P・D・ジェイムズ『高慢と偏見、そして殺人』(1)

映画「ユー・ガット・メール」でメグ・ライアンが「高慢と偏見」を200回読んだと言ったとき、わたしは負けた!と思った(笑)。わたしだって20回は読んでいるんだけどな。(200回読んでいるといえるのは「小公女」ですね。)それほどまでに乙女な女性の熱狂と共感に支えられている「高慢と偏見」の続編をアダム・ダルグリッシュ警視シリーズのP・D・ジェイムズが書いた。エリザベスと結婚したダーシーさんのお屋敷ペンバリー館の広大な森の中で起きた殺人のお話である。
物語はゆっくりと進んでいくが、こちらは物語がどうなるのか気になって、内容を味わいもせずにどんどん読み進んでいった。最後までいっていま2度目を味わって読んでいるところだが、せわしいからやっぱりとぎれとぎれ。でも、読書で憂さや怒りを忘れられて幸せ。

高慢な男ダーシーと偏見にみちたエリザベスは、いろいろあった末に愛し合っていることを自覚して結婚し、広大な土地にあるペンバリー館で仲良く暮らしている。明日はたくさんの客を招待して舞踏会を開くため、前夜にエリザベスの姉ジェーンと夫のビングリー、ダーシーの10歳年下の妹ジョージアナ、ダーシーの従兄弟のフィッツウィリアム大佐、ロンドンの若手弁護士アルヴェストンが屋敷に来ている。晩餐の席でジョージアナとアルヴェストンは惹かれあっているようだ。フィッツウィリアム大佐もジョージアナとの結婚を望んでいるようだ。
そろそろお開きということでみんなが立ち上がったとき、狂ったように馬車が近づいてきた。乗っていたのはエリザベスの末の妹のリディアで半狂乱である。エリザベスを押しのけジェーンに抱きついた彼女は夫のウィッカムがデニーに殺されたとわめく。
リディアをベッドに連れて行き、ダーシーとフィッツウィリアム大佐とアルヴェストンは馬と馬車で満月の森へ入って行く。
彼らが見つけたのは死んでいるウィッカムの戦友デニー大尉で、ウィッカムが血だらけで彼を抱き「ぼくが彼を殺したんだ」と叫んでいた。
今日はここまで。まだまだ続く。
(羽田詩津子訳 ハヤカワポケットミステリ 1800円+税)