クリント・イーストウッドを最初に見たのはテレビドラマの『ローハイド』(1959−1965)で、いまでも楽しかったシーンをよく覚えている。口真似もできる笑。その後はいろいろ見た後に『ダーティハリー』を1から3まで、レンタルビデオとテレビで何度も見た。『アイガー・サンクション』(1975)もよかったが、格段に好きなのは『ガントレット』(1977)だ。当時はソンドラ・ロックの大ファンになった。それよりも好きなのは『タイトロープ(1984)で、この2本の女性の描き方に好感をもった。イーストウッドの映画でなにがいいかと聞かれるとこの2本をあげる。
ちょっと普通にいい映画とか好きな映画というのと違った意味で好きなのは『ペイルライダー』で、これが好きというと「どこがええねん」と反対に聞かれるけど、白馬で現れるイーストウッド素敵。
「バード』は尊敬する。『セロニアス・モンク ストレート・ノー・チェイサー』は親しみを持って好きという。
『マディソン郡の橋』は恋愛映画好きとして素直に好き。『スペース カウボーイ』も。今夜見た『15時17分、パリ行き』は、「うーむ、うまくつくってるなあ」と思いました。
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アニー・デュプレーの本『黒いヴェール』
ツイッターでアニー・デュプレーという名前をちらりと目にしたとき、あれっと思った。この人のこと知ってるはず。フランスの女優らしいからきっとそうだと勝手に決めた。検索したらジャン・リュック・ゴダール監督の『彼女について私が知っている二、三の事柄』 (1966)、アラン・レネ監督の『薔薇のスタビスキー』 (1973)に出ている。どっちの監督の作品もよく見ているほうだが、この2本は見ていない。『女性たち』 (1969)なんかブリジッド・バルドーとモーリス・ロネだが日本未公開である。全然思い違いしていたと気がついた。
子供の頃に見たフランス映画を思い出してみようとしたが思い出せない。10歳年上の二番目の姉が映画好きでよく連れて行ってくれた。ボーイフレンドと行くための親への目くらましに使われたみたいだが、わたしひとりで映画館に入るには3年くらいの間があったから、ありがたかった。映画を見ること、映画雑誌を見ることを教えてもらって、その上に映画を見たらストーリーをしゃべることも教えてもらった。映画と同時に歌舞伎と文楽と新派と新劇を見におしゃれして出かけることも教わった。ただし姉がおしゃれするだけでわたしは相変わらずみじめったらしかったが。あんたも大人になったらわたしみたいにできるといわれました(笑)。ボーイフレンドには近所の子といってました(笑)。
さて、アニー・デュプレーは思っていた人と全然違った。アニーは間違いないと思うんだけど。『黒いヴェール』は美しい写真の入った本でずっしり重い。最近は本を捨てるのに専念しているから、地震対策にも重い本はいらない。でも重くても美しい写真がたくさん入っているから本棚に並べよう。
(北代美和子訳 リュシアン・ルグラ写真 文藝春秋 1996刊)
レベッカ・ミラー監督、製作、脚本『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』
レベッカ・ミラー監督、製作、脚本『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』
イーサン・ホークの出ている映画は無条件で見たくなる。共演が『フランシス・ハ』のグレタ・ガーウィグとなれば、そしてジュリアン・ムーアだもん、おしゃれな映画と決まっている。じっさいに見たらおしゃれでインテリっぽくて笑えるところもあり、共感するところもありでまあまあ楽しかった。コロンビア大学教授でイーサン・ホークの奥さんの役がジュリアン・ムーア。ちょっと儚い感じがしてよかった。
