旧交を温める

さっき東京在住のMちゃんから電話があった。いまクミちゃんのとこにいるという。同じ〈くみこ〉で彼女は〈クミちゃん〉わたしは〈クミさん〉だったが、いまもそれで通っている。知人のウワサや瓦礫焼却の話でなんだかんだと長電話になった。
ふたりとも30年くらい前に東京へ相次いで行って、いろいろのことを経験して、いまは好きなひとと暮らしている。クミちゃんは去年の夏にダンナさんと大阪の実家へきたときに会った。30年ほどの間に一度会ったきりだったから、ほんまに久しぶりだ。Mちゃんのほうは30年の間に数回会ったかな。ふたりとも美人でおしゃれで若々しい。

昨日は久しぶりに大学を定年退職した経済学者のY氏にメールを書いた。彼はイギリスで暮らしている息子さんのところに去年の夏、長期滞在してイギリスの田舎を満喫したそうだ。その経験と考察を「現代イギリスの社会事情」という文章にして送ってくださった。そのお礼をいまごろ言ったのだから申し訳ない。すぐ返信をくださった。
Y氏とは60年代の知り合いだから50年近くなる。わたしらが地をはうように暮らしている間に、何度もイギリスに留学し諸外国を旅している。

古い友だち、新しい友だち、女でも男でもおしゃべり相手がいるのは楽しい。

うだうだしながら『異人館』を読む

おせち料理を作らないといつもと同じように食事作りをやらなあかん。どっちもどっちやな。掃除もそろそろせねば。洗濯は毎日している。洗濯物が溜まるのがいやなんで。

暮れに昔懐かしい生姜煎餅を買っておいたのを開けた。うまい! 煎茶にぴったり。暮れからいろんなお菓子をもらったり買ったりしてあるが、これがいちばん美味かも。

読んでいる本はレジナルド・ヒルの「異人館」。再読だがおもしろい。図書館で借りているがこれも買っておこうかな。ダルジール・シリーズは全部そろっている。ジョー・シックススミス・シリーズは3冊のうちSさんにお借りした2冊と図書館でいま借りている1冊。これは持っていなくてもいいか。去年お亡くなりになったので、これ以上は読めないのがさびしい。「異人館」すっごくいい。

今日はふとん乾燥機をかけてぬっくぬくして寝よう。「異人館」を読みながら。

デユ・モーリア『レベッカ 上下』

年末に図書館で借りてきた。なんと中学生のときに姉の友人が貸してくれたのを読んで以来だ。映画(1940、日本公開1951)を見たのもずいぶん昔のことである。いま「レベッカ」が好きといっているのは、数年前に買った映画のDVDを何度も見ているから。マンダレーの門から屋敷に行きつくまでの長さは何度見てもおどろく。ピーター・ウィムジィ卿がハリエット・ヴェインを連れて母と兄がいる屋敷に行くときもそうだった。ダーシーさんとエリザベスのお屋敷もそうだった。イギリスのお金持ちに憧れるてるわたし(笑)。

ヒチコック監督の映画にすっかりはまって原作もそのとおりと思い込んでいた。ジョーン・フォンテインの〈わたし〉が語る物語。モンテカルロのホテルで金持ちのヴァン・ホッパー夫人の付き人をしている〈わたし〉と大金持ちのマキシム(ローレンス・オリヴィエ)が知り合う。ふたりは結婚してマンダレーの屋敷にもどる。若い娘にとってなにもなくても気後れするところを、マンダレーには亡くなった前妻レベッカの影響力がそのまま残っている。その上にレベッカに子どものときから仕えていたダンヴァース夫人が権勢をふるっている。

物語の大筋は映画と同じだが、肝心なところで映画は道徳的になっている。それと小説がもっている見せる場面が映画ではいっそうの見せ場になっていたように思う。
ヴァン・ホッパー夫人とのモンテカルロ滞在の話に入る前に、〈わたし〉とマキシムのいま(マンダレーがなくなってから)の生活が語られる。最初はすっと読んでいたが、あとでそこにもどって読み返し、ふたりの深い孤独な愛を想った。
(茅野美ど里訳 新潮文庫 上667円+税、下590円+税)

