マイケル・ウィンターボトム監督『GO NOW』

明るい映画を見たいが単純に明るいのはいやで、心が温まる(笑)ようなのが見たい。上質なラブコメディがいいと身勝手なことばかりいっている。
さて、「GO NOW」(1995)を選んでみたがどうなんでしょう。マイケル・ウィンターボトム監督の映画は「日陰の二人」しか見ていない。主演はロバート・カーライルで、「トレインスポッティング」(1996)と「フル・モンティ」(1997)を見ている。

スコットランドのブリストルで暮らすニック(ロバート・カーライル)は美術関連の職人として働き、休日はサッカーチームの一員として活躍し、夜はバーやクラブで遊んでいる。クラブで知り合ったカレン(ジュリエット・オーブリー)といっしょに暮らすようになり幸せだったが、ある日、仕事場で金槌が手から離れて大失敗をする。病院へ行くと多発性硬化症と診断される。あせりをカレンにぶつけるが、ふたりでリハビリを続け日常生活を維持する努力をする。両親と兄たちがグラスゴーからやってくるがニックの病気の実情を知って呆然となる。
ニックはカレンと別れたほうが彼女のためだと考えて、アフリカ遠征中に浮気をしたと告白して別れようという。カレンは追い出されるが雨の降る中をアパートの下で立ち続ける。

気がつけば17年も前の作品なのに古びてない。苦手な難病ものだったが気持ちよく見ていられた。主役のふたりがうまい。脚本がものすごくうまい。
ブリストルの町はいまもサッカーチームがあってバーやクラブが賑わっているのかしら。

いまスコットランドの首都エディンバラのリーバス警部の物語(イアン・ランキン「死者の名を読み上げよ」)を読んでいるところなので、町の風景などに思い入れしてしまう。ビリヤードの場面なんかこんな感じなんだと思った。

毎年夏バテしてるか調べた

なんだか気持ちとからだが上向かなくてやっぱり夏バテかと思う。ミクシィ日記やコメントで今年は特にしんどいと書いてる人が多い。姉に電話すると「今年は特別ひどいわ〜」という。
それで、当日記で前3年の9月を振り返ってみた。

去年は8月31日にSUBの西山さんが亡くなられた。
暑さに負けてると書いているのは15日。
それでもよく出歩いている。SUBの西山さん追悼ライブ、YOSHITAKE EXPE + 沼澤 尚 公開セッション、クジラウオでバースディディナー、リバープレイスでの光合祭、タムタムカフェご飯、911サウンドデモ、堀江の雑貨店で買い物、など。

おととし2010年は1日目から「夏バテ」だと書いてある。といいながらも多忙な日々を乗り切った。サラ・パレツキーさんが来日され30日には奈良でいっしょに食事して語り合った。その打ち合わせやお知らせや報告や、東京の行事の連絡や、ヴィク・ファン・クラブ関連が忙しかった。
菜食をはじめた年である。

一昨々年の2009年は義兄の入院につきそいはじめた時期で、9月から12月に亡くなるまで阪急京都線淡路の病院へ3カ月通った。ストレスで暴食して太ったみたい。それでもよく本を読んでいるのに感心。

3年間の9月の日記を読んで感じたのは、やっぱり〈311〉の前と後はどことなく違うなってこと。前は楽観的な気分が底辺にあったような気がする。体も元気だったし、仕事も順調だったこともあるが。
さて、今月あと2/3はどんなことを書くかな。
毎週火曜日の「瓦礫の焼却ダメ!大抗議in大阪市役所」には、一回置きくらいに行くつもり。

コリン・デクスター『キドリントンから消えた娘』

「キドリントンから消えた娘」(1976)は「ウッドストック行最終バス」(1976)に次ぐモース主任警部シリーズの2作目で、憂愁が漂うモース警部に思い入れてしまう。

キドリントンはオクスフォードに近いモース警部が住んでいる町である。
3年半前のこと、オクスフォード行きのバス停留所で出会ったのは就職先が決まった青年と後から来た少女。赤いバスの二階にいっしょに乗ってオクスフォードに到着すると、青年は乗る列車が決まっているのに少女と遊ぶことに決めた。青年は後々一番ホームに行かなかったことを何度も後悔する。

