まずいものは、すねりもち(わたしの戦争体験記 41)

「うまいものはかぼちゃのほうとう」は山梨出身の母の言葉である。甘いかぼちゃの入ったおほうとうはほんまにうまかった。いまその続きの言葉を思い出したところ。続けて「まずいものは、すねりもち」というのである。すねりもちは、干したとうもろこしを粉にしたのを水で混ぜて火にかけてとろとろにしたもの。ぶつぶつと煮えて見た目もうまくなさそう。ほんまに全然うまくないし匂いもよくない。
これが朝食に出ると家族全員からため息がもれる。兄は食べずに茶碗を母の前にもどして学校へ行った。どこかで食べ物を調達できるのだろうか。どこかで木に生っている果物にでも出会えたのだろうか。いまになってちょっと聞いてみたい気もする。

とうもろこしはどんな畑でも育ってよく実るらしい。皮をむいてぶら下げて干して、実をとってまたザルで干して、水車小屋に持って行って挽いてもらった。粉になったのを熱して食するわけだが、味がないというかうまくなかった。まさに、まずいものはすねりもちだった〜