姉との会話では向こうの話を一方的に聞くことが多かった。聞かれたら返事するけどほとんど向こうがしゃべっている。最近なぜか質問が多くなったようだ。昨日は「あんたは槍ヶ岳に登った人やさかいにな、尊敬するわ。お母ちゃんがいまごろ遭難してないかなと心配してたで」と言われた。山には親に相談するなんてことなく自力で支度して出かけていた。自分で働いたお金で山に行ってなにが悪いねんというのがわたしの屁理屈。5番目のこどもに早々に自立を促していた親がなにを言えるかって(笑)。「遭難してもほっとく」とか姉に言ってたみたいだ。わかっているから周到な用意をして六甲山で訓練して行ったのだ。それにしてもうん十年経ってからなにを言うてくれますねん、ねえちゃん。
そんなことで思い出した槍ヶ岳登山、いま見たら、東鎌尾根(表銀座ルート)を登っている。7月中旬、夜行列車で大阪発、名古屋で中央線に乗換え、明け方なんという駅で降りたんかな。それからバスに乗って中房温泉着やったんかな。中房温泉→燕岳→大天井岳→東鎌尾根→槍ヶ岳とそれからずっと登り。景色も見えずひたすら登った。燕岳に着いたのが夕方でそこに泊まったのだったか。もっと登って小屋に着いたのか。山小屋は混んでいて雑魚寝。
翌朝、小屋の朝ごはんを食べて出発。槍ヶ岳まではわりと簡単に登ったような気がする。わたしにとっては最初のでっかい登山だった。それまでは六甲山あちこち、比良山あちこちを登っていた。日本アルプスに一度は登ってみたかった。
男子2名は鉄道会社の社員で職場の登山部のメンバー、女子はわたしとNさん。日頃ハイキングやロッククライミング練習についてきたこの2人なら大丈夫と組んでくれたのだった。帰ってからいろんなところでわたしらがしっかりしてたとしゃべってくれた(笑)。
ある有名人が「登山をしない者にとって日本を代表する山は富士山だが、登山を愛好する者にとってのそれは槍ヶ岳である」と言ったそうな。
その後は上高地あたりで遊んだりしたが特に高い山には登ってはいない。興味が八ヶ岳に移って何度か、それから北八ヶ岳が好きになり一人で行ってうろうろした。
山に登るよりも山を見て楽しむ方が好きなんだと思う。まあいずれにしても昔の話である。