デヴィッド・フランケル監督『プラダを着た悪魔』

2006年製作の評判になった映画を10年後のいま見た。当時の雑誌やネットでの評判や批評を思い出す。今日見ていてもすでに見た映画みたいで二度目に見ている印象。
地方の大学出身でニューヨークで働き成功しようと出てきた女性の物語。
人使いの荒い編集長メリル・ストリープのもとで働きだしたアン・ハサウェイは時間に関係なく呼び出され、私用も含めて用事を言いつけられる。恋人とパーティでくつろいでいても携帯に電話が入れば走り出さねばならない。まだ出版されてない本を双子の娘たちのために手に入れろ、それもすぐにという命令で走り回る。
ダサい服装をファッショナブルに変えて装わせてくれる男性が出てきたり、本の原稿を手に入れてくれる男性がいるし、運がいいんだけど、それを生かす才能やセンス、気配りがある。本だって双子のために2部コピーして、それに表紙をつけてやる配慮がある。

コーヒーを持って走るのは日常茶飯事、ステーキも持って走る。先輩の同僚は慌てて車にぶつかり大怪我、目標にしていたパリ出張がパーになる。その前に編集長はアンを見込んでパリへ連れていくと決めていた。
大味だけどおもしろい映画だった。パリもニューヨークも華やかで。

PRHYTHM EXOTIC NIGHT MARKET アルゼンチンの歌姫 Marina Fages来日公演

細野ビルのライブからもどってきたところ。ほんまに久しぶりのライブだったが、目の前で見るのはやっぱりええもんだ。
EXPEヨシタケさんの真空管アンプを使った甘美なギター、ブエノスアイレスからやってきたマリナ・ファヘスのドスの効いた歌声、女性ミュージシャンYTAMO、女性DJ YA△MA・・・と新鮮で甘美な音の洪水の中で楽しめた。
わたしはもう10年ほどヨシタケファンなので、もちろん一番前列でギターを弾くヨシタケさんを見える席を確保。
マリナ・ファヘスの歌い方はさすがブエノスアイレスの人だと思った。野性味があるのに都会的で、怖さと可愛らしさが共存している。
ヨシタケさんのギターの手と足の動きと真空管アンプの灯のまたたきに魅せられた。
これも久しぶりの女性DJ YA△MAさんのプレイも大好きなので楽しめた。

庭には食べ物の屋台が5つほど出ていて、いろんな飲み物、カレー、パンなど食べ物もあり、音と食と会話を楽しんだ一夜だった。早めの晩ご飯を食べて行ったのにカレー食べてワインとマテ茶を飲んで今日も食欲解禁してしもた。
相方に紹介されたサガンファンのJ子さんにライブが始まる前に乙女文学について少しだけウンチクを披露した。キャロルのことをご存知なかったので宣伝した(笑)。
合間に庭に出てまいこさんの手作りパンを買った。そばにいたJ子さんがクッキーの包みをお土産にくれたので、買ったばかりのパンを一個進呈。どちらもまいこさん製(笑)。

Carolar’s fan Book『Flung Out Of Space』を読む幸せ

去年の暮れに『キャロル』(パトリシア・ハイスミス、柿沼瑛子訳、河出文庫)を読んでからずっと『キャロル』にひたっている。その次に映画を見た。映画館で映画を見るのは久しぶりですごく上質な恋愛映画だった。
それからはツイッターで映画『キャロル』を何回見た何十回見た何百回見たとの共感のツイートがたくさんあり、英語版のDVDを楽しんでいる人もいて羨ましいかぎりだった。その後アマゾンで字幕版のBlu-rayが出るのを知りすぐに申し込んだ。
大阪でキャロラー会が発足したというツイートを横目で見ていた。友人に行くんですかと聞かれたけど、いくら厚顔なわたしでもこのトシでのこのこと行くのもね、ということでツイートを羨ましく読んでいた。

キャロル合同誌『Flung Out Of Space』の発行を気にしていたのだけど、申し込みが遅れて1回目の締め切りに間に合わず増販の申し込みに滑り込んだ。届いたのが9月30日だった。
『キャロル』の本と同じ大きさで表紙のカバーと帯がそっくりな出来栄えである。すごい本格的。プロローグからはじまって第一部、第二部とエピローグまで、文章とイラスト(カラー版たくさん)とコミックで構成されている。書いているのはすべてキャロラーさんたちである。文章力がすごい、絵を描く能力がすごい、その力が結集した本である。「好き」という原動力が文章を書かせ絵を描かせているのを感じる。(ベタ褒めです。)

裏表紙の言葉がすべてを語っていると思うので引用する。
【今日キャロりたい・・・と思ったあなた。この一冊でこれから毎日キャロれます。(中略)映画『キャロル』をこよなく愛する者達によって創られた渾身の一作】
本が届いてから今日まで毎日あちこち読んだりイラストを眺めたりしていたが、なかなか紹介記事が書けないでいた。今日になってふと思った。毎日楽しんで読んでいると書いたらいいんや。わたしの大切な生涯に何度でも読む本に加えて。

