シャンナ・スウェンドソン「スーパーヒーローの秘密」

これで「(株)魔法製作所」のシリーズ5作を読み終わった。山本やよいさんご推薦の本で、2册は自分で買い、3冊はSさんが買って貸してくださった。最後はSさんに5冊とも持っていてもらう。
このシリーズは「ニューヨークの魔法使い」「赤い靴の誘惑」「おせっかいなゴッドマザー 」「コブの怪しい魔法使い 」と続いて最後は本書「スーパーヒーローの秘密 」である。4作目まではアメリカで出版されたものの翻訳だが、5作目は「日本版オリジナルの書き下ろしで登場」とある。アメリカでは受けそうにないと読んでわかった。主人公ケイティとオーウェンはいつまで経っても抱き合ってキスするだけなんだもん。日本のロマンチック好みの女性にぴったりだ。うまい話の作り方なんだけど、破れたところがない上手さが古風で、いまのアメリカ人女性には受けないだろうと思った。

今回は魔法界を支配しようとするライバル会社との戦いである。悪の手に利用されるオーウェンの出生の秘密が明かされる。才気あふれるエキセントリックな若い魔法使いケイン・モーガンが妻ミナとともに黒魔術に手を染めるが、子どもを産んだ母は生まれて間もない子どもを悪の手から離して人手に託す。その子がオーウェンだったのをケイティが調べる。冷たい存在だった養母がどんなに自分を抑えてオーウェンを育ててきたかとか過去が明かされる。
ケイティの大活躍で最後に正義が勝つ。
細かいところの説明が行き届いていてうまい作品だと思う。こういうのってやっぱりプロ作家の仕事だよね。
(今泉敦子訳 創元推理文庫 1100円+税)