ジェシカ・ベック『エクレアと死を呼ぶ噂話』

ノースキャロライナ州の小さな町の小さなドーナツ店〈ドーナツハート〉のオーナー、スザンヌ・ハートが活躍するシリーズ4冊目。

スザンヌは毎日が午後7時にベッドに入って起きるのは午前1時という生活である。暗い中をジープで店に出かける。店に着くと粉をこねてドーナツを揚げカウンターを拭いて、夜が明けたころに最初の客を迎える。そして昼の12時には閉店して昼食にする。
ある夜、眠りかけているときにラジオから〈ドーナツハート〉という声が聞こえた。ラジオ局のニュースキャスター、レスターの声がドーナツは命を縮める食べ物だから〈ドーナツハート〉のドーナツを食べないように言っている。スザンヌは怒りに震えて起き上がり、ラジオ局へ行ってレスターを罵倒し派手な大げんかをする。
翌日、〈ドーナツハート〉のエクレアを口にはさまれたレスターの死体が発見され、警察がやってきた。エクレアは間違いなくスザンヌの店のもので、警察は彼女を容疑者とみている。店の客足が遠のいていく。
今回もまたスザンヌは真犯人を見つけようと親友のグレースと聞き込みにまわるが、レスターは口が悪くていろんな人間を攻撃してきたから調査も大変。

売れ残ったドーナツは教会に持って行くことにしているがまだ前日のが残っているほど。今回は病院の看護士さんたちにも持って行ったり、人にあげることが多い。そんなことだから材料費とアシスタントのエマの給料を払ったら経営はやっとこさである。そうでなくともまだ食器洗い機が買えずに手洗いをしていてグレースに呆れられる。

いつものように住人たちに楽しい?聞き込みをして歩く。恋人のジェイク・ビショップ警部が今回はこの町の警察の捜査の助けをすることになるが、スザンヌのことは心配はしても信頼が基本にあるから昔のように怒らなくなった。
お母さんを以前から熱愛している警察署長さん。スザンヌを熱愛しているジェイク。母と娘に幸せがやってきそう。
(山本やよい訳 原書房コージーブックス 860円+税)