トニー・ギルロイ監督『ボーン・レガシー』

マッド・ディモン主演のボーン・シリーズを2009年と10年に見ていたが、去年12年に三夜連続で3作を見て楽しんだ。
記憶を失ったスパイ、ジェイソン・ボーンの凄絶な戦いを描いたロバート・ラドラム原作の3部作(「ボーン・アイデンティティー」「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」)である。

「ボーン・レガシー」は、前作「ボーン・アルティメイタム」と同時代の事件を描いている。新聞記者が射殺されたニュースが最初にでてきてアルティメイタムの記憶が甦った。
今回は精神と肉体をピルで強化された特殊人間アーロン・クロス(ジェレミー・レナー)が活躍する。
アーロンは国防省の機密プログラムでコードナンバー5号として登録されている。毎日決められた時間に2種類のピルを飲んでいるが、今回はピルをもっと手に入れようと山頂から降りてくる。そこには山小屋があって3号がいる。
アーロンが小屋を離れたときに無人飛行機が襲来して山小屋を破壊する。アーロンは上司たちが自分ら強化人間を抹殺しようしているのを悟る。

最初のうちはなかなか理解できなかったが、だんだんわかってきてアーロンを応援(笑)。
前半は山岳地帯で山や森での戦い、後半は建物と街中の戦いになる。
研究所のシェアリング博士とアーロンはピルを手に入れるべくマニラへ。追っ手がかかって、マニラの街を手に手をとって走り、オートバイに乗り逃げまくる。目まぐるしくアジアの街を走り、カーチェイスではらはら、最後は港へ出て船に助けられる。

ピーター・ジャクソン監督『ホビット 思いがけない冒険』

思いがけなくDVDを貸していただいた。
映画館に行くのはおっくう、そしてレンタルで借りるにはちょっとーという感じで、でもけっこう気になっていたのが、今日わかった(笑)。

岩波書店の子ども向けの「ホビットの冒険」を買ったのはいつだったかと検索したら、1965年発行のを読んでいたのがわかった。48年前のことだ。そのころ児童文学に突然目覚めて、旭屋書店の子ども本売り場によく行っていた。そこでいろいろ買った中でいちばん楽しかった本が「ホビットの冒険」だった。
その後に、相方と独立して仕事しようということになり、名称を「ビルボ」にした。そんなもんで映画の中で「ビルボ」と誰かが呼ぶたびにどきっとした(笑)。
その後「指輪物語」が出たので全部読んでおもしろかったが、長いから二度読む気が起こらなかった。

1997年に、ダグラス・D・アンダーソン=注 / 山本史郎=訳「ホビット」第4版・注釈版(原書房)を買って読んだのが、わたしのホビットオタク気分を満足させてくれた。その前にもアメリカ版の地図やイラスト入りの本を買っていたのだが英語が読めないからしかたがない。

それ以来の「ホビット」である。
映画は2時間50分もあり、しかも去年、今年、来年と年末に公開される3部作の一回目である。長いがわたしはその長さに満足して見ていた。
最初のホビット庄のビルボ・バギンスの家がステキ。想像より機能的な家だった。いまイギリスの昔っぽい家としてコージーミステリに出てくるよりすっきりしているような気がした。

長いこと「ホビット」から離れているので、忘れていることも多いのだが、見ながら思い出していた。
ドアーフたちのリーダーであるトーリン、かっこええ。そのトーリンが危うく首を切れられところを、相手のオークに剣を持って飛びかかるビルボ。「まことの勇気は助けるときに試される」とガンダルフの言葉をそのまま実践。トーリンは一度ビルボを仲間にふさわしくないと言ったことがあったのを謝罪する。でも、その前にビルボは自分には帰るところがあるが、君らには帰る故郷がないとドワーフたちに冷たいことを言ったことがあった。

ゴクリ(ゴラム)は楽しい。楽しいと言うのはおかしいが、「ホビット」でいちばん愛嬌があるよね。「あっ、ゴクリやゴクリや」と叫ばす存在感あり。

Exhibition Roku Roku at Hosono building 2013

6日にオープニングイベントがあって、それからもう1週間経ち、作品の展示が今日で終るので見に行った。今日の暑さは格別で日傘を持たずに出たらすごい日射しだ。ホールの細野さんに挨拶だけして先に作品を見る。

展示スペースは地下室と2階と3階でいままで貸室だったところも開放されてずいぶん広い。風がよく通って涼しいので備え付けの椅子に座って長いこと休んでいた。その時間はだれも来なくて広い場所を独占でき贅沢気分にひたれた。窓から見る長堀通りが美しい緑で気分がよい。
毎年だんだんと出品者が増えているようで、質もだんだん上がっている感じ。毎年出している人の作品を見るとなぜか安心する(笑)。

