『恋人たちの予感』『スタンド・バイ・ミー』の監督ロブ・ライナーの2014年の作品。不動産業のオーレン(マイケル・ダグラス)は妻の墓参りに行くが、丘の上なので息を切らして悪態をつく。オーレンが所有しその1棟に住んでいる入江のそばに建つ2階建の住宅には、隣りにお節介なリア(ダイアン・キートン)が住んでいる。自己中心のオーレンはその他の住人ともちぐはぐな関係である。
ある日、ずっと音信不通だった息子が来て服役することになったから9歳の娘(スターリング・ジェリンズ)を預かってくれと置いていく。オーレンはどうこどもに接近していいかわからず、リアの善意にまかせてしまう。子どもを仲立ちにオーレンとリアの間は接近する。
娘役のスターリング・ジェリンズが抜群に可愛く、マイケル・ダグラスは不器用だがいいところのある男性で、ダイアン・キートンは涙もろくて可愛い高齢者役がぴったりで、この3人の芸達者に引っ張られて見たようなもの。
ダイアン・キートンの笑顔に『アニー・ホール』(1977)を思い出していた。
カテゴリー: アート
ピエール・トレトン監督『イヴ・サンローラン』(ドキュメンタリー映画)
こんな映画があると全然知らなかったが見てよかった。
イヴ・サン=ローランは1936年生まれ、天才的なファッションデザイナーとして輝き、2002年に引退して2008年に亡くなった。この映画は若きサン・ローランと出会って愛し合い、半世紀にわたって公私ともに支えてきたピエール・ベルジュが語るドキュメンタリー映画。ピエール・ベルジュはビジネスマンとしても優秀だったが、のちにミッテラン政権のときにエイズ撲滅運動にも関わる。
イヴ・サンローランは21歳でディオールに特別の才能を認められた。その年にディオールが亡くなり後を継いで主任デザイナーとなる。最初のコレクションが成功し大きな歓声を浴びる。それからは大いなる栄光を背負うことになり常に新しいファッションを世に送り出すための苦悩の日々であった。そのイヴをピエール・ベルジュが支える。映画のはじめから終わるまでピエール・ベルジュの語りがずっしりと重い。2010年のフランス映画。
ジョージ・C・スコットの「クリスマス・キャロル」(クライブ・ドナー監督)
晩ご飯のあとになにか映画を見ようと何本か候補があがった。「クリスマス・キャロル」を見たいと主張したのはわたしだけど自分でもおかしくなった。いくらディケンズが好きでいろいろ読んでいるといってもクリスマスに吝嗇を改心する話を見たいなんて。いやいや、これには理由があるのです。
半年くらい前に中沢新一の『純粋な自然の贈与』を読んだのだが、数編の論文の中の「ディケンズの亡霊」というタイトルに惹かれた。ディケンズの亡霊ってなんのことかと読み始めたら「クリスマス・キャロル」が主題になっていた。長いあいだ忘れていた物語を中沢さんの導きで再び読めて、しかもわたしの目には見えていなかったものが示されている。
「クリスマス・キャロル」をわたしはこどものときから家にあった絵本でよく知っていた。その物語が教訓的だとさえ思っていた生意気な子どもだった。
それだけに「ディケンズの亡霊」を読んだ時はそんな大切なことが書いてあったのかと驚き、知ったことに感謝した。
今日見たのはいままで9本製作された「クリスマス・キャロル」の中の3作目、ジョージ・C・スコットがスクルージを演じている1984年の作品。
ジョージ・C・スコットのスクルージさんはそのままのスクルージさんぽくて微笑ましく見た。従業員のクラチットさん、甥のフレッドも物語にあるとおりだった。
さっき素直な気持ちで友だちへのメールに「メリー・クリスマス」と書き添えた。
ロマン・ポランスキー監督「ゴーストライター」
ロマン・ポランスキー監督の映画を見るのは久しぶりだ。見た作品をあげると、「水の中のナイフ」(1962)、「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)、「マクベス」(1971)、「チャイナタウン」(1974)、「テス」(1979)、「赤い航路」(1992)だけで、好きなのにあまり見ていない。
