モンス・カッレントフト『天使の死んだ夏 上下』(2)

暑さは続いている。だいぶ前に起こった森林火災が必死の消火活動にもかかわらず全然衰えないで燃え続けている。ヤンネは優秀な消防署員でバリ島へ行っていても気が気でない。

緑地公園で見つかった少女ジョセフィーンは危害を受けた記憶が消えていてなにも思い出せない。レイプではなく器具(ディルド)を使ったらしく、小さな破片が膣から見つかる。この事件が木曜日。日曜日にテレーサが行方不明になり必死の捜査をするが、見つかったときは海水浴場の砂浜で死体になっていた。体はきれいに洗われていて最初と同じ犯人と思われる。
そして2日後に少女の死体が見つかる。彼女はホテルのキッチンで働いていて、同僚の少年が自転車で通りかかって見つけた。

モーリンはジョセフィーンに催眠療法を受けてくれるように頼む。両親は反対だが本人はもしそれでなにかがわかればと承諾する。精神科医のヴィヴェーカは前作でモーリンと知り合った優秀な医師。診察の結果は〈森で襲われ、車でどこかの倉庫に連れて行かれ暴行され、そこから逃げ出して緑地公園にたどりついた〉というものだった。

ヤンネとトーヴェがバリ島からもどってきた。ヤンネをベッドに自然に誘うモーリン。翌朝、ヤンネは森林火災の消火活動に出かけて行く。
警察の報道会見にカシム署長はモーリンを同行する。最後に「娘が待っていますので」と質問をさえぎるところまでテレビで放映されたのを見ていた女がいた。
(久山葉子訳 創元推理文庫 1040円+税)