イアン・ランキン『監視対象』(2)

マルコム・フォックスはロジアン・ボーダーズ州警察職業倫理班(PSU)に所属する警官である。別れた妻に暴力をふるってから禁酒するように彼女に言われ、それ以来一滴も飲んでいない。エジンバラの一軒家で一人暮らしをしている。介護施設にいる父と恋人と暮らしている妹がいる。
妹の恋人のヴィンスが撲殺された。妹はその前に怪我をしてギブスをはめていて階段から落ちたのが原因と言っている。だれもそれを信じていなくてヴィンスのDVのせいだと思っている。そしてフォックスが妹の敵討ちをしてヴィンスを殺したと疑われる。

フォックスはヒートン刑事の汚職を調べて立件までいったとき、新しく児童搾取およびオンライン保護部のアニー・イングリスから捜査に協力するよう依頼される。児童ポルノのオンライン取引をしていると疑いがあるジェイミー・ブレックの内密調査である。ところがブレックはヴィンスの事件の担当していてフォックスを調べる立場なのである。
最初はお互いに調べる立場、ヴィンスの件ではブレックが押す立場だが、フォックスは「子供を見るのが趣味とはな、ブレック巡査部長、私が吊るし上げてやる」と思うのであった。
二人は捜査中にヒートンを擁護する者たちに後をつけられ、証処をでっち上げられ、二人もろとも停職になる。

フォックスとブレックはだんだんと相手を信頼するようになる。お互いの得意なところを活かし、腐敗した警官たちにせまる。まっすぐなフォックスと柔軟なブレック。
フォックスは「何者かがきみを小児愛者に仕立て上げようとしたんだぞ」と息まくが、ブレックは冷静になぜこんなことになったか解明することだと答える。
後半は二人がいっしょに捜査にあたる場面が多くて、二人がユーモアを交えて理解しあっていくところが楽しい。停職中なのだが給料は出るとあってホッとした(笑)。
(熊谷千寿訳 新潮文庫 1100円+税)

クリント・イーストウッド監督『ミスティック・リバー』(1)

クリント・イーストウッド監督の2003年の映画。当時とても評判が良かったがわたしは見ていない。デニス・ルヘインの原作も読まず、どんな映画かなとは思っていた。
特典映像まで見せてもらった。特典のほうにはイーストウッドのけっこう長いテレビインタビューも入っていてファンとしてうれしいかぎり(10年も前のものになにいうてんねん-笑)。映画を見始めたのは10時前でオマケまで見ていたら1時半になろうとしている。

なんかもうすごく深みのある映画だった。俳優たちがそれぞれぴったり役にはまっていて息もつかさぬとはこのことだ。
ボストンの一郭で暮らしている3少年ジミー、デイヴ、ショーンは道で遊んでいてホッケーのボールを下水に落としてしまう。手持ち無沙汰で道路工事がすんだ生乾きのセメント面にそれぞれの名前を印す。そこへ警察のふりをして現れた男がデイヴを車に乗せて連れ去る。デイヴは小児性愛者に暴行されて4日間を過ごして逃げ帰った。
それから離ればなれになって25年間、ジミー(ショーン・ペン)は2年間の刑務所暮らしからもどってからは最初の結婚で娘が1人といまの妻との間にも1人いて、裏社会とのつながりは持っているものの地味に雑貨店を営んでいる。
デイヴ(ティム・ロビンス)も妻と息子と地味に暮らしている。しかし連れ去られた4日間に受けた心の傷は消せない。
ショーン(ケヴィン・ベーコン)は刑事になったが、妻が家を出て行ってたまに電話があるのを心待ちにしている。部下の女性警官の誘いも受け流してひたすら待っている。

クリント・イーストウッド監督『ミスティック・リバー』(2)

ある日、ジミーの娘ケイティーが殺された。刑事のショーンが相棒と担当することになった。ジミーはショーンにいつ犯人を捕まえるのかと問いただすが、返事が得られないと手下を使って自分勝手な捜査をはじめる。

