キャリー・ジョージ・フクナガ監督「ジェーン・エア」

ずっと前から相方がアマゾンプライムの会員になっていて、今回会員なら提供されている映画を無料で見られると知った。映画のタイトルがずらっと並んでいて気分をそそられる。その中に「ジェーン・エア」があった。まだ見てなかったキャリー・ジョージ・フクナガ監督で、ジェーンをミア・ワシコウスカがやっている。この映画があったのを忘れてた。見たい、見たいと晩ご飯をすませてすぐに見た。

シャーロット・ブロンテの原作を小6で読んでから魅せられっぱなしでいまにいたる。ほんま、暗記してると言ってもうそではないくらい。吉田健一訳の文庫本を電子化したから好きなところをiPad miniで読めるしね。

見た映画は2本、1943年(監督:ロバート・スティーヴンソン 出演:オーソン・ウェルズ、ジョーン・フォンテイン)と1996年(監督:フランコ・ゼフィレッリ 出演:ウィリアム・ハート、シャルロット・ゲンスブール)を見ている。
今日は3本目になるが、3本中でいちばんよかった。

2011年の作品で監督がキャリー・ジョージ・フクナガ、ジェーンにミア・ワシコウスカ、ロチェスターがミヒャエル・ファスベンダー、フェアファックス夫人がジュディ・デンチ。
フクナガ監督は父親が日系アメリカ人三世だって。このあとのテレビ映画「TRUE DETECTIVE/二人の刑事 」(2014)がいいらしい。

ジェーン・エアをやったミア・ワシコウスカはすごくよかった。ジェーンそのものみたいに感じた。ロチェスターさんはちょっと違う感じ。ジョン・リバース(ジェイミー・ベル)は「リトル・ダンサー」主演の男の子でとてもいい青年に成長してた。ジェーンに迫って断られるけど、そういう役だから(笑)。
ジュディ・デンチが出てきたのでびっくりしたが貫禄あるし映画を引き締めていた。
人間ばかりでなくヨークシャーの風景がすごくよく現されていて、強い風にヒースがなびく広く長い丘の描写が素晴らしかった。

村崎修三「乙女のふろく 明治・大正・昭和の少女雑誌」

2カ月とちょっと前、7月10日の日記に〈ミクシィ・コミュニティ「昔 素敵な少女雑誌があった」を懐かしむ〉というのを書いた。そのミクシィ・コミュを主催していたおられたJさんから数年ぶりに連絡があり、教えてもらったのが熊本の菊陽町図書館とそこにおられる村崎修三さんのことだった。そして、〈吉本由美さんによる『吉本由美のこちら熊本!』というサイトの「小さな町の小さな図書館は少女雑誌の宝島」(2013.05.04)という記事〉も教えてもらった。

Jさんからいただいた次の連絡は村崎修三さんの本「乙女のふろく 明治・大正・昭和の少女雑誌」が青幻社から出版されるというものだった。
出版されたのを確認して早速アマゾンに注文。厚い文庫本には絵がぎっしり。美しい、楽しい、おもしろい。ページをめくり出したら離せない。

中原淳一の絵がついた雑誌ふろくは、うちには2人の姉が買った雑誌がたくさんあったので淳一先生の絵はおおかた知っている。松本かつぢ、竹久夢二はかなり知っている。その他、名前だけは知っている人、はじめてこの本で知った人もいて楽しい。

「菊陽町図書館 付録コレクション一覧」もついていて、深く勉強したい人にはありがたいことだと思う。熊本の菊陽町図書館へ行けばいいのだ。わたしがもし行ったら笑ったり叫んだりうるさいだけだけど(笑)。
(青幻社 1500円+税)

クロード・ルルーシュ監督・製作・脚本「愛と哀しみのボレロ」

1981年のフランス映画。上映されたときすぐに見に行ってその後レンタルビデオでも見た。ジョルジュ・ドンが踊る「ボレロ」は何度見ても素晴らしい。
ボレロのSPレコードが昔家にあってよく父親が聞いていた。真ん中の赤い紙〈ラベル作曲、アンセルメ指揮、スイスロマンド管弦楽団〉というのをいまだに覚えているくらいだからきっと擦り切れていたに違いない。
だから映画を見に行って最初からボレロが流れてきたのにおどろいた。最後の長いジョルジュ・ドンの踊りがすごい。先日、Sさんに貸していただいた山岸凉子の「テレプシコーラ/舞姫」に、いろんなバレエが出てきたのだが、振付家モーリス・ベジャールの名前がよく出てきてこの映画のことを思い出していたのだった。

