暑いけど元気

この暑さの中を、よく眠れるし、よく食べられるし、その上に、よくしゃべり、よく読み、ありがたいことである。
今朝アマゾンに本(四方田犬彦『ニューヨークより不思議 』(河出文庫)を注文したら、お急ぎ便なら今日届くとあったのでびっくり。落ち着いて「お届け日時指定便」にして明日の午後にほしいと時間指定した。配送状況を確認したら関西の拠点から配達してくれるようだ。なるほどである。急ぐのなら今日注文で今日届くのだ。そんなにいそがんでもかましまへんで。
ということで、明日の夜は四方田さんのニューヨーク話が読めるのだ。うれしいな。

今日はマイケル・カニンガムの『この世の果ての家』を数日かかって読み終えたので感想を書こうと思っていたら、天皇の言葉をラジオで聞いて、そのあとはツイッターで皆様の意見を読んでいた。それと311以来ずっと読んでる『週刊現代』が今日出たのでコンビニで買ってきて読んでいる。テレビと新聞の代わりに、週刊誌と有料ネットニュースを2つ買っている。

明日は四方田さんの本は待ってもろて優先的に『この世の果ての家』の感想やな。厚くて字が細かくて読むのが難行やったけど、難行を乗り越えられる内容やった。

マイケル・カニンガム『この世の果ての家』が届いた

当日記26日「見たい映画と見たい本」に書いたマイケル・カニンガムの『この世の果ての家』(角川文庫)をアマゾンに注文したのが届いた。なんと、中古本で1円だった。厚さ2センチ、ページ数は柿沼瑛子さんの解説を入れて572ページ、そして文字が小さくてぎっしりと詰まっている。老眼では長時間の読書は無理だ。ヴィクシリーズの新刊がこんな感じだと思い出した。ヴィクシリーズの場合は新刊ピカピカだから文字が小さくても読みやすい。この本は2003年発行だから12年前のか。古びていてもモンクはいえない(1円だし)。つけ加えると、1992年に単行本で翻訳出版されたのが、10年経って文庫で再び出版された。映画化されたせいかな。どんなかたちであろうといま読めるのがありがたい。

家にいてネットで手に入れたのだからほんとにありがたい話。目をいたわりながらぼちぼち読んでいこう。しかし、未読本がこんなにあって困ったなあ。
恋愛小説から片付けていけば、この本は順番が早い。そっとすぐ読む本に挟み込んだりして(笑)。
ごちゃごちゃ考えてないで、コーヒーでも淹れて最初のところだけ読み出すことにしよう。柿沼さんが解説を書いているということはゲイ文学だろうから。

見たい映画と読みたい本

先日ツイッターでフォロワーさんのツィートが気になって「いいね」にしておいたのが、「ロビン・ライトが弓を引く姿とかカッコ良すぎでしょ。ワンダーウーマンを育てる女戦士アンティオーペ。」というお言葉。ほんまに颯爽とカッコいいロビン・ライトだ。

わたしは90年代ロビン・ライト・ペンの時代の彼女が大好きだった。『シーズ・ソー・ラヴリー』『メッセージ・イン・ア・ボトル』、もう1本すごくいいのがあったのだがタイトルすら記憶が不鮮明。そのうち思い出すだろう。ショーン・ペンもちょっと出ていたっけ。

気になって出演作を検索したら全然知らなかった『この世の果ての家』があった。原作がマイケル・カニンガムで「1990年に発表され、ピューリッツァー賞を受賞した。2004年に映画化され、カニンガム自身がその脚本を書いた。」とある。
マイケル・カニンガムの『めぐりあう時間たち』は映画もよかったが原作はなおよい愛読書である。もしかして原作があるかもとアマゾンを見たら、なんと角川文庫で『この世の果ての家』があった。即注文。別れたゲイのカップルのうちの一人と同棲している女性の役がロビン・ライト。今日の収穫(笑)。

四方田犬彦『女神の移譲 書物漂流記』

図書館で借りて返しに行ってまた借りてきて長いこと抱えこんでいた。全体をさあっと目を通したけど、きちんと読まないと理解できないことがわかった。四方田さんはよく読むのはもちろん、よく人と会って話す。そして現地に走って納得するまで見る。そして書く。エネルギッシュである。
この本は買って自分の本にしようと決めた。それでとりあえずあさって図書館に返しに行く。
買ってすぐに読んだらいいんだけど、いま積ん読本の山があるので、心覚えだけここに書いておこう。

