バレエ三昧の日曜日 山岸凉子の「テレプシコーラ」と映画「赤い靴」

雨降りの日曜日、お昼まで寝ていたのは昨夜遅くまで「テレプシコーラ / 舞姫」を読んでいたから。東京のSさんがどばっとクロネコ便で送ってくれたマンガは全部で20冊。その上に誕生日プレゼントにわたしの大好物、竹皮包みの「夜の梅」が入っていた (^Q^)/

昨日の夜中まで読んでいてまだ残っているほうが多いが、今日も起きてから3冊読んだ。バレエが好きで山岸凉子の絵物語が好きなので無理を承知。(なにが無理なんや-笑)
うちは相方も少女マンガが好きで、どっちが先に読むか取り合いになるくらいだけど、今回はこっちが先に読んでいる。

先日は誕生日に大好きな映画ということで「マンハッタン花物語」を見たが、今日はバレエの日ということにして「赤い靴」(1948 マイケル・パウエル、 エメリック・プレスバーガー監督)を見た。わたしは中之島公会堂へ50年代に見に行って以来、機会があれば映画館やどこかで公開されると聞くと行っている。テレビでも見たしレーザーディスクが出たときすぐに買っていまはDVDで、合計30回くらいは見ている。

まずモイラ・シアラーの踊りが素敵。映画公開当時は彼女は新人だからヨーロッパのバレエ界ではたいしたことはないと言われてた。でも「赤い靴」を踊るのにふさわしいダンサーだった。彼女が赤いバレエシューズを日本のバレリーナ谷桃子に贈ったというニュースを読んだことがある。

それとバレエ団の団長レルモントフがディアギレフをモデルとしていると知ったこと。そして靴屋を演じているレオニード・マシーン、牧師役のロバート・ヘルプマンがディアギレフのバレエ団で活躍した人と知って感激した。

ルース・レンデル「街への鍵」

わたしのイギリスミステリーの好みは子どものときからひたすらドロシー・L・セイヤーズだった。アガサ・クリスティはかなり読んだがなぜか好きになれなかった。わりと最近になって(といっても10年以上経つが)ジョセフィン・ティ、コリン・デクスター、エドマンド・クリスピン、そしてイアン・ランキン、それから読み始めは遅かったが翻訳されたのは全部読んでいるP・D・ジェイムズが好きな作家リストに入る。
ルース・レンデルはとても好きだとは言えず、どこかイケズなところがいやで敬遠気味だった。イケズって何度も書いている(笑)。好き嫌いをいうほど読んでないのにも気がついた。友人がこれは良いとあげた本をわたしは読んでなかった!

今回「街への鍵」はわたしのいままでのレンデル感がくつがえった感じ。広く深いロンドンの公園がものすごく魅力的に描かれている。観光旅行でロンドンへ行ったってこのレンデルの描く魅力ある公園を知ることはできないはず。

主人公の一人ローマンは妻子を事故で亡くし、絶望の末に住まいと出版社の仕事を捨ててロンドンの公園でホームレスになる。お金は銀行に預けたのをATMで出せるし、洗濯はコインランドリーがある。食料品はスーパーで買える。彼は古書店で買った本を読むのを楽しみにしつつ暮らす。周囲の出来事から目をそらさないで2年が経とうとしている。

もう一人の主人公メアリはアイリーン・アドラー博物館(もちろん架空)で働いている儚いような美貌の持ち主である。彼女は白血病患者のために骨髄を提供した。彼女がつきあっているアリステアは骨髄を提供するときに体についた小さな痕があるのを許さない身勝手な男で、メアリは別れようと思う。彼女は骨髄を提供した相手に会うことにした。

公園にはいろんなホームレスがおりさまざまな人生を生きてきていることが活写される。
毎朝、数匹の犬の散歩を請け負って公園を散歩する老人がいて、預ける側の人間の様子も描かれる。
いまメアリは知り合いの老夫妻が旅行するので、そのあいだ留守を預かり犬の面倒も見ている。両親はおらず祖母がいて可愛がって育てられた。

男につけられているメアリをローマンは助けようと思う。メアリが毎朝の犬の散歩で公園に行くので二人は挨拶するようになっていたのだ。

人間関係もいろいろあるのだが、この作品は〈ロンドンの公園〉の魅力で、二度も三度も読むと思う。これからは好きなイギリスの作家の中に入れる。
(山本やよい訳 ハヤカワポケットミステリ 1900円+税)

