マーク・ハーマン監督『リトル・ヴォイス』

1998年のイギリス映画で、マーク・ハーマン監督は「ブラス!」を撮った人だ。見出してからすぐに「これ見た」とわかった。感想を書いているはずだがと検索したが見当たらない。どうやらテレビで見っぱなしだったみたい。

あれこれ検索してわかったのだが、伝説の歌手のモノマネを完璧にこなせる歌い手、ジェイン・ホロックスのためにジム・カートライトが書いた戯曲で、そのミュージカルはイギリスで大ヒットした。その舞台を見たマーク・ハーマン監督が映画化した。

LVと呼ばれている少女は父の死んだあと自分の殻に閉じこもって母親(ブレンダ・ブレシン)と会話がない。父の集めていたレコードだけが彼女の宝物で、いつも2階の自分の部屋で主にヴォーカルのレコードを聞いて、レコードの歌を完璧に歌える。
電話工事に来た伝書鳩に夢中な孤独な青年ビリー(ユアン・マクレガー)はLVに惹かれる。
母の遊び友だちで落ちぶれた芸能プロモーターのセイ(マイケル・ケイン)はふとしたことからLVの声を聞き、これは売り出せると思う。
いやがるLVを一回だけと口説き落として町のクラブの舞台に立たせると、いやいや出てきたLVは客席に父の幻を見て歌い出す。無口な少女が突然変異の伝法な歌いぶりに客席はのりのり。歌い終わると父は消え彼女は倒れる。翌日も歌うように急かされるが彼女は動かない。

現場労働者で仕事が終わると厚化粧して遊び歩く母親の存在感が半端でない。
最後はしみじみとしてよかった。
このあとの「シーズン・チケット」も良さそう。

食い道楽 新時代

1日2食にしたのは2005年6月だから7年4カ月経ち、菜食に切り替えたのは2010年の8月だから2年2カ月経った。体重は4キロ落ちたが運動不足のせいかここから減らないのがナンギ。あと2キロ減らしたい。
1日2食の菜食生活にすっかり慣れた。冷蔵庫の中は野菜だらけで卵も牛乳もない。もちろん肉も魚もない。このブログの「食べ物」ページをさかのぼって見るとうまそうな魚の写真がたまにある。なんか懐かしい(笑)。

放射能による内部被曝がこわいので食べ物には気をつけている。関西だと関西の野菜を売っていると思うがいまはそうではない。スーパーでは気をつけないと関東・東北の野菜を売っている。わが家は宅配や近所の店で有機野菜や近郊野菜が手に入るのがありがたい。それでも大事をとってキノコやコンニャクは食べないようにしている。なんだかだんだん食べる物が少なくなっていくが、これは食べないようにしようと思うと食べたくなくなるのが不思議。
水は相方がどこやらの水をせっせと買ってくるので、飲むだけでなく料理用にも使っているが、味噌汁もだし汁もほんまにうまい。ヒジキや割干し大根や高野豆腐なんか上品な味に仕上がってうまい。

ヘニング・マンケル『ファイアーウォール 上下』(2)

ヴァランダーはマスコミの攻撃を受けつつ、体調のすぐれないままに捜査を続ける。夜中に停電があり送電所に駆けつけると送電線にソニャの死体が引っかかっていた。そしてファルクの死体が安置所から盗まれた。死体が置かれていた台の上に継電器が置かれていたことで、少女たちの事件とファルクの事件が結びつく。ヴァランダーはファルクの元妻と仕事関係の女性から話を聞く。
なにか不吉なことが行われようとしている。

ファルクのパソコンには警察官が操作しても入れない壁があった。ヴァランダーはペンタゴンのコンピュータに侵入しようとして捕まったことのあるモディーンを訪ねる。極端なベジタリアンでコーヒーも飲まない小柄な少年ハッカーは壁を破ろうと必死にとりかかる。

なにか大掛かりなことをしそうな犯行予定日がわかりかけてきた。
残る時間を割り出して必死の捜査を続ける警察と、自信を持って絶対に行うと決めている犯人との戦いが繰り広げられる。全世界を相手にした犯罪をスウェーデンの小さい町の警官たちが阻止しようとする。

