ニール・ブロムカンプ監督『エリジウム』

ニール・ブロムカンプ監督の「第9地区」を見たのは去年の6月のことで、えらく興奮した日記を書いている。あれからまだ1年経ってない。「第9地区」の制作は2009年(日本公開は2010年)だから、わたしらが長いこと存在を知らなかっただけだけど。

今回の「エリジウム」はT氏にお借りしたDVDの中に入っていて、見る前に雑誌「ワイアード」(13年9月号)で監督のニール・ブロムカンプと主演のマッド・デイモンへのインタビューを読んで勉強したらますます期待感が高まった。「エリジウム」は2013年製作、アメリカのSF映画。

2154年、地球は汚染され、人々はスラム化した社会で暮らしている。過酷な労働と厳しい監視社会、そして労働の結果は一握りのエリジウムに住むやつらに奪われている。
一握りの恵まれた人たちが衛星軌道上に建造されたスタンフォード・トーラス型スペースコロニー「エリジウム」で暮らしている。病気を治す技術も発達している。
カメラが映し出していくエリジウムは緑と水、そして様々な様式の建物が点在する美しい都市だ。
まだ幼いマックスとフレイが仲良くしているシーンがあって、そのあとマックス(マッド・デイモン)が大人になって出てくる。

マックスはエリジウムの人間が経営している工場で働いているが、仕事中に致死量の放射線を浴びてあと5日の命となる。マックスの側に来ただけで被曝するという状況で、先端医療を受けるべくエリジウムへ行くことを決意し、闇商売人スパイダーと取引する。依頼されたのは資本家のカーライルから脳内データを奪うことで、それには肉体の外側に骨格をつける大手術をしなければならない。
激戦の末にカーライルの頭からエリジウム再起動プログラムを自分の脳内にコピーしたマックスは地上からも空からも狙われる。負傷したマックスを助けたのは白血病の娘を持つフレイで、なんとかエリジウムで娘に治療を受けさせたいと願っている。
マックスは地球人がだれでもエリジウムに行けるように再設定したデータのボタンを押す。それは自分の命と引き換えだった。
「第9地区」とテーマは同じだがより洗練されてエリジウムの外観も室内も近未来の美である。そして対比される地球の貧しさもまた近未来の風景だろう。
防衛庁長官役のジョディ・フォスターは役にはまっていたが、もうちょっと動きがほしかった。この監督は女優が苦手なのかも。
「第9地区」の主演シャールト・コプリーが今回は傭兵の悪役で出ていた。日本刀を持ってしつこく大活劇。