マイケル・ゴールデンバーグ監督「マンハッタン恋物語」を誕生日に

品の良い上質なラブロマンス。妻子を亡くした孤独な男クリスチャン・スレ―ターと孤児で誕生日すら不明のメアリー・ スチュアート・マスターソンが出会う。夜中の道を散歩していた男がひとつだけ明かりが灯った窓の中に涙する女性を見る。翌朝、彼女が仕事に行くと大きな花束が受付に置いてあった。
有能な彼女は働きすぎで上司は今週は休めという。花を抱えて帰った彼女はカードを頼りに花屋を探す。
マンハッタンのアパートの屋上の花園がめっちゃステキでため息がでる。紫がかったバラが好きと彼女がいうと、翌日はニューヨーク中のスターリングローズを買い占めてどんどん彼女の部屋へ配達する。(原題 BED OF ROSES )

明日がわたしの誕生日なんだけど、天気の都合で延び延びになっていた姉のところに行くことにした。明日は久しぶりに天気が良いらしい。
それで一日早くご馳走を食べてラブロマンスを見ることにした。午後美容院シュリットで髪をきれいにしてもらったからラブロマンスOK(笑)。
姪の夫が贈ってくれた「古酒 翁」がうまかった。

ジョン・フォード監督「リオ・グランデの砦」(1950)

ジョン・フォード監督の騎兵隊三部作の3作目。1948年、49年、50年と年に1本の製作である。3作目は完成度が高く製作費もかかっているようだ。主演女優がモーリン・オハラで3人中でいちばん貫禄あるし美しい。と書いてきて解説を読んだら製作費をずいぶん値切られたと書いてある。でも大ヒットしたので次作「静かなる男」にとりかかれた。

ジョン・ウェインの妻は南部の農場のお嬢様育ちだけど、スカーレット・オハラのように土への思い入れが強い。だが今回は息子が受験に失敗して勝手に騎兵隊に入ったのを連れて帰ろうとやってきた。父のヨーク中佐が統率している騎兵隊に入隊した息子は元気いっぱいである。友だちもでき馬を乗りこなす。父は黙って見ていることにする。2頭の馬に乗って走る(ローマ式立ち乗り)シーンがすごい。

故国アイルランドへの愛国精神が強く、また南部への想いが強く出ている。騎兵隊員が歌うアイルランド民謡など哀愁があってとてもよい。こうなると「静かなる男」がまた見たくなって困ってしまう。

ジョン・フォード監督「黄色いリボン」(1949)

最低一度は見たことがあるとだけ記憶していた。今夜はどんな映画か全然覚えてなくて見たのだが、やっぱり全然覚えがなかった。こんな地味な映画とは思ってなかった。黄色いリボンが西部の空にはためいているかと思ったが慎ましやかなリボンが女性たちの髪を飾っていた。
ヒロインのジョアン・ドルー(ジョーン・ドルーと覚えていた)はわたしの好きな映画10本のうちに入る「赤い河」(ハワード・ホークス監督)でモンゴメリー・クリフトとジョン・ウェインと共演している女優。あの気の強さはすごい。今回は上官のお嬢様だが気の強さはたいしたもの。

ジョン・フォード監督の騎兵隊三部作の2作目。1作目が「アパッチ砦」、3作目が「リオ・グランデの砦」。
ジョン・ウェイン扮する騎兵隊長の退役目前の最後の6日間を描いている。いやな上役かと思うと温情を示す上官、酒飲みの部下の恩給を心配してやるジョン・ウェインは若い部下の恋の応援もする。あくどい武器商人はインディアンにやっつけられる。

とにかく馬が走る。走る馬が主役の映画だ。
ボストンの探偵スペンサーが「馬が走る映画が好き」と言っていたが、なんて映画だったろう。わたしも馬が走る映画が好きだと再確認した。

ジョン・フォード監督「アパッチ砦」(1948)

先日「駅馬車」を見たらおもしろくて同監督の騎兵隊3部作を見たくなった。「アパッチ砦」「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」の3本だが、持っているのもあり、持っていなくてもDVDが300円ほどで売っている。
昔見ていたはずだが、まったく初めての感じがするし何度も見たような気もする。2時間を越える大作でジョン・フォードとジョン・ウェインの息があっていて安心して見ていられた。まだ若いときなのに監督主演とも名人芸の域という感じ。
新任の司令官が娘と一緒に到着するがその娘さんがシャーリー・テンプルちゃん。実際には見たことないんだけど、父親の話によく出てきた可愛い子役が年頃になって出てきたということである。

ちょっとおかしな話。
新司令官のヘンリー・フォンダと娘が駅馬車でアパッチ砦に向かうんだけど、フォンダが取り出したのがiPhone、のはずないけど、<a href=”http://matome.naver.jp/odai/2140041858713641501″>こんな写真</a>が出てきたので見てください。コメントも笑える。

SUBの西山さんが亡くなられて4年

SUBは谷町9丁目の駅構内にあるジャズのお店である。50年ほど前に店を作られたミュージシャンの西山さんが亡くなられて4年、月日の経つのが早すぎると3年経った去年書いているが、それから1年経って、わたしはいまも生きている。
はじめてお会いしたのは10年ちょっと前なんだけど、1961年1月10日にフェスティバルホールで「アート・ブレーキーとジャズメッセンジャーズ来日公演」で同じ空気を吸って、ギターの竹田さんもそこにおられたので、3人は半世紀のおつきあいということに勝手にしている。