エドワード・D・ホック『サイモン・アークの事件簿 IV 』

すでに出ている3冊は著者が選んだものだったが、今回は訳者が選んだ8作が同じように年代順に並んでいる。二千年の歳月を生きている謎の男サイモン・アークは今回も8件の難事件に立ち向かう。同行する〈わたし〉は若い新聞記者のときにサイモンと知り合った。その後ニューヨークの出版社〈ネプチューン・ブックス〉の編集者になり、部長、副社長、発行人と順調に出世し、退職したあとは編集コンサルタントになった。作品の年代によっていろんな立場にいるが、いつもなんとか日にちを繰り合わせて、サイモンが声をかけるとどこにでも同行する。

目次を見ていたら「切り裂きジャックの秘宝」「ロビン・フッドの幽霊」とイギリスだとわかるタイトルがあったので、その2作から読み出した。イギリスを舞台にしたのは他に「悪魔の蹄跡」と「死なないボクサー」がある。半分がイギリスが舞台だ。二千年生きているサイモンだからイギリスが合うように思う。
「悪魔の蹄跡(ひづめあと)」、この一作だけは書き手の〈わたし〉がいなくて、ロンドンから架空の地ノース・ブラッドシャーへ向かう二等車両で、サイモンとロンドン警視庁のアッシュリー警部が出会う。いっしょに現地に着いて調査に同行したサイモンは、雪の積もったイギリスの田舎の怪事件を現実的に解決する。

「切り裂きジャックの秘宝」では、いかにもな感じのロンドンの古書業者が出てきて期待させる。「切り裂きジャックが狂人でも性的異常者でもなく金銭的利益を目的として冷徹な計算をしていた殺人鬼だったという証拠を、わたしは持っているんだ!」という視点での物語の終わりは充分に満足できた。

「ロビン・フッドの幽霊」は、ロビンフッドの地ノッティンガムの迷路の話がおもしろい。
「黄泉の国の判事たち」では、〈わたし〉に電報が届く。「きみの妹と父が自動車事故で死亡、すぐ来い」。故郷へ妻とともにもどった〈わたし〉の過去が明かされる。

いずれも怪奇に満ちた事件を合理的に解決するサイモン・アークの事件簿。でもサイモン・アークの存在自体が神秘だからこれでいいのだ。いつものように木村仁良さんによる丁寧な解説がうれしい。
(木村二郎訳 創元推理文庫 980円+税)

SUBの年末セッション

帰っても耳と心からジャズが離れなくて、さっきからニーナ・シモンを次々に聞いている。60年代、最初に持っていたジャズボーカルのレコードがニーナ・シモンで、タイトルを忘れてしまったが、一枚のレコードをすり減るほど何度も聞いていた。歌はけっこう覚えていてときどき歌っている。名盤として名前があるものではなかった。もともと弟のものでうれしそうに持っていたのを取り上げて返さなかったのだ。

今夜は出かけようと突然決め、あわててご飯を食べてSUBの年末セッションに行った。
竹田一彦さんのギター、矢藤亜沙巳さんのピアノ、千北祐輔さんのベースと、長谷川朗さんのサックスで、途中からドラムとクラリネットが入って楽しくも美しい演奏を聞かせてもらった。千北さんと矢藤さんは大阪出身だが東京で活躍されている。帰省されたのを長谷川さんが誘ってのライブである。
竹田さんのギターのお弟子さんたちが来られていて客席も賑やかだった。「弟子というよりファンです」という彼女らを〈竹田ガールス〉やなと思った。すごく慕っている感じが気持ちよい。
ギターを弾く竹田さんの指をじっと見ていたらほんまに繊細に動く。千北さんの力強い強烈な個性のベース。矢藤さんのピアノに新しいものを感じた。長谷川さんの演奏を来年はもっと聞こうと思った。ほんまに良い夜を過ごさせてもらった。

お土産にマスク!