2年前にエインリー主任警部は、キドリントンから家出して行方不明になっている少女バレリーを死亡したものと考えていた。3週間前にエインリーが交通事故で亡くなり、いま上司はバレリーからの両親宛の元気でいるという自筆の手紙を出して、モース主任警部にこの事件の捜査を命じる。殺人事件でなく失踪人探しかとうんざりするモース。

モースとルイス巡査部長は両親の家、学校の教師、近所の人たちを訪ねて当時の様子を聞く。モースはバレリーは死んだものとしか考えられず、手紙の筆跡についてしつこく仮説をたてる。しかし、エインリーがなぜ死ぬ前にロンドンへ行ったのかも考える。ルイスはロンドンへ行くべきだというが、まだモースは死亡説にこだわる。そこへまたバレリーから手紙がとどいた。「あなたがたは、私を捜していられるそうですが、私はそれを望みません。家へ帰りたくないんです。」

モースは一人暮らしである。本棚には「スインバーン全集」(わたしはスインバーンの本を1冊しか読んでいないが好きなのでモースに好意を持った-笑)と「ビクトリア朝好色文学選集」(モースはもっと人目につかないところに置いておこうと思った)があり、ロンドン市街地図はその裏にあった。
モースの過去には女が多過ぎるほどいた。そのうちの一人や二人は夢の中に現れる。いまは40歳もなかばなのに結婚もせず孤独である。

最後の一行
【家出娘たちの中のあるものは、けっして帰ってこなかった……永久に。】
(大場忠男訳 ハヤカワポケットミステリ)

肉なしハンバーガーとシボーン部長刑事

肉無し食べ物シリーズは〈肉無し肉じゃが〉〈肉無し麻婆豆腐〉〈肉無しチリコンカン〉ときて、次は〈肉無し茄子のカレー〉。
ひき肉を入れないで、ニンニクとタマネギをゆっくりと炒め、大切りの茄子とトマトをたっぷり炒めて水を少々。カレーペーストといろんなスパイスで味付けした。なんや〜肉を入れないほうがうまいやん。大きな茄子とトマトを4個ずつ使って2回分あった。

そしたらおもしろいものにぶつかった。イアン・ランキンの「死者の名を読み上げよ」を読んでいたら70ページにこんなことが書いてあった。
2005年、スコットランドはエジンバラでG8が催されて世界各国から首脳が集まっている。そこへG8反対のデモ隊がイギリス各地から集まってきた。警備する者もイギリス各地から集められて大変な人数がいる。シボーン部長刑事の両親はデモ隊のバスに乗ってやってきた。草原のテント村にデモ隊の人たちはそれぞれテントを張っている。リーバス警部が見ていると年配者が多くて楽しそう。みんなスローガンのついたTシャツを着て手作りの横断幕を持っている人もいる。大テントが張られて食べ物を提供している。フライドポテトや肉なしハンバーガーが用意されている。どちらかというとヒッピー風な人の多いデモ隊である。
この本はすぐ読むのがもったいなくて2年半も寝かせてあったがいま読んでよかった。
〈肉なしハンバーガー〉やってみよう。
(延原泰子訳 ハヤカワミステリ 2000円+税)

なつかしき007、マーティン・キャンベル監督『007カジノロワイヤル』

久しぶりに007の映画を見た。最初の007から50年! あのころは娯楽って映画しかなかったから母親以外の一家全員がそれぞれ見に行った。「ドクター・ノオ(007は殺しの番号)」(1962)は姉をはじめとして一家で騒いだ。本もそのときに読んだ。わたしもいっしょに騒いだような気がするが、2本目の「ロシアより愛をこめて(007危機一発)」だけ見ただけで遠ざかった。ショーン・コネリーはジェイムズ・ボンドをやらなくなってからが好き。
それから20年もして小6の姪がロジャー・ムーアのファンになり、せがまれて「オクトパシー」(1983)に連れて行った。これが大味な映画で姪は喜んでプログラムを買ってたけど、わたしは退屈したことを覚えている。

それからはだれが007をやっても気にしたことがなかった。
だから「007カジノロワイヤル」(2006)は30年ぶりの007である。ジェイムズ・ボンドはダニエル・クレイグで青い目がステキだ。とろけはしなかったがいいオトコだから見応えがあった。
よく走る映画で、馬は走らないが人間がよく走った(笑)。
わたしは賭け事がまるでダメでカードゲームがまるでわからないのでカジノ場面が長過ぎた。いまの映画であるけれど時代劇みたいで、日本で映画化したら村上弘明さんが似合いそうとか見ながら考えていた。

