アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『三秒間の死角 上下』(2)

アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレムの作品を読んだのははじめてなのだが、すでに2004年に「制裁」、2005年に「ボックス21」(2冊ともランダムハウス講談社文庫)、2006年に「死刑囚」(RHブックス・プラス)があり、2007年の未訳の本が1冊あって本書「三秒間の死角」になるシリーズである。

シリーズの主人公はスウェーデンの首都ストックホルム市警のエーヴェルト・グレーンス警部。本書でもしつこい捜査で警察上層部の秘密に迫る。彼と常にやりあっている検察官と今回は連携する。部下の二人の警部補は上司のやり方に慣れているベテランである。

人質をとったホフマンを1503メートル離れた場所から狙撃できる者は警察にはいない。警察の仕事に軍が介入することは許されていないが、法のほうを合わせることで軍の狙撃手に頼む。
現場で狙撃の命令を下すのはグレーンス警部である。警察上部の人間はホフマンの悪人イメージを作りあげた。いまになるとそういう悪人だから殺して当然な雰囲気になっている。グレーンスは狙撃手に命令を下す。

なにかおかしい。すべてすんだ後にグレーンス警部のもとにホフマンから封筒が届く。それを調べたグレーンスは部下のスンドクヴィストをアメリカで研修中のウィルソン潜入捜査担当官に会いに行かす。だんだん闇の中が見えてきた。

登場人物の名前が覚えにくくて、新しくまたは再び三たび出てくるたびに表紙カバーの〈主な登場人物〉を見ながら読み進んだ。
最後がよかった。
(ヘレンハルメ美穂訳 角川文庫 上下とも840円+税)

アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『三秒間の死角 上下』(1)

医師の山田真さんが薦めてくれたスウェーデンのミステリ、アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム / ヘレンハルメ美穂訳「三秒間の死角 上下」(角川文庫)の二度目を読み終えた。
山田さんのおかげでヘニング・マンケルのヴァランダー刑事ものと、グレッグ・ルッカのボディーガード アティカス・コディアック+女性私立探偵ブリジット・ローガンものを知った(その上に翻訳者の飯干京子さんまで知り合えた)のだから、足を向けて寝られない。その他にもいろいろ教えていただいたが、好みが微妙に違っていて、最近はこれは久美子さんの好みではないでしょうと書いてあることが多い。おおまかに分けると山田さんは〈快男児〉で、わたしは〈腐女子〉なのである(笑)。
「三秒間の死角」は満点に近いと褒めつつ久美子さんにはどうかなと言われたのだが、好みではないが読み出したら離せなくて夜中になっても読みふけっていた。

いまのスウェーデンの警察の仕組みと警察官たち、警察官と摩擦を起こしながら仕事する若手検察官、そして潜入捜査員の仕事と人生が描かれている。
上部組織の決定で刑務所への潜入捜査が行われることになり、ホフマンが指名される。捜査員の人生が書類上に勝手に作り上げられ、定められた場所で逮捕され、そのときから極悪人として拘留されることになる。そして刑務所内で秘密任務を果たさねばならない。
ホフマンはソフィアと結婚して二人の男の子がいて幸せな家庭生活を送っている。表向きはホフマン・セキュリティ株式会社の経営者である。妻も働いていて子どもは保育所に預けて夕方どちらかが引き取りに行く。妻は彼が警察の仕事をしているのを知らない。

ホフマンを指名した捜査担当官ウィルソンは9年もホフマンを潜入捜査官として使ってきた。今回の指名はホフマンがいままで一度も失敗したことがないからだ。ウィルソンとホフマンの専用携帯電話がある。二人だけにつながっている電話だ。そして二人の間には微妙な友情がある。
話が決まるとホフマンは動き始める。自分は絶対に生きてソフィアのもとへ帰るという決意。自分を守るのは自分だけだ。
彼は図書館に行って人が借りそうにない詩集を5冊借りる。そしてハードカバーの本に細工して返す。
妻に真実を打ち明けて愛していると言い、考え抜いた自分の頼みを告げて彼は出て行く。果たして妻は頼んだことをやってくれるだろうか。