本のタイトルになっている『女神の移譲』は26章のうち20章目に入っている。本のタイトルにするくらいだから気合いが入っていると感じた。タイトルの「女神」がアルテミスのことと知ってうれしくなった。狩りと月の女神アルテミスは弓を放てば百発百中だったそうだ。わたしの性格はアルテミス型だとわかったのはジーン・シノダ・ボーレン『女はみんな女神』を読んだから。

ギリシャ神話のアルテミスはローマ人にはディアーナと呼ばれていた。フランソワ・トリュフォー監督の映画『黒衣の花嫁』ではジャンヌ・モローが花婿を殺した仇と突き止めた画家のモデルとなる。ディアーナの衣装で弓を持った姿が印象的だった。

女神の像を見るために四方田さんはエフェソスへ旅する。イスタンブールから飛行機でイズミール到着、ホメロス生誕の地である。バスを乗り継いでセルチェクへ到着。シーズンオフなのでバスもない。ホテルの主人が車を都合してくれたのでエフェソスへ向かうが、崩れかけの階段なんか見て面白いのかと不思議がられる。
四方田さんはこの地に生きた人について書き、その人が生きた場所を訪ねたいと思ったと書いている。

ここから引用
だが最後に、もう一つ別の、いささか観念的な理由を告白しておこう。それは他ならぬこの地域が古代のギリシャ人によって、最初に「アジア」と名指された場所であったという事実に関連している。わたしは二十歳代の韓国留学が契機となって、長い間にわたりアジアとその映像をフィールドとしてきた。ここらで一度、その名称の起源の地とやらに立って、四方の風景を見渡しておいてもいいと気紛れな気持ちを抱いたのである。
引用終わり。暖かな気持ちになった。
(作品社 2400円+税)

『日本会議の正体』をまだ全部読んでない

今夜は風がよくとおって涼しい。満月がまだ見えないので待っているところ。あちこちのマンションが邪魔になって上のほうに上がらないと見えないのだ。

青木理さんの『日本会議の正体』(平凡社新書)を読みだしてから10日以上経ってしまった。ミステリの読みかけをおいて読んでいるというのにどんどん読みすすめない。内容に圧倒されている。用心深い書き方にも影響されて慎重に読んでいる。

途中で祇園祭があり、この時期になると開く川端康成『古都』を最初からまた読み通した。寝る前の読書は漱石の『草枕』をiPad miniで読んでるところ。どっちも何十回目だ。『草枕』の最後のシーンを読んでいたら、蓮實重彦『伯爵夫人』を思い出した。戦争がはじまるときの知識人の胸に頭に浮かび上がるもの。開戦前の気分が両方の作品から感じとれる。その感じがわたしにもわかる。もしかして、いま。

ようやくヴィク・ファン・クラブの会報づくりをあと2ページまでやった。暑いとスピードが落ちて毎日2ページずつしか進まない。今月はA4で18ページ。
クーラーつけていても、パソコン関連機材に囲まれているから暑い。
でも今夜は風が通って涼しいから、これからコーヒー飲んでもうちょいがんばろう。

祇園祭やさかいに川端康成『古都』を読む

先日姉と話していたら妹と電話で朝日新聞の連載小説の話で盛り上がったという。昔みたい。そう昔みたいに姉と妹はいまだに朝日新聞である。昔は親たちも子どもたち7人もみんな連載小説を愛読したものだ。晩ご飯は連載小説の話題とともに(笑)。

川端康成の『古都』は1961年10月から朝日新聞に連載された。そうか、60年安保の翌年か〜
安保闘争のあと、わたしがしょぼんとしていたときの気分に合ったんだろうな。そのころは小さな会社で働いていて、言うならばひまわり娘みたいな存在だった(笑)。京都から通勤していた同僚の男性が祇園祭に誘ってくれ、祭りの後は古い町屋の自宅に泊めてくれた。『古都』を愛読していたわたしは千重子の気持ちになって祭りの人混みの中にいた。