地下室には知り合いが二人出品していて「見てね」と念を押されている。
近所の知り合い田中潤さんの作品は、ほの明るくした白いテーブルにプラスティックのグラスや蝶や金魚などの「物」が置いてある。それを備え付けの手持ちルーペのようなもので見ると「物」は美しい虹色や大理石のような色彩と形に変化する。なんか不思議な作品だった。
その横の壁にある池内幸世さんの作品は毎年同じ場所に展示してある。作品だけでなくご自身で作った遊び心ある木の額が楽しい。彼女らしい世界が額の中に浮かび上がっているのに感心した。生活感のある楽しい作品だ。社会性などと頑張らないでね。この生活感が社会性なんだから。

5時になったらだんだん人が増え出した。
ホールで細野さんとオープニングイベントのユーチューブを見ながら1時間ほど話して帰った。

キャメロン・クロウ監督『バニラ・スカイ』

キャメロン・クロウ監督「あの頃ペニー・レインと」(2000)を先日見てとてもよかったので、同じ監督の「バニラ・スカイ」(2001)をレンタル店で借りた。トム・クルーズ主演というのにも惹かれた。「トップガン」(1986)以来のファンなので。といっても長いこと彼の映画を見ていなかったけど。彼の別れた妻のミミ・ロジャーズとニコール・キッドマンが好き。
「バニラ・スカイ」はスペイン映画「オープン・ユア・アイズ」(1997)のリメイク版で、主演女優のぺネロぺ・クルスは両方の映画で同じ役をしているそうだ。

見ているときも見終わっても興奮している。そして夢と現実シーンのどっちがどっちか、わけがわからなかったりしている。

デヴィッド(トム・クルーズ)はマンハッタンに住み、フェラーリを乗り回す出版界の御曹司である。遊びでつきあっているジュリー(キャメロン・ディアス)がいるが、パーティで友人と来ていたソフィア(ぺネロぺ・クルス)に一目惚れする。
ソフィアに気持ちが動いたデヴィッドに嫉妬したジュリーは、自分の車に乗るように誘うが、怒り狂った運転で暴走し事故を起こす。ジュリーは死亡、デヴィッドは大けがを負い二目と見られぬ顔になってしまう。

低温保存して150年後に目覚めさせるという〈LE社〉の係員がティルダ・スウィントンで、不思議な雰囲気を醸し出していた。
拘置所の精神科医マッケイブ(カート・ラッセル)とデヴィッドのやりとりでだんだん深入りしていくのが興味深かった。
トム・クルーズの怪我した顔と、それを隠すための仮面と、美しいトムだからよけいに刺激があった。

クエンティン・タランティーノ『イングロリアス・バスターズ』

タランティーノの映画は「レザボア・ドッグス」(1992)「パルプ・フィクション」(1994)「ジャッキー・ブラウン」(1997)と初期の3本しか見ていない。3本ともよかったのに映画館に行かないようになって、レンタル屋も行かなくなって。最近は貸していただいたのを見ているばかりなのだがそこに入っていなかったし。

昨夜つれづれなるままにツイッターをひもといていたら、映画「風立ちぬ」について活発な女性のツイートがあった。彼女のブログにリンクしてあったので読んだら、「イングロリアス・バスターズ」の後にこんな第二次世界大戦映画を作っていいのかという一行があった。そう言われても「イングロリアス・バスターズ」(2009)を見ていない。映画のタイトルも知らなかった(恥)。

実は、わたしは「ナウシカ」の本を読んだだけで宮崎監督とは合わないのがわかったので、ずっと彼の映画にも無関心できた。「風立ちぬ」も見る気はない。でもまわりではえらい人気である。ツイッターでも褒めている人ばかりと言ってもいいくらいだ。
ということで、わたしは「風立ちぬ」は見ないけれども、こんなに素敵な女性が褒めているのだから「イングロリアス・バスターズ」のほうは見ようと、今日借りてきて見終わったところ。長さを感じないで最後まで見入った。

