ヨルゴス・ランティモス監督、コリン・ファレル主演『ロブスター』

ツイッターで知人が感想を書いていたのを読んだら興味がわきアマゾンプライムで見た。ちょっとSFでちょっと変わった作品と書いてあったとおり、タイトルがヘンだしどんな映画かなと気になった。

ヨルゴス・ランティモス監督(ギリシャ出身)の作品を見るのははじめてで、ちょっととっつきにくかった。冗談のようでもありSFのようでもあり、おもしろく見られる場面とあほらしくなる場面とがあって途中で少し飽きるところもあった。
ここで描かれる近未来社会は、子孫を残すことを強制的に義務付けられた社会である。そのうち日本もこうなるのかなと思わせるが、日本はきっとこのような即物的な形にいくまでにまず精神的に追い詰められていくんだろうなと想像してしまった。重く怖いSF映画だった。
それでも画面はいかにもアイルランドという感じの森の木々が懐かしいような気持ちを起こさせ息抜きになった。

コリン・ファレルの映画を見たのは3本目だけど、せっかく好きになっていたのに、お腹に贅肉がついちゃって・・・役に合わせて撮影前にしっかり体重を増やしたんだろうな。
レイチェル・ワイズ 、レア・セドゥはともに美してよくやっていた。

『ロブスター』はちょっとわかりにくい映画だったが、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2017、コリン・ファレル、ニコール・キッドマン主演)と『女王陛下のお気に入り』(2018、オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ主演)を見たらヨルゴス・ランティモス監督のことを理解できるのではないかしら。

アマンドラ・ステンバーグ主演『ヘイトユーギブ』

前知識なしで見ることになったU-NEXT配信の映画『ヘイトユーギブ』がすごくよかった。正攻法で黒人問題を16歳の黒人の少女のまっすぐな目線で描いている。2時間を超える長い映画を涙ぐみながら見ていた。
16歳の高校生スターは両親と兄弟との5人で黒人地域で暮らしていて、学校は少し離れた白人地域の高校へ通っている。父は黒人地域で小さな食料品店を経営し、母は大きな病院の看護師をしている。父はつねに娘に黒人としての誇りを持つこと、誇り高く生きることを伝えてきた。
高校には白人の仲良しがおり、白人男子生徒から付き合いたいといわれている。
スターは週末に出かけた黒人ばかりのハウスパーティーで、幼馴染のカリールに会う。彼に車で送ってもらう途中で白人の警官に車を止められ、カリールは手に持ったヘアブラシを銃と間違えられて射殺される。スターは事件の目撃者となってしまったが、マスコミはカリールをならず者扱いし、警官の行為を正当化したため警官は起訴を免れた。地域住民たちが抗議活動をはじめるが、やがて沈黙する。
カリールの無念を晴らすのはわたししかいない。スターは立ち上がる。
スターを演じているアマンドラ・ステンバーグが素晴らしい。
立ち上がった彼女はメガホンを持って群衆に呼びかける。応じてデモに参加した人々に襲いかかる警官たち。スターの父の店には火がつけられる。
最後のいままで抑えていた髪を解放しカーリーヘアにしたスターが生き生きと行動しているシーンがよかった。
2018年のアメリカ映画、129分 監督ジョージ・ティルマン・ジュニア、
原作 アンジー・トーマス『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ』(岩崎書店)

恋愛映画にうつつをぬかして肩も腰もだるい

税金の申告書をせっせと片付けたせいか疲れがいまごろになって出てきた。疲れたからと休むのではなく、昨夜は開放感で映画を見た。こういうことが心に良くても体にあかんのかな。

大好きで4・5回見ているアンソニー・ミンゲラ監督『イングリッシュ・ペイシェント』は1996年製作のアメリカ映画。恋におちる二人がレイフ・ファインズとクリスティン・スコット・トーマス、そしてジュリエット・ビノシュが看護師役でとても素晴らしい。コリン・ファースがちょこっといい役でなく出ているのを発見。上映時間2時間42分だからがんばって見てたら疲れる。終わってからの余韻がいいんだけど話しの結末はつらい。

結局、夜のストレッチはさぼってしまった。そういえば午後のストレッチを忘れていたので、これはあかんと今日は2回分やった。こういうことは毎日やらんとあかんのにね。
晩ご飯の後片付けをしてたらきつい肩こりを感じて、あわててサロンパスを貼った。腰もだるいしナンギなことである。ええトシして恋愛映画にうつつを抜かしてるんやからしゃあない結果である。

マーク・ウェブ監督『さよなら、僕のマンハッタン』

昨夜は先入観もなにもなく「映画見ようや」「今夜はこれ見るから」というわけで、ご飯後にすぐ見始めた。タイトルは聞いたがすぐに忘れてしまった。先入観なしではじまったが、主人公の青年トーマス(カラム・ターナー)が爽やかですぐに好感を持った。
「ウッデイ・アレンみたいな映画やな」といいつつ、青年と彼に近づいてきた初老の男(ジェフ.ブリッジス)の会話を楽しみ、ガールフレンドとうまくいけばいいのにねと応援していたが、いろいろあって物語はドラマティックに展開する。

