キャリー・ジョージ・フクナガ監督「ジェーン・エア」を再び見て

さきおととい見たのに昨夜もう一度見ることにした。字幕を読んでいる間にジェーンの表情や荒野の風景を見逃してしまうので今度は画面をちゃんと見ようということで。
原作のシャーロット・ブロンテ「ジェーン・エア」を何十回も読んでいるけど、読むときの年齢や境遇によっていろんな読み方をしている。好きなページも移り変わっている。若いときに読んだからもういいなんてことのない優れた小説である。
午後から時間があるとiPad miniを開いていた。iPad miniの画面で読むと飛ばさずに丁寧に読むから不思議。ジェーンとロチェスターさんをミア・ワシコウスカとミヒャエル・ファスベンダーに当てはめて読んでいた。
ミア・ワシコウスカは美しいひとだが美しくないとたびたび原作に書いてあるジェーンをうまく演じていた。しっかりと閉じた唇を開いて述べるしっかりとした考え。

飢えと寒さから救ってくれたセント・ジョンと二人の妹は実はいとこ同士だったとわかる(映画では省略してある)。叔父からの遺産がジェーンに入ったのを4等分して妹二人は家庭教師をやめることができた。
なにがあったとしてもジェーンの愛はロチェスターさんだけに向いている。セント・ジョンの求婚を断るところが誇り高くてよかった。

吉田健一訳の本ではいとこのセント・ジョンがシン・ジンとなっている。今回、映画の中でシン・ジンと呼ばれていて、なるほど(笑)。英語ができないとつらいね。

キャリー・ジョージ・フクナガ監督「ジェーン・エア」

ずっと前から相方がアマゾンプライムの会員になっていて、今回会員なら提供されている映画を無料で見られると知った。映画のタイトルがずらっと並んでいて気分をそそられる。その中に「ジェーン・エア」があった。まだ見てなかったキャリー・ジョージ・フクナガ監督で、ジェーンをミア・ワシコウスカがやっている。この映画があったのを忘れてた。見たい、見たいと晩ご飯をすませてすぐに見た。

シャーロット・ブロンテの原作を小6で読んでから魅せられっぱなしでいまにいたる。ほんま、暗記してると言ってもうそではないくらい。吉田健一訳の文庫本を電子化したから好きなところをiPad miniで読めるしね。

見た映画は2本、1943年(監督:ロバート・スティーヴンソン 出演:オーソン・ウェルズ、ジョーン・フォンテイン)と1996年(監督:フランコ・ゼフィレッリ 出演:ウィリアム・ハート、シャルロット・ゲンスブール)を見ている。
今日は3本目になるが、3本中でいちばんよかった。

2011年の作品で監督がキャリー・ジョージ・フクナガ、ジェーンにミア・ワシコウスカ、ロチェスターがミヒャエル・ファスベンダー、フェアファックス夫人がジュディ・デンチ。
フクナガ監督は父親が日系アメリカ人三世だって。このあとのテレビ映画「TRUE DETECTIVE/二人の刑事 」(2014)がいいらしい。

ジェーン・エアをやったミア・ワシコウスカはすごくよかった。ジェーンそのものみたいに感じた。ロチェスターさんはちょっと違う感じ。ジョン・リバース(ジェイミー・ベル)は「リトル・ダンサー」主演の男の子でとてもいい青年に成長してた。ジェーンに迫って断られるけど、そういう役だから(笑)。
ジュディ・デンチが出てきたのでびっくりしたが貫禄あるし映画を引き締めていた。
人間ばかりでなくヨークシャーの風景がすごくよく現されていて、強い風にヒースがなびく広く長い丘の描写が素晴らしかった。