映画は第二次大戦前からはじまる。ロシアでバレリーナを目指す少女タチアナがプリマを選ぶテストを受けている。曲は「ボレロ」でもう一人の少女が選ばれるが、タチアナは審査員の一人に求婚される。二人は結婚しこどもが生まれるが、夫はドイツとの戦争で死亡、タチアナはバレエを続けながら息子セルゲイを育てる。セルゲイはボリショイバレエ団のダンサーとなり、パリオペラ座で踊り大成功。母に報告するも、帰りの飛行場で西側にドラマティックに亡命。ここはヌレエフをモデルにしている。

パリのキャバレーでバイオリンを弾いているシモンとアンヌは結婚して息子が生まれるが、ユダヤ人狩りで強制収容所に送られる。こどもの命を助けようと列車が出発するときに線路に置く。赤ん坊は拾われ教会に届けられる。

カラヤンをモデルとしたカール(ダニエル・オルブリフスキ)は、ベルリンでヒットラーの前でピアノを演奏し褒められる。戦争中はパリで軍樂隊長となるがフランス人の歌手との間に女の子が生まれる。

その他、アメリカ編にはグレン・ミラー(ジェームズ・カーン)をモデルとした音楽家一家の物語がある。妻と娘サラの2役を演じるのはジェラルディン・チャップリン。

線路に置かれた赤ん坊がどうなったかがわかる。母アンヌが探し歩いた駅へきた息子ははじめて自分の生まれたときのことを知る。そして記憶を喪失した母を見つける。アンヌの孫にあたるダビッドは歌手を目指している。

最後は登場人物がそれぞれの場でボレロを見るシーン。
81年のパリ。ユニセフと赤十字の主催で、指揮はカール、ダンスはセルゲイ(ジョルジュ・ドン)、歌うのはサラとダビッド、司会はニュースキャスターになったエディット。

クロード・ルルーシュの渾身の仕事。
1980年代はまだ未来が明るく見えていたんだと懐かしくなった。

ケネス・ブラナー監督「シンデレラ」

だれでも知っているお話「シンデレラ」の実写化。すごく豪華絢爛な上に、解説を読んだら動物たちの訓練とか大変だったみたいで、改めて出てきたネズミなど小動物たちを思い出して手なづけるのがどんなに大変だったろうと思った。
シンデレラ役のリリー・ジェイムズはおとぎ話に出てくるような美女でないところがよい。イギリス風にしっかりした女性だと思った。シンデレラと王子の出会いが馬に乗って森を走っているとき偶然というのがうまい。
ケイト・ブランシェットの継母は色気があって野心があって悪女ぶりがぴったり。魔法使いにヘレナ・ボナム・カーターが扮して可愛い。
王子様も誠実さが溢れててよかったし王様もいい人だったのでよかった。
宮殿の様子や庭園のセットが豪華で文句なし。
王子様がダンスの後でシンデレラを連れて行ったのが〈秘密の花園〉なんて、世界中の女子の心をわしづかみだ。さすがケネス・ブラナー監督。

本当にガラスで作ったガラスの靴やねんな。
制作中から話題になっていたから見たいと思っていたが、映画館に行く余裕がなくレンタルDVDになった。

吉田喜重「変貌の倫理」と岡田茉莉子「女優 岡田茉莉子」

つい最近になって気になりだした吉田喜重監督だが、なにげなく買った雑誌「ユリイカ」の「高峰秀子特集」で高峰秀子を語るインタビューを読んですごく論理的な人だと思ったのが最初だ。
それから彼が監督している映画DVDを何本か見て、パートナーの岡田茉莉子の自伝「女優 岡田茉莉子」(文藝春秋)を買って読んだ。
岡田茉莉子の自伝はすごい文字数に驚いた。あとで知ったが全部ペンで書いたという。記憶力もすごいが、母上が資料をきちんと残しておいてくれたからこそ書けたそうだ。
わたしは岡田さんの映画は最初の出演作「舞姫」を見ている。この間木下恵介監督の「今年の恋」を見て「はしけやし」という感じやなとつくづく思った。この映画の助監督が吉田さんだったんだって。
この本で吉田監督とどのようにして出会ったかがわかり、二人がいっしょにした仕事や、別々にした仕事のことがわかって楽しかった。
いまやお二人の大ファンである。

