アーナルデュル・インドリダソン『湿地』(2)

墓石の少女ウイドルとその母コルブルンについて、エーレンデュルはかつての先輩で定年退職した警部マリオンから話を聞く。コルブルンはホルベルクに強姦されたことを警察に訴えたが当時の担当者は受け付けず、かえって訴えた女性に恥をかかせたという。
エーレンデュルはコルブルンの姉エーリンを探し出して話を聞く。コルブルンは強姦された結果妊娠したが、生まれたウイドルを可愛がって育てた。だがウイドルは3歳で脳腫瘍で亡くなってしまい、コルブルンは自殺した。

1963年、3人の女性がバーで楽しく飲んでしゃべり踊った。一見インテリっぽく見えるホルベルクは一人の女性を家まで送り家に入り込み強姦し、もう一人の女性は家まで後をつけて入り込み強姦した。
一人はコルブルン。もう一人の女性を捜すのにエーリンボルグとシングルデュル=オーリは苦労するが、ついに見つける。結婚して二人のこどもがいたカートリンは強姦されたことを誰にも言わずこどもを産み、夫の子として育ててきた。末っ子として可愛がって育てた三男のエイナルだ。

その夜飲んでいた三人組の男のうち、ホルベルクが殺され、もう一人は刑務所にいる。あとの一人は25年前に姿を消したままだ。

墓を堀り、遺体の臓器を調べ、上司の非難をものともせずに湿地に立つアパートの床下を掘り死体を見つける。
そのかたわら、別れた妻の依頼で結婚式場から消えた花嫁の行方も調べる。これも原因は家庭内DVにあった。そして娘のエヴァ=リンドに心配のあまりどなりつけたりもする。
(柳沢由実子訳 東京創元社 1700円+税)