次に祇園祭の京都に泊めてもらったのは70年代になってジャズ喫茶マントヒヒに通っていたときだ。マスターの木村さんと常連たちと京大西部講堂でのコンサートの帰りに飲んだ後に木村さんんの下宿先に泊まらせてもらった。関大教授で関大ジャズ研顧問になった木村さんが京大大学院に学んでいたときだ。

祇園祭をもう一つ思い出した。やっぱり70年代だったか、西部講堂で催しがあり、あんまり面白くなくて早めに引き上げた。そのとき街は祭り一色だったがあまりにも暑くて、今日はもうええやんと帰ってきた。
それ以来、祇園祭はニュースで知ってるだけである。

夏になると『古都』を引っ張り出す。文庫本が傷んでくると新しく買い直して読む。電車で出かけるときはバッグに入れておく。
古都・京都に生きる千重子と苗子、父と母、竜助と真一、秀男、竜助の父、みんな好きどす。こんなに愛読している新聞小説は他にない。

エドワード・D・ホック『怪盗ニック全仕事 3』

今日は雨でここ数日の猛暑がちょっと緩んだ。窓から入る風が心地よい。お気に入りの椅子に座って、お気に入り怪盗ニックの物語をゆったりと読んでいる。ニックとグロリアのようにヨットで海に浮かんでいたらどんなによろしかろうと思いながら。でもうちらにはニックほどの頭と度胸がないからしかたない。せめてコーヒーでも淹れようか。夜が更けたら週末だしウィスキーという手もあるわね。

ニック・ヴェルヴェットはガールフレンドのグロリアとニューヨークで暮らしている。仕事は一件につき2万ドルで値打ちのないものを盗む泥棒である(本書の途中でグロリアの意見で2万5千ドルに値上げする)。お金や宝石や世間で値打ちがあると決まっているものには頼まれても手を出さないのを原則としている。

※この物語はずいぶん前に読んだので書いてもいいと思いました。「きのうの新聞を盗め」をまだ読んでない人はネタバレなのでここから後の一段落は飛ばして読んで、作品を読んでからもう一度ここへお越しください。

ニックは泥棒であることを長期間グロリアに隠していた。ニックのみかけはごく普通だし態度も静かだから、泥棒で稼いでいるなんて全然見えない。グロリアは同居が10年超えても、政府の仕事をしてるみたいだけど、それにしてはおかしいところがあるわねって感じだ。
今回は泥棒であることがグロリアの前で他人の口から明かされてしまい、グロリアは反発する。いよいよ打ち明けるべきときがきたとニックは家で酒を飲みながら打ち明ける。ドキドキして返事を待つニックに軽くグロリアは答える。ほほえんで「最低二万五千ドルは要求すべきだと思うわ」
ほんまに素敵なカップルである。大好き。

『怪盗ニック全仕事 3』には第30話「つたない子供の絵を盗め」からはじまって、第44話「使用済みのディーバックを盗め」まで14の物語が収録されている。
(木村二郎訳 創元推理文庫 1300円+税)

※このブログは以前の「kumiko日記」から引っ越し作業中です。
『怪盗ニック全仕事 』の感想、1と2は移動済みなので、右上の「検索」を使ってお読みください。

ヴィクの年齢について質問があった

はじめての方からメールをいただいた。ヴィク・ファン・クラブに入会希望ではないと、最初に書いてあったので、なーんだ、なんだけど。
ヴィクの年齢に関してのご質問で、これは会員間で話題にもなったことがあるので、返信するけど、せっかく考えるのだからここにも書いておこう。今日のブログネタになった(笑)。

メールから引用させてもらう。
【ヴィクは40歳からあまり年齢をとらなくなってきたのではないでしょうか?】

そうですね。日本での最近作『セプテンバー・ラプソディ』では、ヴィクもコントレーラスさんもロティも元気だ。コントレーラスさんなんか最初に出てきたときから数えれば100歳になってしまいそうだけど元気。そうそう、犬たちもずっと元気でいる。フィクションだからこれでいいんでしょう。フィクションの中に真実がある。