ヴァランダーの言葉が行き詰まったモディーンの壁を破るヒントになる。
【「自分自身が轢いたときに初めて人はちゃんと野うさぎを見る」(中略)「・・・われわれが探しているものは、どこか深いところに隠されているんじゃなくて、目の前にあるのかもしれない」】
いろんなことを考えていると犯人たちのことにも思いがおよぶ。
【われわれが生きている社会は、想像するよりもずっと簡単に壊れ得る、もろいものだということ。】

このシリーズは翻訳されはじめて10年を越えている。
ヴァランダー刑事は離婚を乗り越え、その後できた恋人と疎遠になり、父は亡くなり、娘ともなかなかうまくいかない。怒りっぽい正義漢で今回は取調中に少女を殴ってしまうし(向こうが悪いのだが)、要領が良く出世欲のある部下の行為を知り殴り倒す。女性読者の母性愛を引き出す人だ(笑)。
(柳沢由美子訳 創元推理文庫 上下とも1200円+税)

ヘニング・マンケル『ファイアーウォール 上下』(1)

クルト・ヴァランダー刑事シリーズの8作目(シリーズ番外編が1冊あり)で今年の9月に刊行された。ヴァランダー刑事と部下たちはコンピュータを使った不気味な殺人事件にいどむ。

男は夜の散歩に出る。ATMでキャッシュカードを差し込み明細書を手にするまでは予定通りだった。ところが突然予測していないことが起こる。男は道路に倒れた。

ヴァランダーは葬式に出て警察署に戻ってきてファイルを読む。19歳と14歳の少女がタクシー運転手を襲った事件、二人の少女ソニャとエヴァはレストランでタクシーを呼び、走行中に車を止めさせ、ハンマーで運転手の頭を殴った。もう一人がナイフを出して胸を刺し、財布を盗って姿を消した。二人はすぐに見つかって逮捕された。ヴァランダーには少女が金を欲しさに人を殴って殺すなんて理解できない。部下のアン=ブリットは犯罪者の年齢が下がっていると言う。
【「よく考えればわかると思いますよ。少女たちはしだいに自分のおかれた状況が見えてきたんです。自分たちは必要とされていないだけでなく、歓迎されていないということが。それで暴れるんです。男の子たちと同じですよ。暴力を振るうのは、現状への反発なんです」】

そのあとマーティンソン刑事がきて昨夜のATMの前に倒れていた男の報告をする。男はITコンサルト会社の経営者ファルクだった。調べた結果、自然死と処理されたのだが、あとから医師が訪ねてきて健康体なので自然死のはずがないと意見を述べる。

ソニャがちょっとした隙に逃亡する。トイレに行った彼女は堂々と正面玄関から出て行った。
エヴァの取調中にヴァランダーはあまりの少女の態度に腹を立て、彼女が一緒にいた母親を殴って「くそばばあ出て行け」と叫んだとき、思わずエヴァを殴った。その瞬間を入り込んでいたカメラマンに撮られてしまう。その写真は少女を殴った暴力警官として大々的に新聞に出た。
(柳沢由美子訳 創元推理文庫 上下とも1200円+税)

リチャード・カーティス 監督『パイレーツ・ロック』

1966年のイギリスの話だから古い映画かと思ったら2009年に製作された映画だった。終わってから気がついたのだがどこかピカピカしてる(笑)。

当時のイギリスのラジオはロックを一日45分しか放送してなかった。ビートルズやローリング・ストーンズがすでにデビューしていた時代で、新しいバンドやソウルミュージシャンが続々と出てきてた。若者たちこどもたちは45分の放送ではガマンできない。
そこでロックのDJたちが集まって船を手に入れ、海上なら法律は手が出せないと北海から24時間休みなしの海賊放送をはじめる。イギリスの若者たちはその放送を自分の家や職場で、親にナイショで聞いたり、働きながら聞いたり、踊ったりと熱狂する。
船には代表クエンティンといろんなタイプのDJたちと助手の少年とニュース係、そして食事係のレズビアンの女子が乗船している。クエンティンの友人の息子カール(トム・スターリッジ)がドラッグとタバコで退学になったから引き取ってと母親に送り出されてくる。カールはみんなに手痛く温かく歓迎されるがこの中に自分の父親がいるはずだと思う。船にはときどき小型船に乗った訪問客がある。若い娘もやってくる。
海賊放送のあまりの人気に政府は対策を打ち出すがなかなかやめさすことができない。政府のえらいさんとデキる部下が失敗を続けるがついに法律を変えることに。