デイヴはジミーの娘の事件があった夜遅く血だらけになって帰ってきた。ケイティーはその夜はバーで友だちと踊ってはしゃいでいた。それを同じバーにいたデイヴは見ていた。
妻には強盗に襲われてやり返したので、相手は死んだかもしれないと言った。妻は翌日から新聞を調べているがそういう記事は載っていなかった。

同じ町で育って大人になった3人組の少年たち、その同じ町で自分の子どもを育てているジミーとデイヴ。ジミーの娘が殺され、デイヴが容疑者として取り調べられる。調べる警官は3人組のひとりショーンである。
ショーンは真犯人を追いつめるが、事情を知らないままに手下を使って自己流で追っていたジミーはデイヴを追いつめる。

町でパレードがあり、ショーンは妻と子とともに見物している。ジミーが目に入り、ショーンは指でピストルを撃つ仕草をする。ケイティーの事件は彼が解決した。
デイヴは行方不明のままだろう。川に流されて。

明るい雨

出かけるときはまだ降ってなかった雨が阪急百貨店にいるときに降り出した。なぜわかったかというと、お弁当売り場の店員さんがにこっとして「雨になりましたよ」と言ったから。続けて「この曲がかかると雨なんです」と説明してくれた。なぁるほど。
雨の中をタクシーで姉の家へ。傘を忘れないようにと運転手さんが言って、降ってたら忘れませんなあだって。

お茶の間に座って縁側の向こうの雨景色を見るのは心地よい。やがて雨があがって陽が照り出すのを見るのも心地よい。なんか小津安二郎の映画の中の人間の気分になる。
お弁当を食べて、おやつを食べて、姉のお風呂番(いつかのように風呂から上がれなくなったら大変)をして、わたしもお風呂に入った。昼間の風呂は心地よい。それから肩揉みを1時間。その間ずっと話の相づちをうち、こっちもぎょうさんしゃべり、テレビで「軍師 黒田官兵衛」の再放送を見た。続いて阪神とオリックスの試合を見ていたら、阪神劣勢。わたしが見ているときくらいは勝ってほしいなあ。

晩ご飯は二人ともお疲れにつき、わたしが帰りにお寿司を買って帰った。デザートはシナモンロール。今日のご飯は昼夜ともに炭水化物が多すぎ。明日は修正せねば。

細野ビル『66展』でいろんな人と出会った

晩ご飯を早めに食べて細野ビルに行こうと相談していたら、南の空が真っ黒でその黒いのが急ぎでこっちへきて雨になった。猛烈な雨で雷も鳴りはじめて稲妻が光っているのが見えた。ご飯を食べながらこの雨が落ち着いてから行こうと決めてゆっくり出かけた。
ここ3年ほどの66展は室外(道路)の植え込みのところに座って聞いているから、開始時間を気にしないでいい。しかし今夜は植え込みが濡れていて座れない。室内に入ると満員で、イベントはもう2つ目が始まっている。通り過ぎて通用口に行くと、知り合いが数人かたまっていて久しぶりのやあやあを交わした。ツイッターで知り合ったPさんもいた。顔を見たからこれからのやりとりがやりやすくなる。ミクシィで知り合ったSさんがFacebookをやるように誘ってくれた。最近はこっちばっかりだそうだ。でも、わたしはミクシィにいる日記の公開範囲を〈友人までに公開〉にして毎日のように日記を書いている友人たちがいるからやめる気はない。そしてこれ以上SNSを増やす気はないのでFacebookはやらない。なんでやらないのとよく聞かれるんだけど。やったらはまるから恐ろしい(笑)。

室内にもどって、知り合いに手を振ったりして外に出ると、また古い知り合いに出会い道路でしゃべっていたら悪い右膝がモンクを言い出した。そこで別れづらくて座れるところにとすぐ近くの店に入って1時間ほどしゃべって別れた。相手はまた細野ビルへ、わたしらは家へ。相方には金曜日の夜はまだまだ続くが、わたしは友だちが送ってくれた餡餅と煎茶で休んでそろそろ店じまいする。

イアン・ランキン『監視対象』(1)

