ケン・ローチ監督『ブレッド&ローズ』

ケン・ローチ監督の映画は今年の7月に「やさしくキスをして」を見たのがはじめてだ。映画紹介のサイトなどで名前は知っていてレンタルDVDを借りたのだが、手触りが柔らかく芯がしっかりとした映画だった。
もっと見たいと思っているときにDVDを貸していただけることになり、なにが見たいのか聞かれてケン・ローチをとお願いした。イギリス映画を中心に選んでくださったのだが、ケン・ローチの6本をまだ全然見ていなかった。実はあまりにも真面目そうで敬遠してた(笑)。

いま「ブレッド&ローズ」(2000)を見たところ。ケン・ローチがはじめてハリウッドで撮った映画で、筋の通った労働者階級側の視点をもった映画である。
マヤ(ピラール・パディージャ)はメキシコから不法入国したが、お金が不足で車から降ろしてもらえない。男たちにおもちゃにされるところを、ホテルの風呂に閉じ込め男のブーツを抱えて逃げ出す。最初から度胸が据わっている。

マヤは姉の紹介でロスアンゼルスでビルの清掃員の職に就く。仕事をしているときに労働組合活動家のサムと出会う。清掃員に対する管理職の横暴に怒りマヤはサムに電話する。
サムはマヤの姉の家に来て、夫が糖尿病であることを知り、健康保険、低賃金、劣悪な労働条件を改善するために会社と闘うように言う。しかしあきらめきった姉は相手にしない。
会合を重ねて清掃員たちは立ち上がる。だが裏切った者がいるのがわかっった。
マヤは姉に「裏切り者」と叫び、対する姉はいままで言わなかったことをすべて叫ぶ。こどものときからからだしか売るものがなかったと。
清掃員たちはデモに踏み切り全員でビルに入る。警官隊が外から襲いかかる。今回は会社側が譲歩し清掃員たちの闘争は勝利した。しかし、マヤは・・・

デモのシーンは横断幕やプラカードが掲げられ、太鼓の音が鳴り響きシュプレヒコールが響きわたる。脱被曝のデモといっしょだ。この映画をいま見てよかった。

「ブレッド&ローズ」は、1912年にマサチューセッツ州で約1万人の移民労働者が立ち上がったときの「We want bread but roses too.」というスローガンからきているそうだ。「パンと薔薇」という言葉がいいな。