晩ご飯はホットドッグ

最近なぜかホットドッグ食べたい熱が高まっている我が家。ふだん食べないものを食べるのはうれしいような冒険のような(笑)。
パンとソーセージさえあればできるからと相方がサミープーでパンを、ビッグビーンでソーセージを買ってきた。今夜のご飯はお酒なしでサラダとパスタのあとにホットドッグとコールスローとコーヒー1人2杯という献立。うまかった。

ホットドッグというと思い出すのは映画『恋に落ちて』。メリル・ストリープがニューヨークの街角でホットドッグを買ってうまそうに食べるシーンがあった。本体を手に持ってからチリをつけてもらうんだけど、「もっと、もっと」と何度もつけてもらう。それが「通」なのかなんて思ったものだ。

今日のうちのはチリは味付けに使っていたけど、ソーセージにのせたのは辛子マヨネーズだった。つけてある葉っぱには先日手にいれたハバネロをほんの少々使ったそうだ。
次のときは「もっと、もっと」とチリにしたいな。

ジョン・G・アヴィルドセン監督、シルヴェスター・スタローン脚本・主演『ロッキー』

昨日『クリード チャンプを継ぐ男』を見たら、たまらなく『ロッキー』を見たくなった。『ロッキー』で無名のロッキーとの試合を考えついたのがクリードの亡き父アポロだった。両方ともほんとによくできた映画でそつがなくストーリーが自然で楽しい。

エイドリアンは気が弱くて人見知りの女の子、ペットショップで黙々と働いている。ロッキーが惚れて気を使うのでだんだん気持ちがほぐれていく。感謝祭のデートで後片付けしかけているスケート場で無理言って10分で10ドルだか払って氷上で話し合うシーンがいい。
エイドリアンは上品に装ったら美人だ。そして実は気が強い。広い気持ちで受け入れるロッキーとつきあってよかったね。昨日の映画では癌で早死にしたとロッキーが言ってた。
ロッキーは昨日の映画では老年になって現れたけど、ずっと独身だったのかな。こうなればあと3本を見るしかないか、「あらすじネタバレ」を読んで好奇心を満足させるか(笑)。

1976年はジャズ喫茶からそろそろ抜け出してロックを聞き出したころ。すぐにパンクに夢中の時代になった。前後して会社勤めをやめて独立した。事務所を借りてロッキーの心意気だったさ。

ライアン・クーグラー監督、シルヴェスター・スタローン主演『クリード チャンプを継ぐ男』

懐かしの『ロッキー』は1976年、『ロッキー2』は1979年、『ロッキー3』は1982年。この3本を映画館へ見に行っておおいに楽しんだ記憶がある。40年前に見たのにその後テレビ映画で見たりしたせいか内容をよく覚えていて、勇ましいテーマ音楽も「エイドリアン、エイドリアン」と叫んだロッキーの声も覚えているくらいだ。
その後3作は見ていなくて現在にいたる。いま調べたら全部で6作あるそうな。

今日見た『クリード チャンプを継ぐ男』はロッキーが戦ったアポロの息子アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)が主役である。クリードが生まれたのはアポロが亡くなってからだった。母が亡くなり施設で育つがアポロの夫人に引き取られる。何不自由のない生活でいい仕事についていたが、父譲りの血が騒ぎボクシングを志す。
目指すはフィアデルフィアのロッキーのところ。孤独に暮しているロッキーに仕込んでくれと頼み込む。ロッキーは知り合いのジムに連れて行き基礎から教える。
懐かしきフィアデルフィアの街並みを走るクリードとロッキー。さすがにロッキーは車に乗っているが。
アパートの下の部屋の騒音に文句を言いに行くと若い女性が住んでいて親しくなる。

シルヴェスター・スタローンのスター性ににっこり。マイケル・B・ジョーダンはいいとこの息子さんが一生懸命やるのが初々しかった。
また1から見ようぜという声がしている。

グリーンスリーブス

昨夜深夜に2回目の『秘密の花園』を見ていた。全体が大好きな映画なんだけど、台所でグリーンスリーブスの歌声が流れるシーンが好き。外には春の風が吹き、広い台所で使用人たちが働いている。そこに歌がゆっくりと流れたのでびっくりしたがとても場面に似合っていていいシーンだ。久しぶりにきいたグリーンスリーブスでいろんなことを思い出した。

この曲はわたしが若いときに曲にはまったく関係なく曲名を知った。ドロシー・L・セイヤーズ浅羽莢子訳『学寮祭の夜』(創元推理文庫)(わたしがこどものときから大切にしていた本は訳者が黒沼健さんで『大学祭の夜』)で、ピーター卿がハリエット・ヴェーンにプレゼントする骨董品店で梱包を待っているときに小さな楽器で弾いたのがグリーンスリーブスだった。ピーターのテナーに合わせてハリエットも歌う。どんな曲が調べるすべもなく何十年も経った。

イギリス児童文学にはまったのはいまから思うと何十年前のことだが、アリソン・アトリー『時の旅人』で歌われていて感激した。ずっと過去のスコットランド女王の時代と現代を行き来するお話なんだけど、グリーンスリーブスは過去の時代に、その時代の新しい歌であった。