吉田喜重の本は他に「小津安二郎の反映画」(岩波書店)を読んだ。「ユリイカ」の総特集「吉田喜重」も読んだ。きちんと感想を書きたいが雑用に追われてなかなか書けないのに、また「変貌の倫理」(青土社)のページをめくっている。あ、みんな自分で買った本です(笑)。
「ユリイカ」の岡田茉莉子と蓮實重彦氏の対談でお二人のことをかなり知ることができてうれしかった。ファンだから(笑)。

スペンサーシリーズのころ

来月の読書会で取り上げる本、ロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズ「初秋」を探して押入れを調べたら、すべての段ボール箱を見て最後のに入ってた。おかげさまでいかにミステリ本を持っているか確認できた(笑)。これをどう処分するか考えなきゃ。1冊ずつ取り上げて読むとおもしろくて捨てるにしのびない。ここに整理するまでに一度以上捨てるか置いとくか検討してる本だから。

スペンサーとスーザンが好きで好きでしょうがない時代があった。
第1作「ゴッドウルフの行方」が1976年、翻訳者が古いタイプでミッキー・スピレーンのような言葉遣いのスペンサーなのである。だけどどこか古い探偵たちと違うので置いてあっていまにいたる。
その後、立風書房から出た「失投」と「誘拐」が飯島永昭訳で、それ以後の菊池光と全然違う。でもこの2作でスーザンと出会って、ホークとも印象的な出会い。わたしはスペンサーとスーザンに夢中になり、ホークかっこええやんとなった。
1982年に「初秋」が出た。わたしのスペンサー熱は「レイチェル・ウォーレスを捜せ」とで頂点に達した。「スペンサーのボストン」「スペンサーの料理」なんかも買いました。
阪神大震災があったころに参加していたミステリクラブで嫌われたのは、スーザンとサラ・パレツキーのV・I・ウォーショースキー(ヴィク)が好きだと公言してたからだろう。ヴィクの場合はファンクラブ主催だし(笑)。
「ゴッドウルフの行方」「失投」「誘拐」「初秋」「レイチェル・ウォーレスを捜せ」と続けて読んでみよう。

歯科治療終了

昨年末に犬歯の歯茎が腫れたのからはじまって、40年前に治療した奥歯4本が虫歯になっているのを治療して、転んで亀裂が入ったために抜いた前歯の治療までがすべて完了。今日は口の中全体を検査して清潔にしてもらった。

歯の治療をしてもらうとき、口の中に器具が入れられるとゲーとなる癖があった。小さなときにジフテリアに罹って1カ月入院した。医者が口中に金属の板状のものを入れて咽喉の状態を診る。それがいやでいやで咽喉と歯の検査はいつも逃げたかった。
ここ20年くらいは歯医者の椅子のせいか、トシのせいかあまりゲーとならなくなってはいたがたまになる。今回は歯医者さんにまかせている安心感があったせいか、全然ならなかった。口中のレントゲンも大丈夫だった。

姉の夫が亡くなって6年経った。この6年の姉の暮らしを見ていると年齢を重ねるのは新しい体験をしていくことだとつくづく感じる。徐々に体が弱っていく。血圧をはじめとして体の状態がにぶくなる。足をはじめとして節々が弱る。記憶力が落ちているしすぐに物忘れする。それでも一人暮らしなので日常生活をきちんとやっている。
人生の先輩を眺めているわけだ。わたしはああはならへんようにしよと思っていることがあり、そうもいかんやろなとも思う。まあ乙女心は失わずに(笑)。

今年の春のお彼岸の日に、周囲の人たちと同じようにうきうきと御堂筋を歩いていて歩道の石の隙間に靴の先がつまづいてこけた。ばたんと手を伸ばしてべたっとこけたので、周りの人たちがびっくり。目の前の男子2人が助け起こしてくれた。以前のわたしならこけただけですんだが、今回は歯をぶつけて唇から血が出た。前歯がぐらついているいやな感じ。

ちょうど翌々の月曜日に歯科の予約がしてあった。歯医者さんにこの歯は諦めるしかないよと言われてショック。応急処置をしてもらって、歯肉が落ち着くまで他の歯の治療をして、それからどうするか考えましょうとのこと。
長いことかかったが他の歯が片付き、気がかりだった前歯の治療も終わった。見た目には全然義歯だとはわからない。

