キャスリン・ビグロー監督『ゼロ・ダーク・サーティ』

『ゼロ・ダーク・サーティ』(2013)は、2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件のオサマ・ビンラディンの暗殺にいたるまでを描いた映画。緊迫したシーンの連続で目を離せない。初めて見る女性監督の仕事を緊張して見ていた。

ビンラディンの行方を追って捕まえた捕虜を拷問しても情報を得ることができない。暴力はエスカレートしていくが捜査は進展しない。そこへCIAの情報専門家マヤ(ジェシカ・チャステイン)が赴任してきた。情報の収集と分析に優れたマヤは男性の同僚がやる拷問に冷静に対応しひるまない。同僚は拷問に疲れて帰国するがマヤは残る。
新たに加わった同僚の中に女性が一人いて、語り合ったりもする仲になるが、彼女は自爆テロの犠牲になる。その分もがんばるマヤはだんだん仕事熱心が嵩じて狂気じみてくる。それでも執念深い探索でビンラディンの隠れ家を特定するにいたる。

隠れ家を強襲するヘリが飛び立つ。ほとんど暗闇の中に突入し、ビンラディンを特定し殺害する。マヤはヘリが帰るのを待ち、最後まで冷静に対応する。
作戦実施前に高い地位の上司がマヤがランチを食べているところへやってきて質問する。マヤは高卒でCIAに就職してやった仕事はこれだけと答える。

テロで犠牲になる同僚役がジェニファー・イーリー。なんとまあ、コリン・ファースの『高慢と偏見』のヒロイン、エリザベスをやってたひとだ。『抱擁』の中の物語の詩人役もよかった。