ナンシー・アサートン『ディミティおばさまと聖夜の奇跡』

去年の末に「優しい幽霊シリーズ」3冊をNさんに貸していただいて読んだ。その続きで4冊目(2010年9月発行)の本書を今度はSさんが貸してくださった。
シカゴ出身のロリが亡き母の友人のディミティおばさまから莫大な遺産を受け取る。そして遺産の管理をしていた弁護士の息子と愛し合い結婚する。遺産の一部であるイギリスの田舎の家に住むことにし双子の男の子が生まれた。

ベビーシッターが長い休暇をとったので、義父の大ウィルスは子どもの面倒を見にボストンからきている。
クリスマスも近くなり、ロリは完璧なクリスマスにしたいと準備が忙しい。村の人たちとの降誕劇もある。外を見ると雪が降り出していた。

翌朝も雪は降り続き、ビルが窓際にぬいぐるみのうさぎレジナルドがいるのに気づく。息子のベッドに入れてやってたのに。窓に近づいて外を見ると一人の男が倒れていた。粗末な服装をしたホームレスのようだ。家に連れて入りソファに寝かせるとまだ脈はある。
大ウィリスが連絡して英国空軍の救命救急ヘリでオックスフォードのラドクリフ病院へ搬送した。義父の人脈を使った医師団が低体温からの肺炎と栄養不良で意識不明の彼の治療をはじめる。

ロリはディミティおばさまとの連絡に使っているノートを広げて天国のおばさまと交信する。浮浪者はどうやらおばさまに知り合いらしい。クリスマスのクッキーを焼いたり楽しい一日を過ごすはずが、オックスフォードのラドクリフ病院で過ごすはめになるなんてといやいや出かける。ビルはボストンに仕事が発生し出かける。
翌日、ロリは病院へ行くが、患者は見た目よりもずっと若く看護婦たちの関心を惹いている。帰ろうとすると一人の男が呼びかけた。あご髭をはやし黒い革ジャン姿だが、ローマ・カトリックの司祭ジュリアンと名乗る。
それからはジュリアンと助けた男スミッティのことで、走り回るはめになり、クリスマスどころではなくなってしまう。
(朝月千晶訳 RHブックス+プラス 800円+税)