「80歳で20本を目標に歯を磨きましょう」とかいうけれど、いうは易しだよね。わたしはクリアできるわと思っていたけど、こうして1本減ったんだし。まあ、気持ちだけは若く持って、歩くのはゆっくりと落ち着いて。

久しぶりに女性誌を買った「エルジャポン」10月号

昨夜のツイッターにカトリーヌ・ドヌーブとジャンヌ・モローの写真が載っていた。「エル・ジャポン」の告知ツイートをわたしのフォロワーさんがリツイートしたもの。二人とも年をとって美しさが増している。「エル・ジャポン、明日買いにいく」とすぐにツイートした。
それで今日、近所のスーパーの本売り場へ行った。このスーパーは最近になって雑誌売り場が広がり便利になった。女性誌はなんでもあるし「ワイアード」だって置いてある。

ずっと女性誌を買ってなかったので戸惑った。「アンアン」はたまに買っていて、今年になって何十年ぶりかで「装苑」を買った。どっちもそんなにページ数がなくて読みやすかったが、「エル・ジャポン」は厚いのでびっくり。持って帰れるかしらん?と思ったぐらい。他の買い物は明日にまわして、先に買っていた食品とを持ち帰った。もういっこびっくりしたのは価格が安い。498ページあって690円だよ。こんなにきれいで。わたしは広告を見るのが好きだし当分楽しめる。

さっそく読み出したが、読みたいページはどこにあるやら。前からページをめくったが出てこないので後ろからめくった。あったのは真ん中ぐらい(笑)。見開き2ページだがいい記事だったので満足。つぎのために栞を挟んだ。
ざっと見て「パリ特集」も実用の役には立たないがきれいな写真や地図が楽しい。

次女物語 山岸凉子「テレプシコーラ / 舞姫」

山岸凉子「テレプシコーラ / 舞姫」(第1部10冊、第2部5冊 メディアファクトリー)を夢中で読んだが、速読しすぎたのでもう一度読んでいる。でも悲しいところは抜いてという勝手な読み方してますの。

この本は次女物語でもあると気がついた。主人公は素晴らしいバレリーナに成長するのを期待される長女千花(ちか)ではなく、踊りは姉に劣るが可愛い元気な次女の六花(ゆき)で、第2部は六花の物語になる。彼女が自分の独創力で手に入れた位置を大人たちはおどろいて見ている。日本のバレリーナはクラシックに強くコンテンポラリーに弱いとはわたしも知っていたが、六花は飛び超えたところに自分の努力で居場所を得る。バレエ教室を開いている母にはわからず、直接教えている教師にもわからなかった六花の才能が開く。わかってくれた振り付けの先生の存在があるけど・・・。六花の才能と努力をわかってくれる先生がいてよかった。

最後のところで留学した六花が写真をたくさん送った相手が金子先生だったのでほっこり。怪我をした長女につききりになった母親に代わって可愛がってくれたもんね。
笑わない美女ローラ・チャンは空美ちゃんの現在なのだろうか。謎をはらんで終わってしまった。

山岸凉子「テレプシコーラ / 舞姫」(第1部10冊、第2部5冊)

わたしの好みを知っている東京の友だちが貸してあげると送ってくれた美しい絵に彩られた少女マンガ。読み出したら離せませんよとメモがついていた。第1部が10冊と第2部が5冊あるのをまたたく間に読んでしまった。ストーリーを追ってものすごい速読だったのでもう一度読むつもり。
少女マンガというより絵物語と言ったほうが似合うと思うが、少女マンガという言い方があるから従わなければならないのが不満(笑)。

東京に住む篠原六花(ゆき)は姉の千花とともに母が経営するバレエ教室で幼い時からバレエを踊ってきた。千花のほうは素直に成長しているが六花のほうはばらつきがあるし脚に欠陥もある。
バレエ教師の母と真面目な公務員の父と娘二人の家族はバレエ中心にして成り立っている。私立中学在学中の千花とこれから中学受験の六花。六花はようやく補欠で入学できて友だちもできる。
学校生活や友だちとの関係など少女たちの生活を描きつつ、中心にあるのはバレエである。

第2部は高校1年になった六花がバレエダンサーの登竜門、ローザンヌバレエコンクールに出場するために出発する。六花の挑戦はいかに。不運な風邪で最後に棄権したのでどうなるかと思って読んでいたら驚きの結末が待っていた。
最後まで目を離せないストーリー展開がすごい。
(メディアファクトリー 全15冊、ほとんどが590円)