西山さんは亡くなる半年ほど前にニューヨークへ行かれて、おみやげにリキテンスタインの額をくださった。波の中であっぷあっぷしかけているのに「あんたの助けはいらない」と叫んでる女性がまるでクミちゃんやと言ってくれた。わたしの机の上のMac miniの横に置いてある。西山さんの期待を裏切らないようにアホなことだけしながら生きていこうと思っている(笑)。

実は長いことSUBにはご無沙汰している。涼しくなったら忘れられないうちに行かなくっちゃ。

ジョン・フォード監督「駅馬車」(1939)

こどものころの夏は夜になると父親を囲んで縁台に座って星を見たり、しゃべったりしたものだ。同じことを何度も聞かされてうんざりしたが「駅馬車」と「暗黒街の顔役」が素晴らしい映画だということを叩き込まれて育った。父親の青春時代の記憶だったんだろう。
その父親が100歳を過ぎて施設に入った時に、施設内で映画を見せてくれたそうだ。なにかご希望はと聞かれて、父は「駅馬車」と叫び、見せていただいたそうである。きっとあの主題曲も口ずさんだことだろう。

わたしが「駅馬車」をテレビではじめて見たとき、期待が大きすぎて少しがっかりしたように覚えているが、今夜見たらなかなかよくできた映画だと思った。レーザーディスクを買ってがっかりした「暗黒街の顔役」もいま見たらいいと思うかもしれない。

リンゴ・キッドのジョン・ウェインが若くて美しい。ジーンズの後ろ姿も前姿も美しい。ダラス役のクレア・トレヴァーもよかった。「キー・ラーゴ」でアカデミー助演女優賞をもらっているが、映画は見たのに覚えていなくて残念。
飲んだくれの医者ブーン(トーマス・ミッチェル)、賭博師ハットフィールド(ジョン・キャラダイン)も癖のあるいい味を出しているし、その他の俳優がみんないい。

本屋に行きたい

ハンズの地下にある本屋、クリスタ長堀にある本屋、新大阪駅にある本屋とちょっと立ち寄れて便利だ。でも行きたいのはジュンク堂堂島店。
吉田喜重「変貌の論理 」(2006)を買いたい。アマゾンへ注文したらすむのに(在庫は確認済み)、本屋で買って抱えて帰りたい。アホかと思うけど、好きな人への想いは重い(笑)。だけど2006年発行だから在庫あるかな。まあ一度本屋を見てなかったらアマゾンに注文しよう。買ってもすぐに読めないし。
吉田さんのもう1冊「メヒコ 歓ばしき隠喩 (旅とトポスの精神史) 」(1984)もそのうち読みたいなあ。これは中古本で買うか。「見ることのアナーキズム 吉田喜重映像論集 」(1971)も欲しくなった。

いつもミステリと文庫の棚しか行かないから、どこに映画の本があったっけという感じ。「ユリイカ」の棚はカウンターに近いからしょっちゅう見てるけど。
そういえば美術本の棚も久しく見ていない。今度行ったらアート関連本をゆっくり見てこよう。

山岸凉子「牧神の午後」と映画「赤い靴」

久しぶりに少女マンガ、山岸凉子「牧神の午後」(1989)を貸してもらって読んだ。山岸凉子のマンガはずっと昔に「日出処の天子」(1980−84)を延々と買って読んだことがあるけど、それ以後は読んでいなかった。

20世紀のはじめのディアギレフ率いるロシアバレエ団のことは、いろんなもので読んでいてよく知っているが、こうして絵物語になるとまた格別の味わいだ。天才ダンサー、ニジンスキーの輝きが美しく描かれていて久しぶりに気持ちが高ぶった。

ディアギレフはニジンスキーの代わりの踊り手ミャーシン(96ページ)を見出した。映画「赤い靴」に出ているレオニード・マシーンの若き日である。
わたしは「赤い靴」をかなり昔から機会あるごとに見ていて、最近はDVDで何度も見ている。最初はバレエへの憧れで見ていたが、誰かの本でバレエ団の団長がディアギレフをモデルにしていると知った。そしたら靴屋を踊っているマシーンのこともわかった。牧師をやっているロバート・ヘルプマンもディアギレフのところにいた人と知った。

そしていま検索していて「赤い靴」の新しいDVDが出ていることを知った。
【映画監督のマーティン・スコセッシがオリジナル・ネガ修復作業に着手し、2年の歳月をかけて完成された<デジタルリマスター・エディション>が、2009年カンヌ国際映画祭で世界初公開された。】
4,059円か〜 そのうち買おう。