マイケル・ウィンターボトム監督『トリシュナ』

ウィンターボトム監督の作品をたくさん貸してくれたT氏が新しいDVD「トリシュナ」(2012)を見せてくれた。
原作はトマス・ハーディの「テス」で19世紀末のイギリスの物語だが、テスを現代のインドの女性クリシュナに置き換えている。ウィンターボトム監督はハーディが好きなのか「日陰のふたり」も映画化していた。

インド北西部の田舎のホテルで働いている美少女トリシュナ(フリーダ・ピント)に、旅行中のイギリス青年ジェイ(リズ・アーメッド)が関心を持つ。ジェイは父親が経営するリゾートホテルで働くよう世話をし、トリシュナは気持ちよく働くが、そのうちにジェイの子どもを妊娠したのに気がつき実家に帰る。
父親は医者に連れて行きすぐに中絶手術を受けさせる。
親戚の工場で働いているトリシュナをジェイが追いかけてきてムンバイに行こうと誘う。ムンバイのマンションで暮らしダンスを習い、ジェイは映画の仕事をすることになり二人は仲間とともに楽しく仕事をし暮らしはじめた。
順調にいっていたのも束の間、トリシュナが田舎に帰って妊娠中絶したことを打ち明けるとジェイは受け止めきれなくて荒れる。
ジェイは父親が倒れたのでムンバイを去ってホテル経営を引き継ぐことにする。
ジャイブールの豪華なホテルでまた働き出したトリシュナだが、ジェイはだんだん威圧的な態度をとるようになり、性奴隷のようにトリシュナを扱うようになる。
耐えに耐えたあげくのある日、トリシュナはホテルのキッチンから包丁を持ち出す。

主役は美男美女だし、インドの田舎の景色やホテルの建物や部屋からの眺めがよくて、トリシュナの衣装がきれいで、悲劇に終った物語だけど、そんなことで少しだけ気持ちがやわらいだ。