「瓦礫の焼却ダメ!大抗議in大阪市役所」にはじめて行った

8月30日に大阪中央公会堂で「大阪市主催ガレキ説明会」があった。それに先立ち8月のはじめ(7日からだと思う)から大阪市役所前で毎週火曜日に「瓦礫の焼却ダメ!大抗議in大阪市役所」という集まりがはじまった。相方はずっと行っているが、わたしはまだ行ってなかった。かんじんの30日「大阪市主催ガレキ説明会」も夏バテ気味だったので、家でIWJのユーストを見ていた。

今日は誕生日だし(?)行こうと、夕方から出かけた。少々遅刻して相方のスピーチを聞き損なったが、たくさんの人たちのスピーチや福島から避難している方の歌を聞いた。川沿いの石に座っていただけだったけど、枯れ木も山の賑わいくらいになっただろうか。
今日は少し人が少なかったかな。もともと30日の説明会までの集まりだったのを、30日が終わっても続けようとなった。全力を出しきった説明会の後だからみなさん疲れたのと、区切りとした人もいるのだろうか。
でも、この闘いは続くし、火曜日の集会も続いていく。わたしもできるだけ参加しよう。

ジェーン・オースティン原作、ジョー・ライト監督『プライドと偏見』

何度読んだかわからないジェーン・オースティンの「高慢と偏見」は「自負と偏見」という訳もあるが、この映画では「プライドと偏見」(2005)になっている。5時間もある豪華なテレビドラマが「高慢と偏見」(1995)である。違うタイトルのほうが間違わないでいい。

女性が財産相続ができないという時代に5人の娘がいるベネット家は、父親になにかあれば従兄弟に家や財産を取られてしまう。母親はなんとかせねばと焦りまくり。
近所の屋敷に独身の資産家ビングリーが引っ越してきて、ベネット家は大騒ぎ。舞踏会でビングリーは長女ジェーンに惹かれる。友人のダーシーはベネット家の母親と下の娘らの下品さにあきれてビングリーをこの屋敷から遠ざける。だけどダーシー自身は軽蔑のまなざしを受けたエリザベスのとりこになってしまった。
それからいろいろありまして、ダーシーさんはみんなが思っているような高慢な人でなく、そう思っていたのはエリザベスの偏見だったとわかる。
このいろいろ回り道が楽しい。そして物怖じしないエリザベスはダーシーさんにもキャサリン令夫人にも屈せずに自分を通す。

もちろん、テレビドラマのほうがずっと好きだ。エリザベスがちょっと重いような気がしていたが、何度も見るうちにしっくりしてきた。もちろんダーシー役のコリン・ファースが最高!! 古典ドラマとしてこれからも何度も見るだろう。

「プライドと偏見」はいまの映画だ。キーラ・ナイトレイのエリザベスは賢くて上品で優雅で活発。ドラマの年代は古いがいまに生きる女性だ。

いろんな「高慢と偏見」があって楽しい。
わたしの好きな「高慢と偏見」的映画は「ユー・ガット・メール」で、ヒロインのメグ・ライアンこそエリザベスだ。そして「抱擁」のグウィネス・パルトローもまた。

サリー・ポッター監督『耳に残るは君の歌声』

タイトルだけは知っていたがこんなに素晴らしい映画とは!(映画を見るたびに書いている気がするが-笑)
主演のクリスティーナ・リッチは「バッファロー’66」(1998)に出てた子やった。監督・脚本・主演・音楽がヴィンセント・ギャロですごいという評判を聞いてアメリカ村の映画館で封切りで見たんだった。すごいとは思わなかったがクリスティーナ・リッチは可愛かった。「耳に残るは君の歌声」は2000年の映画やから2年後だが、これも可愛くて応援したくなる。もう大人になりはったけど。
「オーランドー」のサリー・ポッターの3本目の作品。

