ジム・シェリダン監督「父の祈りを」

ジム・シェリダン監督作品「父の祈りを」(1993)は紹介されたときから見ようと思いつつ見ていなかったので感慨ひとしお。
「マイ・レフトフット」(1989)と「ボクサー」の間の作品で、3作ともダニエル・デイ=ルイス主演。

ウィキペディアより
【1974年にIRA暫定派によって実行されたロンドンでのテロ事件であり、英国の司法界史上最大の汚点とされるギルドフォード・パブ爆破事件を元に、冤罪で逮捕されたアイルランド人ジェリー・コンロンとその父親の、再審への長い戦いを描く。】

長いことイギリスのミステリ小説のファンをやっているから、スコットランド・ヤードの刑事さんたちに好意(?)を持っているけど、あれは大衆好みのフィクションであって、この映画の警察が本当の警察なのであるとガツンとやられた。
警察は、自白強要、証処のねつ造、アリバイ証言隠しを行い、施行されたばかりのテロリスト防止法を使って逮捕拘留する。

定職を持たず遊び半分で盗みをして逃げるジェリー(ダニエル・デイ=ルイス)は、IRAにも睨まれる。父親(ピート・ポスルスウェイト)にロンドンへ行けと言われて友人のポールと船に乗る。ロンドンでヒッピーの知り合いのところへ転がり込んだが、喧嘩して公園のベンチでホームレスの老人に金をせがまれて持ち金を渡す。拾った鍵で入った娼婦の家で現金を盗む。ちょうどそのころにギルドフォードでパブが2軒爆破された。
盗んだ金で買った服を着て実家にもどったところをギルドフォード事件の容疑者として逮捕される。
警察の取り調べが続き、ポールがまず落とされて嘘の自白をさせられる。拷問のような取り調べの結果、ジュリーは白紙の供述書に署名する。友人のヒッピーやジェリーの父やロンドンの叔母の一家まで警察によってねつ造された証処で逮捕される。

父は無実であると再審を訴え続けて手紙を書き続けていたが、獄中で死ぬ。刑務所の囚人たちは火をつけた紙を窓から運動場へ投げて彼を悼んだ。
その後、ジェリーは再審請求に熱心に取り組み、女性弁護士(エマ・トンプソン)は警察が隠していた書類を探し出し、事件から15年後に再審で無罪を勝ち取った。