デレク・ジャーマンの庭『Derek Jarman’s Garden』

P・D・ジェイムズの「策謀と欲望」(1989)を読んでいる。
ダルグリッシュ警視長は休暇でノーフォーク海岸の村を訪れている。2カ月前に亡くなった叔母のジェインが多額の遺産とノーフォーク北東海岸にある風車小屋を改造した家屋をダルグリッシュに遺した。「不自然な死体」のときはサフォークのモンクスミア岬に住んでいた叔母はこの村に引っ越して死ぬまで住んでいた。
この村には海辺に原子力発電所がある。もちろんジェイムズは作品の前の「著者メモ」で、ノーフォーク北東海岸の架空の岬であると断っている。

それで思い出したのがデレク・ジャーマン(1942−1994)の「Derek Jarman’s Garden」だ。デレク・ジャーマンの庭の向こうのほうに原子力発電所が聳えている写真があったのを覚えていた。久しぶりに本棚から出した。荒れ地に作った庭の写真にまたショックを受けて、ぼんやりとページをめくっている。

イギリスの原子力発電所分布図を調べてみたら、ダンジェネスはイングランドの南東の角に近い場所にあった。
デレク・ジャーマンがここダンジェネスに移り住んできたのはチェルノブイリ事故のあった1986年だそうだ。