「きみはだれにも頼れない。絶対にそのことを忘れるな」とウィルソンに言われて踏み出す。
指名手配されたホフマンは4人の制服警官に見つかって暴力をふるわれて捕まり、つばを吐いて悪態をつく。ウィルソンは思う。“犯罪者を演じられるのは犯罪者だけだ”
(ヘレンハルメ美穂訳 角川文庫 上下とも840円+税)

スーザン・ヒル『黒衣の女 ある亡霊の物語』(新装版)

先週の「週刊現代」のブックレビュー「特選ミステリー」で関口苑生さんが紹介していたスーザン・ヒルの「丘」が気になった。一冊も読んだことがない作家だし上下あるのが外れたらいややなとアマゾンを開いて考えていた。そしたら1年ちょっと前に出た本書の中古本が目につき、なんと4円+送料250円で手に入った。

解説に著者はヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」とディケンズの「クリスマス・キャロル」を再読しながら書いたとあったが、わたしも「ねじの回転」を思い出しながら読んでいた。その上にエミリー・ブロンテの「嵐が丘」も思い出していた。

昨日の日記に書いたように、シャーロック・ホームズでギネスと料理を前に読み出したのだが、たちまち我を忘れて読みふけった。そして目の前にKさんが座ったときはまだあっちにいて、「こんにちは」でこっちの世界へもどってきたのだった。

弁護士のアーサー・キップスは中年を過ぎてから4人のこどもを持つエズメと結婚して、一目見て気に入って手に入れた〈修道士の館〉と呼ばれる屋敷で幸せに暮らしている。クリスマスイブの夜に子どもたちが集まって賑やかに過ごしているうちに、恐い話をしようと誰ともなく言い出す。ひととおりすんだあと、今度はアーサーだと指名され、だれでも恐い話のひとつくらい知っているはずと言われる。「がっかりさせてすまないがそんな話は知らない」とアーサーは外に出てしまう。
庭に出たアーサーはハムレットの中の詩を思い出し、明日は家族の喜びの日を楽しもう。それがすんだら関係者はみんな死んでしまって自分しかこの恐怖を覚えていない恐い話を書き残そうと決心する。

そして物語がはじまる。
ロンドンの若い弁護士アーサーは雇い主のベントレー氏の言いつけで〈うなぎ沼の館〉へ行くことになる。顧客のドラブロウ夫人が亡くなったので葬儀に参列し遺品の整理をするという仕事だ。
キングス・クロス駅から二度乗り換えて小さな駅で降りると、そこで引き潮になるのを待って土手道を行くと〈うなぎ沼の館〉がある。霧深いロンドンを列車が出るときは気分がよかったがだんだん曇ってくる。
列車にはアーサーの他には一人の紳士が乗っているだけで二人は同じ駅で降りる。
ホテルに泊まるがなんだか怪しい雰囲気である。
子犬のスパイダーを貸してもらっていっしょに行動するところを読むのが救い。
迷っていたが「丘」を買おう。
(河野一郎訳 ハヤカワ文庫 680円+税)

iPhone 5s に機種変更(3Gから-笑)

このブログのアーカイブ「マック、パソコン、ネット」を見ていったら2008年に次はiPhoneにすると書いていて、iPhone 3Gを7月28日に購入している。その月に発売されたのを並ぶ人がいなくなったのを見計らって予約した。3日後にはケンゾーのハンカチを縫って可愛い袋を作っている。人に会うと見せて〈見栄 iPhone〉しまくった。
でも、老眼がきついのとキカイオンチなのとで電話とメールだけしか使っていないまま5年半経ってしまった。家にいることが多いからパソコンのほうが使い勝手が良い。
相方は「4」からどんどん使いこなしていて、いま持っているiPhone 5は肌身離さずという感じである。
一年くらい前に買うつもりだったとき、だれかに乙女座はいま買わないほうがよいと言われて(笑)、ちょっと控えたらまた月日が経ってしまった。

今回は相方のほうが業を煮やして(?)いろいろと調べてくれたので、今日ようやく腰を上げて近所のソフトバンクに行った。愛想の良いお兄さんがいろいろと説明してくれて無事にiPhone 5sを購入した。色は黒。
いまいろいろといじっております。老眼鏡かけて(笑)。