クロード・ルルーシュ監督・製作・脚本「愛と哀しみのボレロ」

1981年のフランス映画。上映されたときすぐに見に行ってその後レンタルビデオでも見た。ジョルジュ・ドンが踊る「ボレロ」は何度見ても素晴らしい。
ボレロのSPレコードが昔家にあってよく父親が聞いていた。真ん中の赤い紙〈ラベル作曲、アンセルメ指揮、スイスロマンド管弦楽団〉というのをいまだに覚えているくらいだからきっと擦り切れていたに違いない。
だから映画を見に行って最初からボレロが流れてきたのにおどろいた。最後の長いジョルジュ・ドンの踊りがすごい。先日、Sさんに貸していただいた山岸凉子の「テレプシコーラ/舞姫」に、いろんなバレエが出てきたのだが、振付家モーリス・ベジャールの名前がよく出てきてこの映画のことを思い出していたのだった。

映画は第二次大戦前からはじまる。ロシアでバレリーナを目指す少女タチアナがプリマを選ぶテストを受けている。曲は「ボレロ」でもう一人の少女が選ばれるが、タチアナは審査員の一人に求婚される。二人は結婚しこどもが生まれるが、夫はドイツとの戦争で死亡、タチアナはバレエを続けながら息子セルゲイを育てる。セルゲイはボリショイバレエ団のダンサーとなり、パリオペラ座で踊り大成功。母に報告するも、帰りの飛行場で西側にドラマティックに亡命。ここはヌレエフをモデルにしている。

パリのキャバレーでバイオリンを弾いているシモンとアンヌは結婚して息子が生まれるが、ユダヤ人狩りで強制収容所に送られる。こどもの命を助けようと列車が出発するときに線路に置く。赤ん坊は拾われ教会に届けられる。

カラヤンをモデルとしたカール(ダニエル・オルブリフスキ)は、ベルリンでヒットラーの前でピアノを演奏し褒められる。戦争中はパリで軍樂隊長となるがフランス人の歌手との間に女の子が生まれる。

その他、アメリカ編にはグレン・ミラー(ジェームズ・カーン)をモデルとした音楽家一家の物語がある。妻と娘サラの2役を演じるのはジェラルディン・チャップリン。

線路に置かれた赤ん坊がどうなったかがわかる。母アンヌが探し歩いた駅へきた息子ははじめて自分の生まれたときのことを知る。そして記憶を喪失した母を見つける。アンヌの孫にあたるダビッドは歌手を目指している。

最後は登場人物がそれぞれの場でボレロを見るシーン。
81年のパリ。ユニセフと赤十字の主催で、指揮はカール、ダンスはセルゲイ(ジョルジュ・ドン)、歌うのはサラとダビッド、司会はニュースキャスターになったエディット。

クロード・ルルーシュの渾身の仕事。
1980年代はまだ未来が明るく見えていたんだと懐かしくなった。

ケネス・ブラナー監督「シンデレラ」

だれでも知っているお話「シンデレラ」の実写化。すごく豪華絢爛な上に、解説を読んだら動物たちの訓練とか大変だったみたいで、改めて出てきたネズミなど小動物たちを思い出して手なづけるのがどんなに大変だったろうと思った。
シンデレラ役のリリー・ジェイムズはおとぎ話に出てくるような美女でないところがよい。イギリス風にしっかりした女性だと思った。シンデレラと王子の出会いが馬に乗って森を走っているとき偶然というのがうまい。
ケイト・ブランシェットの継母は色気があって野心があって悪女ぶりがぴったり。魔法使いにヘレナ・ボナム・カーターが扮して可愛い。
王子様も誠実さが溢れててよかったし王様もいい人だったのでよかった。
宮殿の様子や庭園のセットが豪華で文句なし。
王子様がダンスの後でシンデレラを連れて行ったのが〈秘密の花園〉なんて、世界中の女子の心をわしづかみだ。さすがケネス・ブラナー監督。