当時のヒット曲が流れて楽しい。イギリスのラジオのDJってレコードをかけながらこういうふうにしゃべっていたのか。
1966年にはわたしはなにを聞いていたのかな。ビートルズにもストーンズにも疎く、モータウンも知らず、潔癖にジャズだった。70年代後半いっきょにパンクに目覚めるまで。

P・D・ジェイムズ『死の味 上下』(2)

ベロウン卿は殺された教会に泊まったことがあった。今回もその教会に自分から出かけていたのだ。国務省の事務官として働いている愛人はベロウン卿と本当に愛し合っていたが、教会の話を聞いたときふたりの仲は終わったと感じたと語る。
上流階級である家族から雇い人まで話を聞いてまわるうちにだんだんとベロウン卿の家庭の事情と私生活が明らかにされていく。

3人の捜査官が訪れた屋敷や部屋の描写が細かくて、趣味のよいインテリア雑誌を見ているような部屋があり、狭いながらも片付いている部屋もある。暖炉やソファや壁にかかった絵や写真の描写が繊細で目に見えるようだ。窓から見えるテームズ川の様子とかも。
貴族の称号を持つ雇用者と、そこで働く雇われ人の間がふだんは階級社会として機能しているのだが、事件があり警察官の聞き取りがあるとほころびはじめる

ケイトは父を知らず母を早く亡くして祖母に育てられたが、働き出してからは祖母の部屋を出て自立している。そこへ祖母が倒れたと通報があり、自分のフラットに引き取る。事件はその部屋にまでおよぶ。犯人と争っているとき恋人のアランから電話がかかる。

ダルグリッシュが出向いたところで、わたしが気に入っているのは雑誌編集者のアクロイド夫妻を訪ねるところ。ネリー夫人が伯父から受け継いだ端麗なエドワー朝時代の屋敷に行くと、夫妻は気持ちよく迎える。ネリーは20年、30年代の女学生物語の収集家である。ダルグリッシュはだいぶ前に初版本を古書店で見つけてあったのを渡すと、ネリーはまだ持ってなかった本なので喜ぶ。アクロイドは今度、詩人兼刑事ダルグリッシュと麗人コーデリア・グレイという組み合わせで食事するシーンを自分の雑誌のコラム欄に載せたいという。(コーデリア・グレイがこうして会話に出るほど活躍してるのがわかってうれしい。)
(青木久恵訳 ハヤカワポケットミステリ 上下とも880円+税)

P・D・ジェイムズ『死の味 上下』(1)

Nさんに貸していただいたP・D・ジェイムズのアダム・ダルグリッシュ警視シリーズ14冊中の7冊目になる「死の味 上下」(1986)を読み終わった。
最初に後半の作品を読んだとき「死の味」にケイトの昔の恋人が出てくるよと教えてもらったっけ。すっかり忘れていたのを読んでいて思い出した。

ロンドンのパディントンにある聖マシューズ教会に、毎週水曜日にウォートン嬢(65歳)とダレン(10歳の男の子)はマリア像に供える花を取り替えにいく。孤独なふたりはとても気があっていた。
その日はドアの鍵が開いていて、入ると喉がかき切られたふたりの男の血まみれ死体があった。驚いて神父を呼びに行くと、ひとりは浮浪者のハリーでもうひとりは元国務大臣の准男爵ポール・ベロウン卿だという。