ふとん乾燥機を購入して思ったこと

20年くらい使っていたふとん乾燥機がへたってしまった。
10年くらい前までは近所の電器屋さんに言うとナショナルの製品を届けれくれた。オーディオとパソコン以外はナショナルだった。途中でテレビをソニーにしたくらいか。そのあとはヨドバシに買いに行ったりしていたが、最近はちょっとしたものはアマゾンが多い。
今回もアマゾンであれこれ見て、ふとん乾燥専用で9,200円のを購入。夜中に注文して翌々日に届いた。
昨日届いたのをすぐに使ってみたら使い勝手がとてもよい。昨日は乾燥してすっきりしたふとんでぐっすりと眠った。

こういうものを買うと「どっちが先かな」ってつい口に出してしまう。さっきツイッターに「最近、家電製品なんかを買うたびに思う。こっちが先か、これが壊れるのが先かって。今日は新品のふとん乾燥機を使いながらしみじみ思った。」と書いたら、「やですよ、そんな」と書かれてしまった。で、それへの返信「iPhoneとMacだと、これから何台買うんやろと思いますです。」(笑)。

スウェーデンミステリとシナモンロール

おととしの11月の関西翻訳ミステリ読書会の課題本はヘニング・マンケル「殺人者の顔」だった。始まる前に主催者のKさんがシナモンロールを1/4ずつ配ってくれた。この本の中で主人公のヴァランダー刑事がシナモンロールを食べるところがあったそうだ。わたしはそれを全然気がついておらず、その日がシナモンロールという言葉の初聞きで初食べだった。運よく1個残ったのをもらって帰って食べた。うまいやん。スウェーデンで発明されたパンなんだと検索して知った。それからはヴァランダー刑事が食べてたパンということでパン屋を探しまくり。大丸にあるパン屋のがうまくて2店で代わりばんこに買っている。

いま医師の山田真さんが薦めてくれたスウェーデンのミステリ、アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム / ヘレンハルメ美穂訳「三秒間の死角」(角川文庫)をもうちょっとで読み終る。そういえばヘニング・マンケルも彼が教えてくれたんだった。
この本では警察官がシナモンロールを食べるところが多い。小さい食堂でご飯を食べて、帰りにシナモンロール4個を袋に入れてもらって会議に参加なんてところもある。

短編小説と長編小説

おとといまでエドワード・D・ホック「サイモン・アークの事件簿 V 」を読んでいた。いま気がついたけど、ミステリーだとわたしは長編小説を読んでるときはストーリーに引っ張られてすごくはや読みだ。反対に短編小説はゆっくり読む。短編だと一編ずつ登場人物名が変わるし場所も犯罪のやりかたも変わる。それをアタマに入れるのに時間がかかり、じっくりと味わうことになる。つまらん小説ではそうはいかないけど、ホックのような老練な作家だとほんまに味わって読む。幸福感がわいてくる。読み終ってももう一度読んで味わいなおす。

そうやって読み終え感想を書き終えて、先日から待っているスウェーデンのミステリ、アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム / ヘレンハルメ美穂訳「三秒間の死角」(角川文庫)を昨日から読み出した。おもしろくて手放せないところをガマンして会報作りのかたわら読み進んでいる。それでふっと思った。この文庫は文字が大きいからかもしれないけど早く進んでく。それではじめに書いたようにストーリーに引っ張られたはや読みなのだと気がついた。
そして、これももう一度読むことになる。なぜかというと早読みしすぎてストーリーがわからなかったり、人物がこんがらがったりするから(笑)。
さて、これを早くアップしてコピーとりをしながら本を読もう。

ヴィク・ファン・クラブの会報2月号制作は今日がピーク

毎月書いているけど、ヴィク・ファン・クラブの会報は月刊で20年近く欠かさず出している。最初の数年は季刊の会報「 VI 」が主だった。その他にハガキだったりA4サイズの1枚ものを作って送っていた。覚えたてのMacがあるからできたことだ。そしてコピー機。ゼロックスのマシンが仕事以上にVFCの役に立ってきた。

