サラ・パレツキー『ナイト・ストーム』(2)

物語は従姉妹のペトラからの深夜の電話からはじまる。
ペトラはロティの紹介で移民と難民を援助するマリーナ財団で働くようになり読書クラブを担当している。ヴィク(V・I・ウォーショースキー)は赤いドレスで長い知り合いのジャーナリストのマリとパーティに行っていたが、そこから出る口実ができたのは大歓迎だった。少女たちはナイトクラブにでも行ったのかと思い探しに出ると、墓場から声が聞こえた。少女たちは輪になって月の光を受け詠唱をはじめた。ヴィクが近づくと少女たちはパニックを起こす。
シカゴ市は17歳以下の夜間外出を禁止している。それが12歳ともなれば警察の注意をひくし、移民の子であればなおさら困ったことになる。生け贄役をしていたタイラーが輪から外れて石段の方へ行ったのだが背筋も凍りそうな叫び声をあげた。彫像のように見えていたのは人間の男性だった。胸には金属の棒のようなものが刺さっていた。
警察に知らせる前に少女たちを立ち去らせようとヴィクは全員を導いて歩き出した。
少女たちの中にはシカゴ有数の大金持ちの孫と上院議員候補の娘が入っている。不法入国者の娘も入っている。

最初から吸血鬼伝説の世界に読者を引っ張り込む。そして次は殺人、その次は殺人か自殺か不明。
死体で発見されたのは私立探偵のヴフニクだった。なにを探っていたのか、だれに雇われていたのか、ヴィクは翌日から調べはじめる。
そこへ旧友の弁護士レイドンから電話で呼び出される。ヴィクが行くとレイドンはチャペルの石段近くで倒れていた。救急車、警察、レイドンの冷酷な兄との話をすませ、優しい主席司祭と話す。そしていま会いたいという強引なサランターに会いに血の付いたドレスのまま次の面会へ。
シカゴ有数の大金持ちであるシャイム・サランターから指定されたクラブにつくと、身繕いをするように一室に案内される。髪を整えバンドエイドを貼ったりしてようやく人前に出られるようになり面会。なんとサランターの頼み(命令)は「この件は放っておいてもらいたい」だった。
【「放っておく?」わたしの声は半オクターブ高くなった。「ヴフニク殺しの結果として、今日、あなたの財団が襲撃されたというのに?」サランターは首をふった。「財団が襲撃されたのは、移民を排斥しようとするこの国のヒステリックな感情のせいだ。男が殺されたせいではない」】
(山本やよい訳 ハヤカワ文庫 1160円+税)