と違うのは探偵がレズビアンであり、犯罪に巻き込まれたのもレズビアンの女性というところだ。

最初のページに出てくるのは「彼女」の描写、スタンダップ・コメディアンのマギーによって「女優のケリー・マクギリスみたいなボディ」と形容されるが、ずっと彼女はその名称で語られる謎の女で、それには意味があった。マギーはケリー・マクギリスみたいな彼女に惹かれ、彼女もマギーに惹かれる。二人の愛の生活がはじまる。

私立探偵サズに仕事を頼みにきた男は、妻がいるが、ひとりの女性とつきあうようになった。話をするだけの間柄で名前も知らないまま、大金を貸したという。サズは話を調べてニューヨークへ飛び、謎の女セプテンバーの存在を突き止める。

サズの生活とマギーとケリー・マクギリスみたいな彼女の生活がかわりばんこに描かれて、結末が結びつく。この本、好みだった。
(柿沼瑛子訳 新潮文庫 590円+税)