ミネット・ウォルターズ『悪魔の羽根』

ミネット・ウォルターズの本を読むのは1995年に『氷の家』と『女彫刻家』を読んで3作目の『鉄の枷』で挫折して以来だ。10作目が翻訳されてなくて、本書『悪魔の羽根』(2005年発表 翻訳は2015年)は11作目になる。(すべて成川裕子訳 創元推理文庫)
わたしはミネット・ウォルターズに怖いというか気持ち悪いというか好きでない印象が残っていて、今回も読む気がなかったところへ友人が貸してくれた。読み出したらハマってしまい、あっという間に読み上げた。おかげでいろんな用事が停滞しております。

コニー・バーンズはイギリス人女性でロイター通信の記者である。ジンバブエで育ちアフリカ、アジアなどで取材経験を積んだ30代半ばのベテラン。2002年にフリータウンで5人の女性が相次いでレイプされた上に鉈で惨殺された事件に取り組んだ。コニーは外国人居留者のハーウッドを疑う。彼は他の名前で他の地域でも事件を起こしている。2年後にコニーはバグダッドで彼と出会う。民間の警備会社の顧問をしていて本名がキース・マッケンジーとわかるが、会社は本人と接触させない。バグダッドはレイプ事件が増えており、コニーのホテルにも誰か侵入した形跡があり、危険を感じたコニーは病気休暇をとってイギリスへ帰ることにする。
ところが空港に着く前にコニーは拉致される。他の女性たちと同じような目にあうと心配されるが彼女は3日後に解放された。逃げるようにロンドンのホテルに身を置くコニーは自分を拉致したのはマッケンジーだと確信する。
マンチェスター警察のアラン・コリンズ警部補は英国訓練支援チームの一員としてフリータウンに駐在していた。一連のレイプ事件の関連について証拠が示していると言うが『戦時にはレイプと殺人は日常茶飯事であり、女性に対する暴力は、平和が宣言されたからといってやむものではありません。』と語っている。彼はずっとコニーに連絡を欠かさずにいる。

イギリスに戻ったコニーはドーセット州の古い屋敷を借りて住むことにした。美しいが荒れたバートンハウスで著作生活をするつもりだった。家に着いたとたんに犬をたくさん連れたジェスと出会う。医師のピーターもいろいろと助けようとしてくれる。
(成川裕子訳 創元推理文庫 1340円+税)