サラ・ウォーターズ『黄昏の彼女たち 上下』(2)

上巻はじわじわと胸にしみこむ女性どうしの愛の物語だった。好意とか善意とか友情とかでなく、ひたむきな肉体の行為を伴った愛に目覚めてふたりはリリアンの夫レナードの留守に結ばれる。
下巻は一転して殺人事件の物語になる。殺されたのはレナードで、殴られ殺された死体が屋敷の庭の外に横たわっていた。
リリアンはチャンピオンヒル殺人事件の悲劇の妻として注目され新聞種になる。
レナードは以前にも会社帰りに殴られて血まみれになったことがあった。浮気相手の若い女性ビリーの婚約者スペンサーが怒りの一撃をくらわせたのだ。そのことを調べたケイプ警部補とヒース部長刑事によってスペンサーが逮捕された。読者はスペンサーが犯人でないのを知っているから、この逮捕劇の行方がどうなるか気になる。スペンサーはずっと留置されている。

ついに裁判が始まって、リリアンは家族とよりもフランシスと裁判を傍聴すると主張して二人は裁判所の傍聴席に座る。スペンサーは冤罪から逃れることができるのか。フランシスの心の動きが繊細に描かれていて苦しくなる。

他の用事もしつつ長い物語を熱中して読んだものだから、目は充血するし座りすぎで腰はだるいしで、これはあかんとストレッチに励み長風呂して整体院にも行ってようやく回復した。

『荊の城』が良かったのを思い出してアマゾンの中古本を注文した。『エアーズ家の没落』は友だちが貸してくれる。