第二次大戦前1927年のロシアに住むユダヤ系の少女フィゲレ(クリスティーナ・リッチ)は、父親が仕事を求めてアメリカに行った後祖母と暮らしていたが、暴動があり父の写真を持って必死で逃れる。ロンドンへ逃れた彼女はスージーと名前を変えられて普通の家庭に引き取られる。言葉が通じなかったが教師に諭されて学校で英語を学ぶ。10年後に大人になったスージーは養親と別れてパリへ行く。そこで会ったロシア人のローラ(ケイト・ブランシェット)と同じ部屋に住み、コーラスガールとして働く。イタリアから招かれたオペラ歌手のダンテのバックダンサーをしているときにローラはうまくダンテにとりいって同棲する。スージーはジプシーの青年チェーザー(ジョニー・デップ)と気持ちを通わせる。
幸せもつかの間、ナチスの攻撃がはじまりユダヤ人への迫害がはじまった。親切にしてくれたアパートのユダヤ人も連れていかれる。
スージーとローラはニューヨーク行きの船に乗るが、ドイツ軍の爆撃で船は沈没。スージーだけが助けられてニューヨークにたどり着く。ニューヨークのユダヤ人街、それからカリフォルニアと父探しの旅は続く。

第二次大戦とその前後の出来事を時代が変わっても語り続けていることに感動した。先日見た「パンズ・ラビリンス」だって、フランコ軍とレジスタンスの人たちの闘いが背景にあって、そこで運悪く亡くなった少女への鎮魂の映画だと思った。

ニューヨークへ向かう船中でスージーが歌う「暗い日曜日」がよかった。 テーマ曲の(日本語映画タイトルになっている)「耳に残るは君の歌声」はほんとによかった。

ブルームーンの月にむらくも

ひと月のうちに満月が2回あれば、1回目の満月を「ファーストムーン」、2回目の満月を「ブルームーン」と呼ぶそうだ。月のはじめに満月になったら月末にブルームーンになるはず。
昨日はSUBからの帰り道の長堀通りで空を仰いだ。最近はときどき曇っているときがあるが、昨夜はとてもよく見えて、2日の満月も見たしブルームーン鑑賞達成(笑)。帰ってからも気になって窓から見上げてた。ときどき雲に隠れて「月にむらくも」になるのも風情があってよかった。

今日はお昼過ぎに雷雨があったが、ちょっと足りなめだった。その埋め合わせのように夕方と夜に少しずつ降った。昼は蒸し暑かったが夜は涼しい。こうして秋になっていくのね。目下、夏ばて中。今日は少し昼寝をした。

SUBは西山さんの一周忌で老若ミュージシャンが集まった

前回8月3日に竹田さんと話していて突然思い出した。西山さんの一周忌が近いんちゃうかしら。そしたら竹田さんが31日やといってカレンダーを見たら金曜日だった。「ぼくのやる日やんか、黙っていてわかっている人は来たらええやん」とさっぱりとおっしゃっていた。わたしは忘れたらえらいこっちゃと印をつけた。

それが昨日、竹田さんが「5時からセッションで8時半からは通常の演奏をする」と告知された。わたしが行ったのは7時過ぎで、店内はミュージシャンでいっぱい。
ミュージシャンをあんまり知らないので、顔がわかった人の名前を書いておく(思いだした順)。顔がわかっても名前と結びつかない人がいるのもすみません。
大塚善章、宮哲之、千北祐輔、横尾昌二郎、矢藤亜沙巳、荘司幸恵、弦牧潔、中野圭人・・・もっといてはった。わたしの前に座っていたピアニストの名前を忘れた。ベースの人ももっといたし、ギターも。お店の長谷川朗さんは忙しすぎて演奏はなし。だけど終わってからよそのセッションに行くんだって。

8時半からのいつものライブに他の方々も入って賑やかだった。
基本は竹田一彦、奥村美里、宮上啓仁。
最後の曲には城下摩耶さんともう一人の女性ヴォーカルが入った。

同時代に活躍されていま現役のミュージシャンと、西山さんが見いだして育てた若手のミュージシャンとのセッションだった。

40年来の客も何人かいた。
休憩時には近所の神社の宮司さんとラブホテルの社長さんと話をした。高校生のときからジャズ喫茶に行ってたという人にマントヒヒと言ったらわかったのには驚いた。マントヒヒ伝説に尾ひれがついているのがわかった(笑)。で「マントヒヒ回想」サイトを紹介しておいた。