ダルグリッシュ警視長とジョン・マシンガム主任警部とケイト・ミスキン警部の3人が、この仕事に取り組むことになる。ロンドン警視庁に新しくできるチームは来週月曜日から発足の予定だが、すぐにこのチームで仕事をはじめる。マシンガムは過去にケイトと仕事をしてぶつかったことがある。どちらかというと女性警官に偏見があるほうだが、ダルグリッシュはケイトを評価し信頼している。

ベロウン卿は数日前にダルグリッシュに会いたいといってきて話をしたばかりだった。彼は雑誌を見せて誹謗中傷めいた記事をダルグリッシュに読ませた。ダルグリッシュは編集長を知っているので会ってみようと思う。だがそれより前にベロウン卿は大臣を辞任していた。そして教会での死とはどういうことだろうか。

3人は上流階級のひとたちとその周辺にいるひとたちから話を聞きながら捜査を積み重ねていく。
ベロウン卿の家を訪ねて、母のレディ・アーシュラ、妻のバーバラ、家政婦、運転手に話を聞く。その他に、先妻の娘サラ、バーバラの兄スウェイン、バーバラの従兄弟で外科医のランバートを調べる。
(青木久恵訳 ハヤカワポケットミステリ 上下とも880円+税)

パット・オコナー監督『ひと月の夏』

コリン・ファースの映画は「アナザー・カントリー」(1984)を封切りで見ている。若いいい男たちの中でも気に入ったのが共産主義の若者を演じたコリン・ファースだった。でも「ひと月の夏」(1987)は見過ごしていた。「高慢と偏見」(1995)が最高だからそれでいいみたいな(笑)。「イングリッシュ・ペイシェント」ではちょっとだけ、「恋におちたシェイクスピア」もあんまり、「ブリジット・ジョーンズの日記」はご愛嬌みたいな。「真珠の耳飾りの少女(2003)はよかった。アカデミー賞をもらった「英国王のスピーチ」はDVDをお借りしているので、そのうち見る。

第一次大戦の後遺症に悩まされているバーキン(コリン・ファース)は雨の中を走る汽車に乗ってロンドンからヨークシャーの村へやってきた。彼の仕事は教会の壁画復元で、牧師は反対だが教会に復元費用を遺した人がいてやむを得ず頼んだという。
鐘楼に寝泊まりするようになったバーキンが窓から見下ろすと隣の土地にテントが張ってあり若い男ムーン(ケネス・ブラナー)がいる。話すうちにふたりとも大戦の生き残りということで心が通い合っていく。
村の有力者がこどもを通じて気を使ってくれたりして、仕事がはかどっていく。広すぎる牧師館で暮らす牧師夫妻それぞれの孤独が伝わる。
500年前に描かれた壁画はしっくいを落として丁寧に拭き取っていくと元の絵が現れる。牧師の美しい妻にこころ惹かれ、森の道を散歩する夢のようなシーン。しかし猟銃の爆音で戦争の悪夢が甦ったバーキンはひとりで教会へもどる。
ムーンが探していた墓がわかり発掘すると石棺が見つかる。そして葬られた男と壁画の男は同一人物とわかる。
バーキンとムーンの仕事は終わり、ムーンは新しい発掘のためにバグダットへと旅立ち、バーキンはロンドンへ帰る。

ヨークシャーの村で輝く夏のひと月をすごす若者ふたり。ああ、見てよかった!

下地真樹 阪南大学准教授 インタビュー

この日記にもしばしば名前が出てくるモジモジさんこと下地真樹 阪南大学准教授のインタビューがIWJの中継で夕方7時からあった。話を聞くのは岩上安身さん。聞き応えのある内容で2時間半があっという間だった。

下地さんはその姿がIWJの中継にもっとも多く出てくる時の人である。
活動はいつからかと聞かれて、ガレキの説明会をはじめたのは去年の12月28日と言われたのでびっくりした。その第一回〈【大阪】放射能燃やしていいのか 住民説明会〉にわたしは参加していた!
そのときはガレキに危機感を持つお母さんたちの集まりに顧問のようなかたちで出席し、その後の活動の中で講師として関わることになった。それから数多くの集会で語り、住民によりそった活動を続けておられる。女性たちにこんなに信頼されている男性にはじめて出会った。
わたしが行った「木下黄太講演会 7月17日 此花」のときも来ておられたし、熊本一規先生講演会「がれき処理、除染はこれでいいのか」では司会をされていた。「大阪瓦礫受け入れ勉強会」のときは講師をされていた。