本当にガラスで作ったガラスの靴やねんな。
制作中から話題になっていたから見たいと思っていたが、映画館に行く余裕がなくレンタルDVDになった。

吉田喜重「変貌の倫理」と岡田茉莉子「女優 岡田茉莉子」

つい最近になって気になりだした吉田喜重監督だが、なにげなく買った雑誌「ユリイカ」の「高峰秀子特集」で高峰秀子を語るインタビューを読んですごく論理的な人だと思ったのが最初だ。
それから彼が監督している映画DVDを何本か見て、パートナーの岡田茉莉子の自伝「女優 岡田茉莉子」(文藝春秋)を買って読んだ。
岡田茉莉子の自伝はすごい文字数に驚いた。あとで知ったが全部ペンで書いたという。記憶力もすごいが、母上が資料をきちんと残しておいてくれたからこそ書けたそうだ。
わたしは岡田さんの映画は最初の出演作「舞姫」を見ている。この間木下恵介監督の「今年の恋」を見て「はしけやし」という感じやなとつくづく思った。この映画の助監督が吉田さんだったんだって。
この本で吉田監督とどのようにして出会ったかがわかり、二人がいっしょにした仕事や、別々にした仕事のことがわかって楽しかった。
いまやお二人の大ファンである。

吉田喜重の本は他に「小津安二郎の反映画」(岩波書店)を読んだ。「ユリイカ」の総特集「吉田喜重」も読んだ。きちんと感想を書きたいが雑用に追われてなかなか書けないのに、また「変貌の倫理」(青土社)のページをめくっている。あ、みんな自分で買った本です(笑)。
「ユリイカ」の岡田茉莉子と蓮實重彦氏の対談でお二人のことをかなり知ることができてうれしかった。ファンだから(笑)。

バレエ三昧の日曜日 山岸凉子の「テレプシコーラ」と映画「赤い靴」

雨降りの日曜日、お昼まで寝ていたのは昨夜遅くまで「テレプシコーラ / 舞姫」を読んでいたから。東京のSさんがどばっとクロネコ便で送ってくれたマンガは全部で20冊。その上に誕生日プレゼントにわたしの大好物、竹皮包みの「夜の梅」が入っていた (^Q^)/

昨日の夜中まで読んでいてまだ残っているほうが多いが、今日も起きてから3冊読んだ。バレエが好きで山岸凉子の絵物語が好きなので無理を承知。(なにが無理なんや-笑)
うちは相方も少女マンガが好きで、どっちが先に読むか取り合いになるくらいだけど、今回はこっちが先に読んでいる。

先日は誕生日に大好きな映画ということで「マンハッタン花物語」を見たが、今日はバレエの日ということにして「赤い靴」(1948 マイケル・パウエル、 エメリック・プレスバーガー監督)を見た。わたしは中之島公会堂へ50年代に見に行って以来、機会があれば映画館やどこかで公開されると聞くと行っている。テレビでも見たしレーザーディスクが出たときすぐに買っていまはDVDで、合計30回くらいは見ている。

まずモイラ・シアラーの踊りが素敵。映画公開当時は彼女は新人だからヨーロッパのバレエ界ではたいしたことはないと言われてた。でも「赤い靴」を踊るのにふさわしいダンサーだった。彼女が赤いバレエシューズを日本のバレリーナ谷桃子に贈ったというニュースを読んだことがある。

それとバレエ団の団長レルモントフがディアギレフをモデルとしていると知ったこと。そして靴屋を演じているレオニード・マシーン、牧師役のロバート・ヘルプマンがディアギレフのバレエ団で活躍した人と知って感激した。

マイケル・ゴールデンバーグ監督「マンハッタン恋物語」を誕生日に

品の良い上質なラブロマンス。妻子を亡くした孤独な男クリスチャン・スレ―ターと孤児で誕生日すら不明のメアリー・ スチュアート・マスターソンが出会う。夜中の道を散歩していた男がひとつだけ明かりが灯った窓の中に涙する女性を見る。翌朝、彼女が仕事に行くと大きな花束が受付に置いてあった。
有能な彼女は働きすぎで上司は今週は休めという。花を抱えて帰った彼女はカードを頼りに花屋を探す。
マンハッタンのアパートの屋上の花園がめっちゃステキでため息がでる。紫がかったバラが好きと彼女がいうと、翌日はニューヨーク中のスターリングローズを買い占めてどんどん彼女の部屋へ配達する。(原題 BED OF ROSES )