1941年、フランスの牧場は一見のどかであるがナチスに占領されている。主人が働いているところへユダヤハンターと言われているナチの将校がやってくる。牛乳を飲みながらゆっくりとパイプを吹かし農夫を追いつめてゆき、ユダヤ人一家を床下にかくまっていると言わせて銃の乱射。かくまわれていた一家の娘ただ一人が走って逃げのびる。
1944年、連合軍のノルマンディ上陸作戦後、アメリカ兵がヨーロッパで戦うが、アルド・レイン(ブラッド・ピット)率いるユダヤ系アメリカ人の軍団「バスターズ」が活躍する。「1人につき100人の頭の皮を持ってこい」という隊長。ほんまに頭の皮を剥ぐ隊員。フランスにずっといてナチスの兵士を殺してきたバスターズはナチスの側にもよく知られるようになった。
逃げおおせた少女はエマニュエルと名前を変えパリで叔母の遺産の映画館を経営している。映画館の前で声をかけてきたのはナチの英雄で、その活躍が映画化されたのをプレミア上映するのに、この映画館を使うことにする。ヒトラーをはじめナチスの重要人物がくることになった。
エマニュエルはナチスへの復讐を計画する。思いもよらぬ大掛かりな映写会となり、バスターズも関わり、ユダヤハンターの将校も加わり、さまざまな思いと行動でクライマックスへ向かう。

第二次世界大戦とはどんなものだったかをタランティーノは描いてみせた。

阪急うめだ本店「生誕100周年記念 中原淳一展 」

中原淳一生誕100年を記念した展覧会が阪急百貨店9階のギャラリーで24日から8月5日まで開かれている。絶対に行こうと思っていたので終らぬうちにと7月31日に行ってきた。
水曜日の午後だったが、たくさんの人が来られていた。淳一先生の活躍時期にファンだったであろう年齢の高い方から若い人までいろいろ。おしゃれなひとが多かった。友だちどうし、母娘らしいひとたちも多く見受けられた。おしゃべりはされているけど、うるさくない。さすが淳一ファンだと思った。ここで大声でしゃべったりしたら淳一先生にたしなめられる(笑)。

「ひまわり」「それいゆ」の表紙絵を見ても驚かないのは復刻版を買ったからなあ。そして単行本も絵はがきブックも持っている。「少女の友」復刻版や「乙女の港」も持っているし。
というわけで展示品にはふんふんという感じだった。

お土産コーナーで姉や友人や自分用に小物を買った。
一澤信三郎帆布のバッグがよかったのだが、奥様風でわたしには向かないので買わなかった。(先日バッグの整理をしたら昔買ったのがたくさんあった。オシャレな小型バッグ、高かったのも思い出した。)
京扇子がとても欲しかったが高かったので諦めて。
買ったのは、ハンカチ、布袋、メモ帳、レターセットと慎ましやか。
まあ、「ひまわりの店」というのがあってネットで買えるから、昔みたいに必死でさがすということもなく。

ジョス・ウィードン監督『アベンジャーズ』

ついに7本見てしまった。
いままでの主人公が全部出てくるという話だったのでどういう展開になるのかと楽しみだった。悪役が「マイティ・ソー」で王位を奪おうとした弟のロキ。宇宙空間に飛ばされたロキは宇宙人種族のチタウリのリーダーと手を組んで地球に侵攻しようとする。
長官のフューリー(サミュエル・L・ジャクソン)は緊急事態の研究施設を訪れる。そこでは謎の物体の四次元キューブが暴走を始めていて、ワームホールが開きロキが現れ、そこにいた人員の心を操り自分の見方にしてしまう。

世界滅亡の危機だとフューリーはヒーローたちを集めて最強のチーム「アベンジャーズ」を結成。インドで医者として働いているブルース=ハルク、天才スターク=アイアンマン、神々の国アスガルドからソー、70年の眠りから覚めたロジャース=キャプテン・アメリカ、女スパイのナターシャ、弓の名人ホークアイたちが死闘を繰り広げる。

これでもかと繰り出される暴力の応酬を見るのが疲れたけどおもしろかった。
おもしろかったけど疲れた。見ないと落ち着かないというナンギな性分なので、終ってほっとした。

ジョー・ジョンストン監督『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』

1日だけ間を空けて今日は6本目のDVD「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011)を見た。さすがにお腹いっぱいな感じ。
わたしはいままでアメリカンコミックにまるで関心がなく、「キャプテン・アメリカ」が第二次大戦時にアメリカの戦意高揚に協力したヒーローということも知らなかった。そのコミックが70年経ったいま映画化されたのを見たわけだ。
昨日までに見た5本は、現代が舞台でも架空の話だから落ち着いて見ていられた。今日は第二次大戦の映画で、ヨーロッパが戦場である。アメリカの兵士たちがばりばり戦う。戦いに行くことを正義とする戦意高揚の基本を守った映画だった。