「ゴーストライター」は2010年の作品でポランスキー80歳のときと知って驚嘆した。
主人公ゴーストライター(ユアン・マクレガー)の仕事は有名人が自伝を出すときの代筆者で、元英国首相ラング(ピアーズ・ブロズナン)の自伝代筆の仕事を依頼される。この仕事には前任者がいたのだが自殺したために急遽仕上げを頼まれたので、すぐにラングのいるアメリカ東海岸の孤島に向かう。
大邸宅でラングとその妻、女性秘書等に会い仕事を進めはじめるが、ラングが在任中に戦争捕虜に対しての拷問を支持した疑惑が出てきて島はマスコミ等で大騒ぎになる。
ゴーストライターは前任者が自殺したことに疑いを持ち調べ始める。
主人公はごく当たり前の中年に足を踏み入れたばかりという感じで好感がもてる。だから元首相の妻から好意を持たれるんだけど・・・
普通の人が必死で走ってここまでやったのに、権力側は逃さないでどこまでも追求する。
「水の中のナイフ」と「チャイナタウン」がまた見たくなった。前者は上映会で一度見ただけ、後者は映画館とテレビとレーザーディスクで何十回も見ている。
ウォン・カーウァイ監督「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
恋愛もので都会的でおしゃれで楽しい、こう思っていつも今夜これから見る映画を探すのだが、見た映画か見たくない映画しかなくてナンギする。今夜はこのタイトルはおしゃれでいいねと「マイ・ブルーベリー・ナイツ」(2007)がアマゾンにあったので見ることにした。監督の名前も調べずに、ニューヨークが舞台らしいでと呑気にウィスキーのグラスを手に。
はじまってすぐに「これええやん」「おっしゃれ!」「スタイリッシュとはこのことやな」と夢中になった。ノラ・ジョーンズええ感じ。ジュード・ロウは渋い男前。
最後に監督ウォン・カーウァイという文字が出て、そうや〜2008年日本上映の時は話題になったっけと思い出した。「恋する惑星」がすごくよかったウォン・カーウァイ監督初の英語映画だ。
脚本はカーウァイなんだけど、なんとまあ、ミステリ作家のローレンス・ブロック(映画「八百万の死にざま」の原作者)が参加している。
ニューヨークのカフェからはじまった旅は距離を伸ばし、知り合った男の生と死に直面し、知り合った女たちのやり方に人生を学び、再びニューヨークのカフェにもどってくる。
最後のラブシーンがすてき。
音楽は「パリ・テキサス」のライ・クーダー。
アーナルデュル・インドリダソン「声」と「テンプルちゃんの小公女」
「声」を金曜日から読み始めてもう終わるのだが、さっき気がついたことを書いておく。
アイスランドの大きなホテルのドアマンでクリスマスにはサンタクロース姿でサービスするグドロイグルが、ホテル地下の粗末な自室で死体となっているのが発見される。
捜査官エーレンデュルが2人の部下と捜査にあたる。
なにもない部屋に唯一シャーリー・テンプル主演1939年製作の「リトル・プリンセス」のポスターが貼ってある。最後まで「リトル・プリンセス」は「声」の中で重要な役割を担っている。
「リトル・プリンセス」は「小公女」のことだと気がつかずにストーリーを追っていたが、終わりのほうで気がついて検索したらウィキペィアにちゃんと「テンプルちゃんの小公女」とあった。
こんな映画があったんや。知らんかった。
「小公女」はわたしが最初に読んだ本の一冊である。いまだに好きな本の上位にある。ときどきiPad miniで読んでいる。
ウィキの「概要」のところに、この映画はパブリックドメインとなっているとある。そして右側に【1939年版『The Little Princess』全編(パブリックドメイン)】とあるのでクリックしたら<a href=”https://ja.wikipedia.org/wiki/テンプルちゃんの小公女”_blank”>映画</a>がはじまった。わーい!!
