ジョセフィン・テイ『裁かれる花園』を再び

久々に「歌う砂」を読んだらアラン・グラント警部が相変わらず魅力的で、好きなところを繰り返し読んだ。クラダ島へ行くところ、そこで出会う人たちも気に入っている。
テイの本は何冊か持っているが、今回読みたくなったのがグラント警部シリーズではない「裁かれる花園」で、前回は図書館で借りて読んだ。今回どうしても手元に持っていたくなりアマゾンの中古本で手に入れた。読んでいるうちに忘れていたところを思い出したり、ここが気に入っていたと喜んだり楽しい読書ができた。
なにか書いてあるかなと〈ジョセフィン・テイ アーカイブ〉を探したら6年前に読んで感想を書いていた。

セイヤーズの「学寮祭の夜」はオクスフォード大学で、学寮祭に参加したハリエットがのちに寮で起きつつある怪事件の解明を頼まれて寮生活を送ることになる。
こちらは2年制の体育大学で実技の練習で明け暮れる学生たちに惹かれたルーシーが、学友だったヘンリエッタ学長に請われて長期滞在する。
どちらも学生たちの生態がよく描かれている。すでに中年になった主人公が若者たちに対して抱く批判的な気持ちがわかり過ぎる(笑)。
「学寮祭の夜」も「裁かれる花園」もミステリーというよりも、女学生ものという感じが好き。「学寮祭の夜」のほうが恋愛小説でずっと好きだが、こちらも宝塚的なところに惹かれる(笑)。
(中島なすか訳 論創社 2000円+税)