いつからか「 VI 」をやめて「VFC NEWS」だけになり、30ページを越える会報を毎月送っていた。去年からネットにも頼ることにしてページ数を減らしている。
わたしの時間をたくさん使っていることについて考えることもあるが、ここまできたら元気な間はやりまっせの心境である。
このおかげでパソコンを操れてるし、原稿整理やレイアウトなど考えるからボケ防止になっているのではあるまいか(笑)。
本を読んで人に語れるのも会員の方々がいるおかげである。
最近は放射能測定に関係している方々と連載記事を作っている。これも長年培ってきた人間関係のおかげだ。
表紙のイラストがステキなのもVFCならでは。ずっと会員の娘さんが次々と描いてくださっていたが、いまはパンク少女の会員の手になるおしゃれな表紙である。

今月もまた20ページくらいかな。今日は何ページも版下原稿を作った。今年いっぱいは使えるコピー機にももうちょっと働いてもらう。

エドワード・D・ホック『サイモン・アークの事件簿 V 』続き

ひとつだけ他と違う作品があった。
二つ目の「呪われた裸女」。なぜかサイモン・アークと〈わたし〉はニューヨークで私立探偵事務所を開いている。ドアを開くと〈わたし〉がいて奥の部屋にサイモンがいる。
開業から半年ほど経つと噂が広がり仕事がだんだんくるようになって、サイモンの部屋には骨董品の類いの置物が増えた。

ごく普通の私立探偵小説の発端のように依頼人ファミッジが登場して、仕事を頼みにコネティカット州から来たという。「どういうご用件でしょうか」と聞くと「厳密には裸になりたがる姪の件だ」という返事。おもしろそうだと奥の部屋のサイモンに取り次ぐ。
ファミッジの依頼は、裸になりたがる姪の男友だちジムが殺された。ファミッジは姪が警察に殺人者として逮捕されるのを恐れている。殺人事件の捜査は警察がするだろう。君たちに頼みたいのは姪にずっと服を着させておくことだ。そして姪が馬鹿なことをするのを阻止することだ。

ふたりはコネティカットまで行くことにする。電車でコネティカットくんだりまで行くのだからその姪は美人でなくてはならないと〈わたし〉は言う。駅に着くと裸になりたがる娘のジェーンが車で迎えにきていた。美しい娘である。
けったいでおもしろい短編小説だった。
(木村二郎訳 創元推理文庫 1100円+税)

アメリカ村を散歩して本屋で帽子を買った

今日も寒かったが夕方から相方が本を買いに行くのでいっしょに出た。ツイッターで知ったアメ村の菩南座ってジャズ喫茶を探して、久しぶりの味穂でいっぱいやろう。
ハンズの地下の本屋でネット関連の本を買って、大丸のポールで食事パンを仕入れ、アメ村に出て三津八幡神社に近い菩南座を探した。すぐに見つかったがドアが開いているが人がいない。感じからして昼の営業が終って夜のライブまでの休憩時間ぽい。場所を覚えたからええねとすぐ近くの味穂に行ったら休みだった。熱燗で一杯!はなし。

すぐ近くにおしゃれな本屋さんスタンダードブックストアがある。アート関係の本が多くて楽しい本屋だが、今日ばかりは目についたのが編み物商品の棚で、中でも極太毛糸で編んだ飾り気ない帽子。わたしのアタマに乗るためにそこにあった。ハイランド製で6090円。これがあればいま持っている帽子を全部(3つだが-笑)を捨てる。ということですぐに買った。なにげない普通の帽子だけどよく似合う。

心斎橋へもどる道にあるカジュアルでお洒落なレストランで、野菜ぎっしりの大きなサンドイッチ、ソーセージ、ポテト料理などとビールにした。ひと味もふた味も違うおしゃれな女性客が多い店で華やか。ウェイターが美形ばかりでしかもよく気がつく。

ということで、行こうと思ってたところは二店とも入れなかったが、その代わりに帽子は買うわ、おいしいものを食べながら目の正月はするわで楽しい休日の夕方を過ごした。