今日のところはセーラと父がロンドンの街を馬車で通って寄宿学校に着いたところまで見て、残りはお預け。
ドン・コルレオーネの退院を祝う、シチリア風鶏のカチャトーラ
タイトルの料理の作り方が2年ほど前の「エル・ア・ターブル」に出ていたのを見て相方が作って、今夜食べた。フランシス・フオード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」で、マーロン・ブランド演じるドン・コルレオーネが襲撃されて入院し、退院の祝いの食卓に出された料理だそうだ。ドン・コルレオーネも年だし退院したところだから柔らかい肉が出たんだと勝手に解釈、「これなら歯にもいいはず、わしらもトシやから」と続けて解釈(笑)。
レシピを適当にアレンジしてます。
1 鶏肉をぶつ切りにして赤ワインに半日以上漬けておくとあったので、昨夜から漬けて冷蔵庫に入れておいた。
2 フライパンにオリーブオイルを入れて中火で鶏肉を表面に火が入るまで焼く。
3 鍋に、ニンニク、オレガノ、塩、こしょうを入れて鶏肉とワインを少々入れて、水をひたひたになるまで入れて1時間半くらい煮込む。
今夜のご飯はうまかった。
他に食べたものは、ピクルス盛り合わせ(キャベツ、カリフラワー、パブリカ、ひよこ豆)、マカロニ入り野菜スープ、パン、コーヒー。
ジーン・ケリー&スタンリー・ドーネン監督「踊る大紐育」
もう10年も前になるかな、古い映画のDVDが1枚500円で書店で大量に売っていたことがあった。新聞で知って近所の本屋に行き興奮して20枚くらい買った。500円だけあって画質が悪い。でもとにかくも俳優の顔が見えてストーリーが追えれば満足だった。
昔見て良かった映画はまた見て懐かしみ、タイトルだけ知っている映画は汚い画面でも見えたらOKだった。「若草物語」「恋愛手帖」「ジェーン・エア」「レベッカ」とか大喜びだった。その中にまだ見ていないのが1枚「踊る大紐育」(1949)が残った。つまらなかったらどないしょうと思うと踏ん切りがつかない。ようやく今夜踏ん切って見た。
「踊る大紐育」は、子どもの頃に家にあった雑誌「スクリーン」の古い号を見て憧れていた映画だ。ヴェラ=エレンはわたしの女神だった。
監督も兼ねているジーン・ケリーはこの後たくさんのダンス映画に出演してフレッド・アステアと人気を分けていた。それからフランク・シナトラの若い時が見られてありがたい。
三人の水兵さんにジーン・ケリーとフランク・シナトラ、もう一人はジュールス・マンシュイン(「絹の靴下」「イースター・パレード」)、女性陣はヴェラ=エレン、アン・ミラー、ベティ・ギャレット。
24時間の休暇をもらった3人の仲良し水兵さんたちが、ニューヨークを楽しもうと名所見物からはじめる。地下鉄のポスターのモデルになっているヴェラ=エレンに惚れ込んだジーン・ケリー、博物館では恐竜の化石を見ていたが壊してしまう。博物館の学者アン・ミラーがジュールス・マンシュインに惚れ込み、タクシー運転手のベティ・ギャレットがフランク・シナトラに熱をあげて離さない。
海外ドラマ「ヴァイキング〜海の覇者たち〜」
製作年は2013年、アイルランド・カナダ国際共同制作で全9話。先日から毎日1回見ているがおもしろいので続けて全部見る予定。
ヴァイキングって名前は知っているが、いつのことかも知らなかった。いま解説を読んでいるところだが、8世紀末のことだって。そのころはどんな時代だったか調べねば。
海への船出の場面では木の船に一枚の大きな帆が張ってあり、大海に豪快に出て行く。
ヴァイキングの勇者ラグナルは毎年東国へ出かける略奪遠征が不満で西へ行こうと計画する。部族の首長は反対するが、ラグナルは船を造り仲間を募って西へ出発する。
嵐にあったり苦労の末に陸地が見える。イングランドだ。陸地に上がると修道院があったので聖具などを略奪する。そして、ただ一人言葉が通じた若い僧を奴隷として連れて帰る。
ラグナルの妻は元女性兵士だったので、2度目の遠征にはいっしょに行って戦う。
昨日見たのは第4回だったからあと5回見る予定。
スティーブン・チョボスキー原作・監督「ウォールフラワー」
良さげな感じのタイトルだなと期待して見たアマゾンプライムの映画。原作は「ライ麦畑でつかまえて」の再来といわれたスティーブン・チョボスキーの小説で、映画化にあたって監督もしている。製作者の一人にジョン・マルコヴィッチの名前があった。公開2013年。
年代は主人公チャーリー(ローガン・ラーマン)がタイプライターを使っていることからパソコン以前のことだと大雑把にわかったが、検索したら小説の解説が出てきて1991年に高校に入学した少年の物語とわかった。
ピッツバークの郊外の高校に入学したチャーリーは存在を誰からも気づかれない「ウォールフラワー」である。兄はフットボール選手で姉は最上級生。親友が自殺したので一人ぼっちである。
チャーリーは学校で美しいサム(エマ・ワトソン)と彼女の義理の兄弟のゲイのパトリックと出会う。二人はチャーリーと付き合ってくれる。また国語教師が認めてくれて本を貸してくれ、だんだん学校生活になじんでいった。
でも、どことなく他の生徒と馴染めないものを持つチャーリーの秘密が最後にわかる。
(この後ネタバレ)命が危ういチャーリーを姉の機転が救い、精神科医が助けてチャーリーに希望が生まれてくる。