イアン・ランキンの新シリーズと知って飛びつくように買った。わたしはリーバス警部シリーズ13冊を出るたびに読んできた大ファン。DVD BOXをお借りしてイギリスのテレビドラマ「リーバス警部シリーズ」も4作見ている。〈「黒と青」 「ゆれる愛」(邦題「首吊りの庭」)「死せる魂」「死の理由」〉リーバス警部も好きだが彼が働くスコットランド、エジンバラの街や風景が好き。

先月の11日に買ったのだが、キンドルで漱石を読んだりしたものだからすぐに読み出せなかった。しかもさっさと読めない本で、いま読み終ったところだがまた最初からおさらいしないといけない。文字は少し大きいけど厚い文庫本だ。

主人公のマイケル・フォックス警部補は監察室に勤務する警官である。警官の不正や不品行を調査するのが仕事である。彼は小学生のときからウォッカを飲み酒に親しんできたが、いまは絶対の禁酒を守っている。バーではたいていトマトジュースを飲んでいる。離婚していて一人暮らし。ズボンのベルトはしなくてズボン吊りを愛用している。車はボルボ。同僚のスポーツカーに乗るとどうも足元がしっくりしない。

フォックスは老父を介護施設に入れて少なからぬ費用を負担している。妹は好きな男と同棲しているがその男からDVを受けているらしい。

今日はここまで。続きをまた書きます。
(熊谷千寿訳 新潮文庫 1100円+税)

クリント・イーストウッド製作 監督 主演『ブラッド・ワーク』再び

全然関係のない話からはじまって、最後にクリント・イーストウッドの「ブラッド・ワーク」を見ることにしようと決めたのはおとといのこと。そう決めたらほんまに見たくなって、今夜は映画優先にした。
8年前に見たのだが半分くらいしか内容を覚えていなかった。結末がどうなるかとドキドキしてよかったけど、記憶力が落ちているのにはちょっとがっかりだ。映画と本は犯人が違うと誰かが書いていたから、やっぱり本を探し出して読まなくては。

ハリー・キャラハンほかイーストウッド演じる刑事たちは、最後には正義が勝つという気持ちで落ち着いて見ていられる。だが「ブラッド・ワーク」の心臓移植したばかりの元FBI心理分析官マッケイレブが拳銃を出したり追いかけたりすると、胸を掻きむしって倒れるんじゃないかと心配でしかたがない(笑)。
まあ、そういうことも勘定に入れての老優ぶりを見せるのである。

堀江散歩 ベースとジョローナ

最近は堀江方面に用事がなくて、心斎橋へ出かけてもバスや地下鉄で通り過ぎるばかり。昔のように心斎橋から家まで歩いていたら、堀江を通っておもしろそうなお店とか発掘するんだけど。小遣いもないからまあいいんやけど(笑)。

このたび相方の知り合いが堀江に〈インポート古着&レディースセレクトショップ「ジョローナ」〉を開いた。それも知り合いの〈ジャマイカ料理&お茶「ベース」〉の側だという。ジョローナには「チロルの石けん」も置いてあるらしい。チロルの猫石けんが欲しいので最低それだけでも買いたい。
ベースにも長いことご無沙汰してた。まだ寒いときに開店したジャマイカ料理のお店である。お子さんがいる都合で夕方までしかやってないのでなかなか行けない。午後のお茶に行こうと思いつつ日が過ぎていた。

というわけで、今日は堀江だけに行こうと整体院の後のいい気分で歩いて出かけた。ベースのおいしいコーヒーとヴィーガンケーキを食べていろいろと雑談。お土産にケーキとクッキーを買った。ケーキの中身は〈米粉、おから、豆乳、果実/果汁、はちみつ、重曹、なたね油、シード、ナッツ類、マイヤーズラム、自然塩〉と優しい配慮である。
すぐそこがジョローナと数店さきの店に連れて行ってもらった。