滑り出しはおもしろくなりそうだったが、もひとつだったなあ。ただイーサン・ホークの気が弱そうだけどけっこう厚かましくて、世の中やっていけるのかしらという感じなのにやっていってるところが、そんなもんかなあなんて感じでした。
イーサン・ホークが出てる映画ならなんでも見たい。
グザヴィエ・ドラン監督・脚本・製作・主演『マイ・マザー』
ツイッターなどで名前ばかり目にしてまだ作品を見たことがなかった監督で俳優のグザヴィエ・ドランの第1作『マイ・マザー』をようやく見た。2009年に製作されたカナダの映画。
わたしの好みの作品ですごくよかったとしかいいようがない。
ユベール少年の美しさに惹かれた。友人もいい。母親はその世代の女性のいやらしさと人の良さがあってそんなもんよねという感じ。若くしてうまい作家である。
女性の先生がよかった。生徒を泊めるのは禁じられているといいながら泊めてくれて、ユベールに才能があるから彼が書いた詩を新人賞に応募したという。
お別れに詩集をくれて◯ページの詩を読むようにいう。だれのなんという詩集だろう。
今日はイアン・カーティスの命日、アントン・コービン監督『コントロール』
ポストパンクのバンド「ジョイ・ディヴィジョン」のボーカル、イアン・カーティスが23歳で自殺してから38年経った。今夜は映画『コントロール』を見て、いまも大好きなイアン・カーティスを偲ぶことにした。
当時はお金がないのに輸入レコード店で高価な最新輸入レコードを吟味して買うのが楽しみだった。レコードジャケットのデザインが素敵で買ったのがこの「アンノウン・プレジャーズ」だった。レコードを繰り返しかけていっしょに歌っていたあのころ。いまも大好きで、たくさん聞いてきたパンク、ニューウェーブのレコードの中でも一番好きな曲だ。
マンチェスターのバンドということも好きなところ。行ったことはないし、イギリスのどこらへんかもよく知らないが、ミステリーで身近になった。ニコラス・ブリンコウ『マンチェスター・フラッシュバック』は捨てがたい魅力のある街マンチェスターが出てくる。
映画を見終わってよかったなあというのみ。いまも好きです、イアン・カーティス。
「アンノウン・プレジャーズ」のレコードジャケットのデザインについて検索したら、「ジョイ・ディヴィジョンのアルバムカバーの謎が今明らかに」というサイトが出てきた。38年経って謎が解けました。
ダニー・ボイル監督『T2 トレインスポッティング』とイアン・ランキン
2017年製作のイギリス映画。1996年製作の『トレインスポッティング』から20年ぶりの続編ということで期待して見始めたんだけど、前作での印象的な画面以外はほとんど忘れていて、のめりこめなかった。
『トレインスポッティング』を見たのも封切りからかなり後になってからで、友人の男子が騒いでいたから促されて見たようなわけで。でも見たらとても面白かった。それで期待はしてたんだけど。もう一度前作を見てから気持ちの準備をして見たらよかったかもしれない。
今日はとりあえず、見たというだけ。
エディンバラの高地というか丘というか、木々の緑と空の色がよかった。
久しぶりにイアン・ランキン描くエディンバラを思い出した。ジョン・リーバス警部とシボーン・クラーク部長刑事。エディンバラの上品ではない地域で働く警官たちの物語だが、映画に出てくる壊れそうな住宅に彼らが出入りする姿が目に浮かんだ。
ベルトラン・ボネロ監督・音楽『サンローラン』
いい映画だった。すっごく気に入った。ベルトラン・ボネロ監督『サンローラン』(2014年,フランス・ベルギー合作、第67回カンヌ国際映画祭で上映され、セザール賞・最優秀衣装デザイン賞を獲得)紹介記事に「イヴ・サンローランの人生で最も輝き、最も墜落した10年間を描く」とあったので超期待して見はじめた。どんな役かヘルムート・バーガーが出るのも期待でわくわく。
