C.サレンバーガー『機長、究極の決断「ハドソン川」の奇跡』

クリント・イーストウッド監督の映画『ハドソン川の奇跡』を見て感想(1月30日)を書いたら、yosさんが「原作が大好きです。3回ぐらい読んだ。映画も見て、すごくよかった。」とコメント(ミクシィ日記)をくれた。
わたしは原作があったことも知らずに見ていたので、あわてて本を買って2回読んだ。クリント・イーストウッド監督は映画化にあたって、原作全体でなく事故に焦点をあてている。事故シーンの合間に過去のことや私生活も少しはあるけれど、事故と全員生還にテーマをしぼっている。そして事故対応の必然が見るものを納得させる。

原作ではサリー・サレンバーガー機長の生まれてからいまにいたる生活や仕事のこと、とりわけ「飛ぶこと」への憧れと現実化について詳しく書いていて感銘を受けた。
子供時代に父親から受けた実地の教育は、ワシントン大統領の子供時代のようであるし、ロバート・B・パーカーが書いた私立探偵スペンサーが依頼人の少年と家を建てるシーンを思い出した。
私生活で夫妻にこどもができず、養子を2回もらうところはアメリカだなあと感心した。

映画では事故調査を中心にもってきて、あの判断でよかったのか的を絞ったスリリングな展開だった。本書を読むと軍隊体験も含む飛行経験を重ねていたからこその、事故対応だと納得できる。機長と副操縦士が冷静に判断したこともすごいことだった。客室乗務員3人の冷静な行動も素晴らしい。
yosさんこの本を教えてくれてありがとう。
(十亀 洋訳 静山社文庫 838円+税)