明日がわたしの誕生日なんだけど、天気の都合で延び延びになっていた姉のところに行くことにした。明日は久しぶりに天気が良いらしい。
それで一日早くご馳走を食べてラブロマンスを見ることにした。午後美容院シュリットで髪をきれいにしてもらったからラブロマンスOK(笑)。
姪の夫が贈ってくれた「古酒 翁」がうまかった。

ジョン・フォード監督「リオ・グランデの砦」(1950)

ジョン・フォード監督の騎兵隊三部作の3作目。1948年、49年、50年と年に1本の製作である。3作目は完成度が高く製作費もかかっているようだ。主演女優がモーリン・オハラで3人中でいちばん貫禄あるし美しい。と書いてきて解説を読んだら製作費をずいぶん値切られたと書いてある。でも大ヒットしたので次作「静かなる男」にとりかかれた。

ジョン・ウェインの妻は南部の農場のお嬢様育ちだけど、スカーレット・オハラのように土への思い入れが強い。だが今回は息子が受験に失敗して勝手に騎兵隊に入ったのを連れて帰ろうとやってきた。父のヨーク中佐が統率している騎兵隊に入隊した息子は元気いっぱいである。友だちもでき馬を乗りこなす。父は黙って見ていることにする。2頭の馬に乗って走る(ローマ式立ち乗り)シーンがすごい。

故国アイルランドへの愛国精神が強く、また南部への想いが強く出ている。騎兵隊員が歌うアイルランド民謡など哀愁があってとてもよい。こうなると「静かなる男」がまた見たくなって困ってしまう。

ジョン・フォード監督「黄色いリボン」(1949)

最低一度は見たことがあるとだけ記憶していた。今夜はどんな映画か全然覚えてなくて見たのだが、やっぱり全然覚えがなかった。こんな地味な映画とは思ってなかった。黄色いリボンが西部の空にはためいているかと思ったが慎ましやかなリボンが女性たちの髪を飾っていた。
ヒロインのジョアン・ドルー(ジョーン・ドルーと覚えていた)はわたしの好きな映画10本のうちに入る「赤い河」(ハワード・ホークス監督)でモンゴメリー・クリフトとジョン・ウェインと共演している女優。あの気の強さはすごい。今回は上官のお嬢様だが気の強さはたいしたもの。

ジョン・フォード監督の騎兵隊三部作の2作目。1作目が「アパッチ砦」、3作目が「リオ・グランデの砦」。
ジョン・ウェイン扮する騎兵隊長の退役目前の最後の6日間を描いている。いやな上役かと思うと温情を示す上官、酒飲みの部下の恩給を心配してやるジョン・ウェインは若い部下の恋の応援もする。あくどい武器商人はインディアンにやっつけられる。

とにかく馬が走る。走る馬が主役の映画だ。
ボストンの探偵スペンサーが「馬が走る映画が好き」と言っていたが、なんて映画だったろう。わたしも馬が走る映画が好きだと再確認した。

ジョン・フォード監督「アパッチ砦」(1948)

先日「駅馬車」を見たらおもしろくて同監督の騎兵隊3部作を見たくなった。「アパッチ砦」「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」の3本だが、持っているのもあり、持っていなくてもDVDが300円ほどで売っている。
昔見ていたはずだが、まったく初めての感じがするし何度も見たような気もする。2時間を越える大作でジョン・フォードとジョン・ウェインの息があっていて安心して見ていられた。まだ若いときなのに監督主演とも名人芸の域という感じ。
新任の司令官が娘と一緒に到着するがその娘さんがシャーリー・テンプルちゃん。実際には見たことないんだけど、父親の話によく出てきた可愛い子役が年頃になって出てきたということである。

ちょっとおかしな話。
新司令官のヘンリー・フォンダと娘が駅馬車でアパッチ砦に向かうんだけど、フォンダが取り出したのがiPhone、のはずないけど、<a href=”http://matome.naver.jp/odai/2140041858713641501″>こんな写真</a>が出てきたので見てください。コメントも笑える。