時代のせいか、作家の資質のせいか、マーク・ウェブ監督はウッデイ・アレンのようにとんがっていなくてよい。問題が起こってもちょっとナンギやなといった感じで見ていた。
「ニューヨークはええなあ、マンハッタンもブルックリンもええなあ」と行ったことないのに羨ましがっている。映画見て羨ましがってもしゃあないけど、おうちでの食事もお店でのパーティも、みんなおしゃれして、仕入れておいた会話を楽しみ・・・こんなんやりたいけど・・・わたしはやっぱりおうちごはんがいちばんのような気がする。気分は内向き。

テレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレーヴの『アンコール!!』

ツイッターでタイトルを見かけてメモっておいて、あとで検索したらテレンス・スタンプ主演だって。もういっこ驚いたのはヴァネッサ・レッドグレーヴも出ているって。お二人とも長いことご無沙汰していたが大好きな俳優である。テレンス・スタンプは『コレクター』、ヴァネッサ・レッドグレーヴは『ジュリア』を封切で見ている。二人ともブルーの瞳がきれい。監督ポール・アンドリュー・ウィリアムズは若い人で俳優や脚本もこなしているそうだ。

そんなことより、映画がはじまってすぐ、アーサー(テレンス・スタンプ)が車椅子に妻マリオン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)を乗せて歩いているシーンがあり、うちらは「あれ、あれ」と呆気にとられて叫んだ。アーサーが押している車椅子がうちのと同じなのだ。小さな車輪がついていて一人が座れて一人が押す簡単なやつ。解説を読んだ相方が「アーサーは俺と同じ年や。車椅子も同じやんか」と叫んだ。映画が始まっているから二人で大笑いしたまま画面にもどった。うちの車椅子は背もたれと座席がきれいな紫色の布で覆われている。ちょこんと小さなわたしが座って膝掛けをかける。マリオンは大きいから上着や膝掛けが車椅子からはみ出している。それが可愛いヴァネッサ・レッドグレーヴ、たいした女優さんだ。

毎日アーサーはマリオンを車椅子に乗せて買い物に行き、コーラスの練習場まで送るが自分は中に入らず、外でタバコをすって待っている。
コーラスの先生や仲間に無愛想なアーサーにマリオンは慣れていて受け入れている。ひとり息子がひとり娘を連れてやってくるが、アーサーは来るなという。子供の時から気が合わない親子なのである。

マリオンは癌で化学療法かアイスクリームとポテトを食べて2ヶ月の命かと病院でいわれて、好きなものを食べる選択をする。
アーサーが優しく看取り、マリオンは楽しい夜を過ごした後で亡くなった。

独り者になったアーサーをコーラス団「年金ズ」が受け入れる。それがなかなかストレートにいかなくて笑わせる。実はアーサーは歌が上手いのだ。

最後はおきまりのハッピーエンドだが、笑わせてもらったし、イギリスの年金生活者の暮らしぶりを知ったし、わたしはよしとする。うらやましいよ英国の年金生活者。マリオンとアーサーの住む家は簡素で家賃安そう。

3本の映画を見て思ったこと 『コンスタンティン』『ヒアアフター』『さざなみ』

最近は映画にご無沙汰していたが、ツイッターでキアヌ・リーブスファンが『コンスタンティン』を話題にしていたので見たくなりすぐに見た。どっちかというと好きな映画だが、ちょっとしんどかったかな。キアヌ・リーブスは美しいしティルダ・スウィントンは他に類のない女優だし、文句のつけようがないが、しいていえば重かった。

実は『コンスタンティン』を見る前に『さざなみ』を見ようとしていて、『ヒアアフター』に遭遇してしまい、こっちのほうがよさそうと思った。ややこしい笑。誰が監督かも気にしてなくて、見終わったらクリント・イーストウッドだった笑。二度見たけど全然飽きなかった。

後半で出会うことになる主人公たち、霊能者ジョージ(マット・デイモン)、臨死体験を本にしたジャーナリストのマリー、一卵性双生児だが一人が死んでしまった孤独な少年の3人がロンドンで出会う。出会いの場がディケンズ博物館というのもうれしい。
少年を預かった里親が細かい配慮をしているところにも感心した。

ジョージとマリーが抱き合って映画は終わるけど、このさきの心配はしません。二人はうまくというか、愛し合い話し合って進んでいくと思うから。
いい気持ちで映画が終わってよかった。

それに対して期待を持って見た『さざなみ』だったが、もひとつピリッとしなかった。なんか生活が裕福すぎる。そういう生活を肯定的に見せているところが気になる。裕福でも貧乏でも前向きな暮らしってあるはず。