でもまあ、ちょっと考えてみる。
一作目の『サマータイム・ブルース』のときはいくつだったんだろう。いまは本を出して読み返す元気がないが、大学へ聞き込みに行くところがあって、学生たちと話すところは30歳近いかなと思い出した。けっこう弁護士などキャリアも積んでいるし。

16冊の長編小説の中にヴィクが活躍している。いまのところ、その期間は1982年から2013年の約30年なんだけど10年に凝縮されている感じかな。社会情勢のさまざまなシーンに凝縮された年齢のヴィクがいる。
タイプを打っていた時代からはじまって、パソコン、そしてMacを使い出してずっとMacが進化。携帯電話からiPhone、パームを使ってたこともあった。『セプテンバー・ラプソディ』はコンピュータが主役になっている。

サラ・パレツキーさんが来日したとき、近鉄奈良駅の喫茶店でiPadを出して写真を見せてくださったのを思い出す。iPadが出て間もない時だった。

四方田犬彦『ひと皿の記憶 食神、世界をめぐる』

四方田さんの本を何冊か読んだがいろんな事柄について関心の広さ・深さに感心するしかない。四方田さんの人物紹介を読むと、学問や映画など文化部門の最後に「食」がある。そうだ!次は「食」についての本を読もうと思って選んだのが本書である。文庫でぎっしりと文字が詰まっているがとても読みやすかった。カバー絵も楽しい。

子どものときに祖父母に連れられていった奥能勢の鮎料理からはじまる食の話に惹きつけられた。日本の食についてから自由自在に広がる韓国や東南アジアで現地の人々と同じ食卓を囲んで食べた辛い料理の数々について。ピョンヤンで食べた朝食の話に感動した。
イタリアでは料理を習うためではなく料理学校に通う。そしてイタリア各都市のうまいもの(例えばナポリの蛸)から話はロンドンにとび、ロンドンの鰻を食べる話。オスロではいちばんいい季節と言われて鱈を食べる。
最後はフランスで、パリの朝市の話からはじまり、ボルドーではかのフォワグラを食べ、そしてフォワグラを買って新幹線でパリのアパートへ帰り、店で聞いたやり方で料理する。そのあとはプルターニュのクレープから出雲の蕎麦粉へと話題は広がる。

あまりにも広範囲なので話題についていくので必死(笑)。ひとつだけよくわかったのはビーツ!! 笑った!! パリの朝市は野菜が豊富。アーティチョーク、ミント、トマト、葱、ビーツについてコメントがある。笑えたのはビーツを食べ過ぎて便が赤黒くなったという話だ。大学病院で診てもらってビーツのせいとわかってほっとしたって。谷崎潤一郎も同じような目にあったとエッセイに書いているって。
(ちくま文庫 840円+税)

そろそろミステリーにもどろう

四方田犬彦さんの本を読み始めたのは4月で、それ以来四方田熱におかされてずっと読んできた。四方田さんの本を読んでいるだけでなく引用しておられる本や事項も読むからたいした量になっている。まだまだ醒めない四方田熱だが、ちょっと休憩に入る。

木村二郎さんが翻訳されたエドワード・D・ホックの『怪盗ニック全仕事 3』を送ってくださった。わたしの愛してやまない怪盗ニックのはちゃめちゃな冒険物語。さっそく第1話を読んだ。やっぱりおもしろい。これを読み終わるまでしばらく他の本は読まないことにしよう。

今日はお昼前に姉の家に行って夕方もどってきた。帰ってすぐのツイッター。【出かけた帰りにジュンク堂に寄って、ジェイムズ・エルロイ『背信の都 上下』(文藝春秋 上下とも2050円+税)を買った。帰り道が重かったけど、「我がものと思えば軽し傘の雪」の心情(笑)。いつ読めるかな。】とノー天気なことを書いた。ほんまにこの2冊は目方がやけに重たい。内容も重そうだ。「ジャップ殺しの罪はジャップに着せろ。」って帯にある。これぞエルロイって気持ちがはやる。

ホックを読んだらエルロイを読もう。でもすぐに読むのは実はロマンス『スコットランドの誘惑』(マデリン・マーチン)。はずみで買ってしまったの(笑)。7月9日発行だって。たたたとまずはスコットランドに誘惑されよう。