1960年代後半、イヴ・サンローラン(ギャスパー・ウリエル)は共同経営者のピエール・ベルジェが増やしていく仕事に追われていた。映画・舞台衣装、コレクション、プレタポルテ、オートクチュールと絶え間なく追いかけてくるなか、モデルのベティとクラブに繰り出して遊ぶ。
美しい男ジャックと出会ったイヴはどんどん引き込まれていく。ジャックとともに酒と薬とに溺れ命を落としそうになる。
豪華な邸宅で贅沢な暮らしをしているが、心は虚ろ。そんなイヴを支えるスタッフがカバーしてショーの準備が出来上がっていくところがすごい。
最後のほうでヘルムート・バーガー扮する年老いたイヴが出てきた。豪華な部屋の椅子に座ってタバコをくわえ、オペラが好きだといいマリア・カラスのレコードをかけるようにいう。カラスの「蝶々夫人」の ある晴れた日に が美しく響く部屋でイヴは眠りについた。
ジャリル・レスペール監督『イヴ・サンローラン』 (2014年の映画)
サンローランの映画ができたと聞いたときから見たかった。サンローランの服をもっているわけでもないのに、サンローランのファンなのである。
若き日のサンローラン(ピエール・ニネ)と知り合い共同経営者で後援者として共に過ごしたピエール・ベルジェ(ギヨーム・ガリエンヌ)がサンローランの死後に一緒に買い集めた美術品などを競売に出すので、終生添い遂げたのだなとわかる。ちらっと解説を読んだら50年にわたって支えたと出ていた。
わたしはサンローランとほとんど同時代の人である。中学生のときにディオールの名前が姉たちの会話に出て、ロングスカートの人を見かけるようになった。
姉のファション雑誌のお古をもらって見ていたからファッション雑誌歴も長い。自分で買うようになって、『それいゆ』を経て『装苑』『ハイファション』『流行通信』『ミセス』など長いこと買っていた。サンローランは雲の上の存在だけど、今シーズンのドレスとか雑誌で見てよく知っていた。すごい人生を生きぬいたサンローラン、素晴らしいものを遺した。
チャド・スタエルスキ監督、キアヌ・リーブス『ジョン・ウィック:チャプター2』
第1作『ジョン・ウィック』がめちゃおもしろかったので、理屈抜きで2作目も見たいなと思っていた。とにかく格闘技がすごいし、撃ち合いがすごいし、カーチェイスもすごい。女も男もなく撃ち合い殴り合い殺しあうところがいい。伝説の殺し屋ジョン・ウィックに関わる人々は血にまみれて倒れる。死闘の背景に音楽や美術や装飾を美しく描き出していて、そこで人間がえげつなく殺される。
歌声が聞こえてオペラかと思ったら、DJも入ったバンドの演奏で、クラシックのような現代音楽のようなロックコンサートのようでいい感じだった。
キアヌ・リーブスは若い時から好きだったけど、歳をとっても清潔で正義感にあふれた役がよく似合う。
オトコマエが好き、清潔感あふれるオトコが好き、孤独そうなオトコが好き。なので理屈抜きで好きな映画だという。
デヴィッド・リーチ監督、シャーリーズ・セロン『アトミック・ブロンド』
シャーリーズ・セロンの名前はずっと前から知ってたが歌手だと思っていたほど無知だった。昨日はアメリカのロビイストをジェシカ・チャステインがやっているのを見たから、今日は理屈抜きでばったばったと投げ倒すような、撃ち殺すような映画が見たくて『アトミック・ブロンド』を選んだらアタリだった。
東西冷戦が終結してベルリンの壁が崩壊した時代の凄腕女性諜報員の話で、スパイ、二重スパイ、女性スパイ同士の同性愛もあって盛りだくさん。殴り合いがいっぱい、撃ち合いもいっぱい、刃物で殺し合い、階段を転げ落ち、カーチェイスあり、暴力につぐ暴力でお腹いっぱいになった。
女性と男性が殴りあい、撃ち合うシーンも多く、男性に負けない暴力をふるう主人公に肩入れして気分良く見ていた。
音楽も良くクラブシーンも楽しめた。