それからまた、いまから7年くらい前のことだが、ジャズの店SUBで店主でベーシストの西山さんが「好きな曲を演奏してあげる」と言ったときに、間髪を入れず「グリーンスリーブス」と言ったものだ(笑)。実はこの曲はコルトレーンがやっているのをレコードで聞いていたので言うたんやけど。ちょっとびっくりされたけど弾いてくださり、演奏後「ええ曲や」と言われたのを大切に覚えている。亡くなるまで何度も演奏してもらった。

アニエスカ・ホランド監督『秘密の花園』

先日古い文庫本からフランシス・ホジソン・バーネットの『秘密の花園』をiPad miniに入れてもらった。文字も紙も古びてたので読みやすくなってありがたい。何気なしに最初のページを読んだらいつものことで最後まで一直線。読み終わったら次は映画を見たいなあとアマゾンプライムを調べたら、400円払えば今日と明日見られる。さっそく見始めていま見終わったところ。

アニエスカ・ホランド監督1993年の映画。この監督の映画は他に見ていないが、イギリス ヨークシャーの自然と少女と少年を描いてとても美しい映画だ。
インドでこどもに無関心な両親に育てられた少女メアリー、コレラの流行で両親が亡くなり、助かった彼女はイギリスの伯父に引き取られた。ヨークシャーのお屋敷には妻を花園の事故で亡くした伯父と息子のコリンがいたが伯父は孤独に旅に出ることが多く、いとこのコリンはいつ死ぬかわからない恐怖に震える病弱な少年だった。

メアリーが着いたときはまだ寒かったが、召使のマーサにもらった縄跳びをしながらメアリーは飛び回り「秘密の花園」のありかを突き止める。そこはコリンの母が亡くなった場所で、それ以来伯父が閉鎖していた。
メアリーが花園を見つけたのは春がくる少し前のことで、そこで枯れ草の下に生え出した花々の芽を見つける。やがて春が来て、外に出るのを怖がっていたコリンが花園を見たがり、マーサの弟ディコンの助けがあって花園は3人のこどもたちの笑い声で満ちる。

明日もう一回楽しもう。メアリーちゃんの着てる服がすてき。ロンドンからのお取り寄せかしら。

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フランコ・ゼフィレッリ監督、シャルロット・ゲンスブール主演『ジェイン・エア』

『ジェイン・エア』の映画化は3本見ている。ジェインとロチェスターさんをジョーン・フォンテインとオーソン・ウェルズ、シャルロット・ゲンスブールとウィリアム・ハート、ミア・ワシコウスカとマイケル(ミヒャエル)・ファスベンダー。どれも素敵なジェインとロチェスターさんである。

『ジェイン・エア』の映画化と知ったら行かずにはいられない。1996年の春に梅田の映画館へひとりで行って楽しんだ。期待があまりにも大きくてちょっとがっかりしたっけ。今日はDVDで2度目。覚えていた印象よりもずっとよかった。
シャルロット・ゲンスブールのジェーンにすごく期待していて裏切られなかったのは前も今も同じ。線の細さがすごくジェーンらしいし、実際的に役に立つところがただのきれいな若い女性ではないところをうまくやっていた。そしてロチェスターさん役のウィリアム・ハートもなかなかよかった。線が細すぎると思っていたが、彼のロチェスターになっていた。

大好きなイギリスのヨークシャー地方、川が流れる広い庭園と大きなお屋敷。ろうそくの明かりがきらめく広間での大宴会。
楽しんだ。

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スコット・ヒックス監督『一枚のめぐり逢い』

『きみに読む物語』『メッセージ・イン・ア・ボトル』の原作者、人気作家ニコラス・スパークスの作品の映画化(2012)で、日本語の翻訳が出ているそうだ。

イラクで戦っている海兵隊員ローガン(ザック・エフロン)は戦場の危うい場面で美しい女性の写真を拾う。それ以来なぜか運が良くなり何度も命の危機にさらされたのに生き延びて帰国することができた。
故郷のコロラドへ帰ったものの戦場のトラウマで家の人たちとうまくつきあっていけない。写真を詳しく見て背景の灯台から場所を推定し、彼は愛犬とともにニューオーリンズのあるルイジアナ州まで歩いていく。

探し当てた写真の女性ベス(テイラー・シリング)は郊外でケンネルを経営していた。ローガンは命を救ってくれた写真のお礼を言うつもりだったが、仕事を探しにきたと勘違いされ犬とともにそこに住むことになる。海兵隊員ってなんでもできるようで、壊れかけた家を手入れして住み込む。やがては船の修理をして動くようにする。
彼女は祖母と息子と住んでいて自立している。別れた亭主は地元名士の息子で保安官をしていて、いまだにつきまとってくる。ローガンが働き出し、きちんとしているのを見るとローガンの存在が気に食わなくてなにかと絡んでくる。

ローガンがベスに写真のことを言い出せないうちに保安官が突き止めて暴露する。ベスの写真は兄が持っていたものでその兄は戦死したのだ。