8月30日に大阪市のガレキ説明会が中之島中央公会堂であった。この日はわたしは体調が悪く不参加だったが相方が参加したので詳しく話を聞き、IWJの中継と合わせて情報はばっちりもらった。
橋下市長がモジモジさんの質問に答えられず退場したところもしっかり見た。8月30日の中継と文字起こしがあります。

その活動とともに、毎週金曜日に関西電力本社の正門前で、毎週火曜日には大阪市役所前で抗議行動の中心におられる。
10月5日の関西電力前での抗議活動中にAさんが公務執行妨害で不当逮捕された。その日は下地さんは用事で行くのが遅くなり現場にいなかったのだが、最初から不穏な雰囲気だったと居合わせた者は語っている。
仲間たちは毎日のように拘留されている天満署前に行って抗議を続けている。天満署前は警官たちがずらりと並んで警備している。ぎりぎりのところで抗議する下地さんたちの姿をはらはらして見ているが、歌ったり踊ったり警官への講義もあってなかなかの見物でもある。

そういう緊迫した状況をネット中継でありのまま見られる。警察もずっと写真とビデオを撮っていたが、こちら側も岩上さんのIWJのおかげで全国の人たちが警官たちの行動を見ている。

橋本市長の背後にあるもの、ガレキの背後にある原発を押し進めていこうとする者たちについて下地さんは語った。

ジェシカ・ベック『動かぬ証拠はレモンクリーム』

訳者の山本やよいさんから送っていただいた。ノースキャロライナ州の小さな町の〈ドーナツハート〉のオーナー、スザンヌ・ハートが主人公のシリーズ2冊目。1冊目の「午前二時のグレーズドーナツ」を読んでいるとむしょうにドーナツを食べたくなった。前回の感想の最後はこうだ。「近くにおいしいドーナツ屋さんがなくて、わたしはまだドーナツを食べてない。」
ところがそれからすぐに四ツ橋筋にドーナツ専門店「フロレスタ」があるのに気付いた。ここのドーナツは〈ドーナツハート〉のドーナツにいちばん近いような気がする。ふんわり揚げたてのさくさくしたネイチャーが好き。昔は大好きだったショートケーキやモンブランなどは最後に食べたのがいつか忘れたが、フロレスタを知ってからはドーナツは食べる。
おっとドーナツの話ばかりしてるわ。

相変わらず深夜に起きてジープで店に行き助手のエマとドーナツを作る毎日だが、町で〈素敵なキッチン拝見ツアー〉という企画があり、友人のマージのしゃれたキッチンでスザンヌがドーナツ作りを実演することになる。
そのとき作る予定のドーナツをしっかり予習してその日にのぞんだのだが、そっと外を見ると60人ほどが待っている。時間になりスザンヌは「本日はベニエを作る予定です」と説明をはじめる。ペニエって時間と労力を注ぎ込んで作る高級ドーナツなんだって。
材料を調理台に並べて混ぜる作業にとりかかろうとしたとき悲鳴が起こる。「死んでる」と誰かが言った。
ペグ・マスターソンが倒れていた。そしてペグの手に握られているのが、ひと口かじったレモンクリームのドーナツ。〈ドーナツハート〉の商品に間違いない。
スザンヌはやってきたマーティン署長に待つように言われる。そして店のほうも捜査員がいっていると言われる。

スザンヌは友人のグレースとともに事件を探る。前作で知り合った恋人のジェイク、向こうの浮気がもとで別れたのに未練たらたらの元夫。なぜか以前に会ったことがある感じの新しい客、と男関係もにぎやか。近所のお店のひとたちとやりあったり助けられたりで、最後には真犯人を見つける。
(山本やよい訳 原書房コージーブックス 838円+税)