今日は天気がよかったが風が冷たくて寒かった。明日は午後から雨らしく、28.29・30日と連続して雨らしい。さっき洗濯して干したところ。雨が降り出すまでにいくらか乾いてほしいなあ、ほんまに冬は洗濯物を乾かすのに苦労する。

午前中に百貨店で頼まれた買い物してお昼前に姉の家に着いた。午前中はリハビリに行ってるから入って猫の相手をしていてと言われていたので合鍵で開けて入った。猫が2匹行儀よく玄関に座って待っていて、開けたらさっさと外へ出て行った。

天気がよいので布団干し、場所を開けるために物入れの整理、買って行った水了軒のお弁当を食べて、京菓子を食べて、しゃべりながら背中のあんま。あとはテレビで黒柳徹子のトークと2時間もの推理ドラマを見てしゃべっていた。

焼却のことを知らなかった友人が、先日の試験焼却の日になぜかわからないままに喉をやられマスクを買いに走った。次いで目がおかしくなったので、メガネをかけたらちょっとマシだったから今度はゴーグルかと笑っていた。
本焼却が近いと教えたら「ほなマスクを買うとかんとあかんな、絶対品薄になるで」という。うちはまず、体の弱い高齢の姉に60枚入りのマスク1箱をお土産に持って行った。大変な時代になったものだ。

大阪・本焼却前、住民説明会。 平成25年1月16日(水)19時〜20時30分。大阪市立此花区民ホール。 受付18時〜
大阪市のサイト「東日本大震災により生じた廃棄物の試験処理結果及び本格処理にかかる説明会を開催します」

マイケル・ウィンターボトム監督『9 Songs ナイン・ソングス』

終ったとき、えっ、これで終わりなのと口走った。69分の映画だった。監督・脚本・製作・編集:マイケル・ウィンターボトム。2004年イギリス映画。

南極にいるマット(キーラン・オブライエン)の回想は別れてきたリサとのこと。
リサ(マルゴ・スティリー)は21歳のアメリカ人学生で、ふたりはロンドンのライブハウスで知り合った。マットの部屋で最初のセックスシーンがあって、それからずっと激しいライブのシーンとふたりの愛のシーンが交代にある。ふたりは夜になると人気バンドのライブに出かける。ライブシーンの現場感がすばらしい。帰るとふたりの世界になるのだが、ライブの影響を受けてだんだん激しくなる。マルゴ・スティリーのスリムな体がしなやかで美しい。

今回も先入観なしに見てびっくりしたマイケル・ウィンターボトム監督の映画だった。
セックスシーンということで昔見たベルナルド・ベルトルッチ監督の「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972)を思い出したが、全然違う。昔はセックスもリクツっぽかったというのは冗談です。女子学生のマリア・シュナイダーがすごくよくて、それでいま思い出したのだが、もうお亡くなりになっていた。

イギリス児童文学に惹かれていたころ

先日「ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女」をDVDで見て思い出した。このシリーズは岩波書店から出ていた瀬田貞二訳のを70年代に読んでいる。おもしろかったなぁ。

幼年時代は「小公女」「秘密の花園」「リンバロストの乙女」「あしながおじさん」を何度も読んで、もの思いにふけっていた。この4冊はいまもわたしの聖典である。これにプラス、ドロシー・L・セイヤーズ「学寮祭の夜」(ミステリだけど乙女もの)。

イギリス児童文学を意識して読み出したのはいつごろからかしら。旭屋のこどもの本棚の前に立って次はなにを読むか探したのと、新刊案内や新聞広告を見て曾根崎書店に注文していた。岩波書店、評論社、福音館が多かったかな。
「ホビットの冒険」がいちばん気に入っていたが、その次はなんだったろう。ボストン夫人の「グリーン・ノウ」シリーズ、アラン・ガーナーは「ふくろう模様の皿」がお気に入りだった。ビアトリクス・ポター「ピーター・ラビット」シリーズ、アーサー・ランサム「ツバメ号とアマゾン号」シリーズ、ウィリアム・メイン「砂」。