シャーロット・ランプリング主演『さざなみ』

封切り時から見たいと思ってた作品(アンドリュー・ヘイ監督)をようやく見た。シャーロット・ランプリングの若い頃の映画はけっこう見ているが、最近は名前も忘れていた。さっきまで期待に胸膨らませて見てたわけだが、もひとつだったな。
結婚して45年目の夫婦は記念パーティをすることになっていて、着るものやメイクなどにも配慮しないといけない。病気をしてちょっと気持ちが弱っている夫をいつも気遣っている妻だが、いまになって夫には自分と知り合う前に愛していた女性がいたことがわかる。スイスの氷山で行方不明になっていたのがいまごろ遺体が発見されたのだ。

いつも夫のことを気遣いつつ暮らしているのに、夫は過去の恋人のことで頭がいっぱいになっている。郊外のゆったりした家で呑気に暮らしているのに、心の中に風が吹き荒れる。

クリント・イーストウッド監督『ヒアアフター』

なんか映画見たいなとアマゾンプライムをぶらぶらしていたらクリント・イーストウッド監督、マット・デイモン主演の映画があった。昨日はキアヌ・リーブスで今日はマット・デイモンか、どっちも大好きだからいいじゃんと見始めた。

リゾート地のホテルにいるカップルの男性は気だるくベッドにもうちょっといるといい、マリーは買い物に街へ出かける。
買い物していると海の水がすごい勢いで跳ね上がり巨大な津波となって押し寄せてきた。逃げる間も無く波にさらわれる人たち、流れた建物にあたって倒れる人たち。建物の中にいて助かった人は倒れた人を助けようと動き出す。
マリーは死んだと思われそっと置いておかれるが水を吐きやがて息を吹き返す。津波にのまれて呼吸が止まったときに見た映像が頭から離れない。マリーはテレビ番組の司会者としても現代社会への批判者としても知られた存在でミッテランに関する本を書くつもりで、周囲の人たちにも期待されている。

ジョージは地味に工場で働いているが解雇される。彼はかつて霊能力者として知られていたが、いまは自分を嫌悪している。兄がビジネスとして彼を組み込もうと目論んでいるのもうっとおしい。ジョージはなにもかも置いてロンドンへ行く。いつもジョージはディケンズの作品朗読を聞いて心を落ち着かしているので、今回もディケンズ博物館へ。

マリーが休暇をとって書いたのはミッテランでなくて臨死体験であった。周囲で無視され仕事もなくなるがマリーは自分の体験を書いた本を出す。
マリーがブックフェアで朗読すると、ジョージが聞いていて、本を買いサインをしてもらう。

キアヌ・リーブスとティルダ・スウィントンの映画『コンスタンティン』

DCコミックス「ヘルブレイザー」の映画化で2005年に公開された。
原作はDCコミックスの漫画「ヘルブレイザー」、監督がフランシス・ローレンス。エクソシストのジョン・コンスタンティンをキアヌ・リーブス、刑事と双子の自殺した少女二役をレイチェル・ワイズ。わたしがこの映画を見る気になったのは、キアヌ・リーブスとともにティルダ・スウィントン(天使ガブリエル)が出ているから。
上映時間121分を退屈せすにじっと見つめていたんだから、映画も見ていたわたしらもすごい(笑)。

キアヌ・リーブスはほっそりと美しくて機敏で動きに目が離せない。長時間ずっと出ていてくれてありがとう。
ティルダ・スウィントン! 彼女の出ている映画は『オルランド』しか見ていないのだが、写真はいろいろ見ていてずっと憧れの存在だったからぴったりの役でよかった。

最近は後醍醐天皇や吉野など日本の中世に関する読書であたまがいっぱいである。この映画はキリスト教やらカトリック関連に親しければすっと入ってくるはずが、なかなかむずかしかった。

クリストファー・ノーラン監督『インターステラー』

ツイッターでフォロワーさんが『インターステラー』がプライムで見られると喜んでいるツイートを読んで、きっといいに違いないとどんな映画かも知らずに見ることにした。クリストファー・ノーラン監督は『ダークナイト』がよかったから今回もきっと気にいるはず。

とても長い映画だった。169分を「長いなあ」と一回もいわずじっと見ていた。終わってから一緒に見ていた相方に「よかったねえ」といったら、「今日長いなあといわなかったな。いつも長いなあというときはイコールつまらんなあということか」と詰問(笑)されたけど、昨夜は全然長いと感じずに最後までいった。宇宙や地球のSF的なところと、父と娘の愛情あふれる行動の描写などが一体となっていて飽きなかった。本棚から幽霊が現れたような父から娘へのモールス信号での連絡もよかった。娘が解読し重力の謎は解明される。この映画のテーマは「愛こそすべて」なんだそうだ。
農場を営んでいる元宇宙飛行士クーパー(マシュー・マコノヒー)はNASAの要請に応じてラザロ計画に参加することになり、娘にはかならず戻ると説得してアメリア博士(アン・ハサウェイ)らと出かける。

マン博士(マット・デイモン)率いる12人の乗組員は命がけで惑星探査に出動するが、マン博士は孤独に耐えられず、地球に信号を送って救助を待つ。このへんのことを思い出していたらなんかよくわからなくなった。ブラックホールの内側に突入なんてところもあったようだ。
もう一度見なければわたしにはわかりません。