店主のそまさんとは以前タムタムカフェで会ってたそうで、わたしは若い女性の顔を覚えきれなくてすみません。みんなきれいでかしこそうでやる気まんまんなんやもん。
夏のドレスがたくさんかかっている。当然、わたしが着られる服はないが、気に入った色合いのスカーフを握って離さず(笑)。その他「チロルの黒猫石けん」と猫モチーフの手づくりブローチを買った。

久しぶりの昔みたいなお店体験がうれしい。
子どものころにちょっと遠出したお店で淳一絵はがきを買った感覚が甦った。お気に入りを握って離さず、ね。

電子書籍で夏目漱石「行人」を読む

キンドルには〈無料本〉というのがたくさんあってありがたい。青空文庫を縦書きにして読みやすくしているのが多いみたいだ。すでに青空文庫で岡本綺堂の「半七捕物帳」や横光利一、宮本百合子などけっこう読んでいるが、まだまだの本がいっぱい。当分電子書籍の新刊を買わないでいけそう。菊池寛訳の「小公女」があったので古い岩波少年文庫版を捨てた。何度も読んでいるからほとんど覚えていて、菊池訳に入ってないところを思い出した。ミンチン女史がインドの紳士を訪ねてきて、セーラが生意気な子だというところ。セーラが言い返すところが好きやねんけどな。まあ、読むときに思い出せばいいか。

小学校のときから親しんでいる夏目漱石だけど、3回くらいしか読んでなかった「行人」を今回読んで夢中になった。読むと思い出すのだが、その先がどうなるか覚えていないのでどんどん読み進む。そんなミーハー的興味まで満足させてくれた。

二郎が梅田ステーションで降りると母の遠縁の岡田が天下茶屋から迎えに来ている。そうそうお兼さんという奥さんだったと思い出した。二郎の両親の世話でいっしょになった岡田夫妻は円満に暮らしている。二郎は友人の三沢に会うつもりなので、この家を連絡先にしてあった。三沢は入院していた。
それから病院へ行って三沢と会い、彼が泊まっていた宿に滞在することにする。三沢は入院している女性「あの女」に惚れている。女と病気の話が延々と続く。
退院した三沢を送った翌日は母と兄夫婦を迎えにまた梅田ステーションへ行った。母のお気に入りのお手伝いさんの縁談をまとめようという岡田の計画である。縁談はうまくまとまった。

そこから話がややこしくなる。兄の一郎夫妻の不和が母にも二郎にも影を落とす。そうだ、昔読んだときは、嫂と二郎が一郎の要請で和歌山に行った章を読むのにどきどきしたっけ。
一郎は二郎に「直は御前に惚れてるんじゃないか」と言い、自分の妻を連れて和歌山に行き、妻に真意を聞いてほしいと頼む。二郎はいくら断っても引かない兄に悩み、母にも言われて中止しようとするが、兄は引かない。結局ふたりは和歌山に出発する。

モンゴル岩塩を使って料理

最近はわたしが晩ご飯をつくることが多くなった。途中までやってあとの2品は相方がやるとか共同作業のときもある。今日は全部わたしがやった。数カ月料理しなかったのでリズムを忘れてるのを、最近ようやく取り戻したところ。昼ご飯は全面的に相方がやっていて、毎日うまいパスタを食っている。

知り合いがモンゴル岩塩の販売〈モンゴル岩塩・スーホ〉を始めてからもう1年くらいになるかな。
わが家ではこれなしには料理ができないというほどの必需品になっている。

今日はきゅうり揉みをしたんだけど、きゅうりを刻んでモンゴル岩塩で揉む。きゅうりから出た水分をそのまま、もどしたわかめと酢を入れて出来上がり。
野菜炒めもモンゴル岩塩と胡椒だけでうまい。

モンゴル岩塩を料理に使うだけでなく、友人はお風呂に入れるほか、週に一度は足の指に塩をつけて揉んでいるそうだ。効くって言ってた。

今夜の献立
赤ワイン、ニンニク酢漬け、キャベツとピーマン炒め卵とじ、きゅうり揉み、厚揚げとじゃがいもと三度豆の炊いたん、五分づきご飯、豆腐とネギの味噌汁、塩昆布。