小柄で病気持ちの青年スティーブ(クリス・エヴァンス)はブルックリンで育った。こどものときから喧嘩したら必ず負けるのだが、殴られてもまた立ち上がる。大人になった彼は戦争に参加しようと出身地を変えて何度でも志願するが、身長が足りないし体も悪くて落とされる。その真面目な様子を見ていた学者が彼を「スーパーソルジャー計画」に起用する。学者はかつてナチスに協力させられ、シュミットに不完全な血清を与えてしまった。シュミットは世界を制覇しようとヨーロッパで動き始めている。
スティーブは血清を打たれて変身する。その場へシュミットの部下がやってきて博士を殺す。博士のスーパーソルジャー計画はこれで凍結し、スーパーソルジャーとなったのはスティーブ一人だけ。
男子の友情あり、女性の上官との恋もあり、もちろん戦場場面がたっぷり。
70年後に目を覚ましたスティーブに新しい任務が・・・

ケネス・ブラナー監督『マイティ・ソー』

おすすめマーベルコミックの5作目を鑑賞した。
監督がケネス・ブラナーで2011年の作品。伝説の世界と現世とがミックスして、伝説世界の青年と現世の女性学者が出会って愛し合う。前の4作がいまの地球上の話で戦闘シーンがすごかったのに比べると、現代のシーンは追いかけられたり爆発したりするが戦争ではないので、ちょっとだけほっとして見ていられた。

物語は父王(アンソニー・ホプキンス)が子に王位を譲るところからはじまる。血気盛んな長男のソー(クリス・ヘムズワース)が身勝手な英雄主義をかざして父に疎まれ、こどものときから兄をじっと見ていた次男がうまく父に取り入って後継者になりそうだ。
ソーはパワーを奪われ地球に追放されてニューメキシコに着地。天文物理学者のジェーン(ナタリー・ポートマン)と助手と指導者の3人に発見される。

いろいろあって、ソーの側近たちがソーを助けに地球へきて大活躍。目的を達して自国へ帰ることになり、ソーとジェーンは愛を誓い合う。しかし、国と地球との架け橋を弟との戦い中に崩してしまった。いまは地球との間の架け橋がない。

ジョン・ファヴロー監督『アイアンマン2』

前作と同じ監督と主演俳優で2010年に製作された。
アイアンマンが世界各地で起きる紛争を鎮圧していることで、世界平和のために貢献しているとトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は誇り高く「スタークエキスポ」で語る。しかしそれでは他の軍事産業は儲からない。競争会社のハマーはアイアンマンを自分の工場でも作ろうと必死になる。
トニーの体は生命維持装置のアーマーの動力源「パラジウム」から出る毒素に蝕まれつつある。あせるトニーは秘書のペッパー(グウィネス・パルトロー)に社長の座を譲り、新しい秘書ナタリー(スカーレット・ヨハンソン)を雇う。

ロシアにシーンは移って、ずっと昔にトニーの父と共同研究していた科学者が亡くなった。かつてアメリカ在住していたときにスパイ容疑で追放され貧困生活だった。息子のアントン(ミックー・ローク)はついに自分でアイアンマンを作り出す。モナコのカーレースに現れるシーンが圧巻。カーレースに出ていたトニーは必死のパッチで撃退する。
捕まったアントンをハマーが脱獄させて自分の工場へ連れて行く。そこで新しいアイアンマンをアントンが生み出す。
トニーの友人ローズ空軍中佐(ドン・チードル)は、トニーが遊んで悪酔いするのをとがめて「マーク2」を無断で装着した上で没収し空軍に持ち帰る。
立ち直ったトニーは父の遺言の映像を見てリアクターを新たに作り出す。
最後のシーンでトニーとローズの二人が、アントンのアイアンマンたちに囲まれて戦うシーンで、高倉健と池部良の「唐獅子牡丹」を思い出した(笑)。

グウィネス・パルトローに加えて神秘的なのに強いスカーレット・ヨハンソンが加わって凛々しい美女二人。
ミッキー・ローク、わたしはかつて彼の大ファンだった。「イヤー・オブ・ザ・ドラゴンを見てめろめろになり、「ダイナー」は大毎地下劇場で、「ランブルフィッシュ」はレーザーディスクを買い、「ナインハーフ」はスバル座で見た。「エンゼル・ハート」「死にゆく者への祈り」「フランチェスコ」「欄の女」「バッファロー’66」も見ている。
顔が変わったという話を聞いていたが、今回は悪役なのだが純なところが透けて見えた。やっぱりファンだから。