その後、縁あって「イギリス児童文学研究会 ホビットの会」に入会し、毎月一人の作家の訳された本を全部読んでくるという荒技の数年間であった。それまで図書館にあまり縁がなかったが、そこにある本だけでなく、カードをめくって古い本を出してもらったりすることを覚えた。コンピュータシステムになってなかった時代。
ここで、アリソン・アトリー「時の旅人」(猫の花子はわたしの声が好きなので「グレイラビット」シリーズをよく読んでやったものだ)、スーザン・クーパー「闇の戦い」シリーズ、アーシュラ・K・ル=グウィン「ゲド戦記」シリーズ。

図書館で見つけた、ルーマー・ゴッデンのバレエや人形の物語、のちにサラ・パレツキーが引用したのを読んで知ったE・B・ホワイト「シャーロットのおくりもの」もお気に入り。おっと、この二人はイギリスではなかったかしら。
ぱっぱと思い出した本のタイトルを書いた。まだ出てくると思う。

寒かったけど楽しかったクリスマステント

近所の公園でバザーやライブやアート展示があると聞いて行ってみた。行き慣れた公園に数張りのテントが張ってある。
知り合いの九条クジラウオさんの雑貨、近郊野菜、古本やCDを売るコーナーや飲み物コーナー、白いテントでは写真や絵の展示があり、メインテント前では「おかんとおとんの原発いらない宣言2011」のメンバーがトークを繰り広げていた。

クジラウオさんの手作りケーキと別のコーナーのチャイで腹ごしらえし、トークを聞いたり、横に座った人としゃべったり。
非常に寒かったが気持ちがほかほかする会話でぬくもっている感じ。最近は家にいることが多いのでひとと話せてよかった。ツイッターを読んでいて知っていたつもりのひとの顔を見て納得したり。リクツっぽいひとかと思っていたら、リクツっぽくはあるが爽やかなひとであった(笑)。

野菜を買って1時間くらいいて帰るつもりが居心地よくて5時間くらいいた。途中でコンビニでトイレを借りたときに、手袋とカイロを買って、背中とお腹に貼って頑張った(笑)。
ライブも楽しかった。
こういう日があってとてもよかった〜

買ってきた野菜で晩ご飯。寒い寒いと根菜も葉っぱもいっぱい入れたうどんすき。七味唐辛子たっぷりふりかけて汗をかいた。

アンドリュー・アダムソン監督『ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女』

なんにもしないのに気ぜわしい師走である。その上にたいそう寒い。
晩ご飯を食べて片付けをして、本も読みたいし映画も見たい。11時になったらユーストも見たい。メールの返信もしなくては・・・と気持ちが先走る。
だが、とりあえず映画を見ようとなった。
おとといみたいにしんどいマイケル・ ウィンターボトム監督の映画は今日はいらんねということで、確実に楽しめる「ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女」(2005)を見ることにした。

児童書の「ナルニア国物語」は大好きで全部70年代に読んだはずだ。あとのほうは忘れてしまったが、第一巻「ライオンと魔女」は何度も読んだしいまだによく覚えている。特に洋服ダンスからナルニア国へ行くシーンが好きだった。服がぎっしりつまった洋服ダンスって想像力を誘う。わが家が空襲で焼け出されて文化住宅にようやく入居したとき、どこかでもらった古い洋服ダンスには両親と姉兄たちの服がひしめいていた。かけられた服をたぐると向こうに別世界があるような感覚があった。向こう側にナルニア国があるとは思えなかったのは、狭い家と小さなタンスのせいだ(笑)。

映画はお話のとおりに進んでおもしろかった。大掛かりな戦闘シーンもありのままのように思えるくらい(笑)。白い魔女はアンデルセンの雪の女王を思い出させて、さすがのティルダ・スウィントンだった。ルーシーがとても可愛くてよかったな。
原作を読んだときには気がつかなかったが、ピーターは長男そのもので財産相続人として権力と責任とを持つ人間として育っていっているのがわかった。