下地真樹 阪南大学准教授 インタビュー

この日記にもしばしば名前が出てくるモジモジさんこと下地真樹 阪南大学准教授のインタビューがIWJの中継で夕方7時からあった。話を聞くのは岩上安身さん。聞き応えのある内容で2時間半があっという間だった。

下地さんはその姿がIWJの中継にもっとも多く出てくる時の人である。
活動はいつからかと聞かれて、ガレキの説明会をはじめたのは去年の12月28日と言われたのでびっくりした。その第一回〈【大阪】放射能燃やしていいのか 住民説明会〉にわたしは参加していた!
そのときはガレキに危機感を持つお母さんたちの集まりに顧問のようなかたちで出席し、その後の活動の中で講師として関わることになった。それから数多くの集会で語り、住民によりそった活動を続けておられる。女性たちにこんなに信頼されている男性にはじめて出会った。
わたしが行った「木下黄太講演会 7月17日 此花」のときも来ておられたし、熊本一規先生講演会「がれき処理、除染はこれでいいのか」では司会をされていた。「大阪瓦礫受け入れ勉強会」のときは講師をされていた。

8月30日に大阪市のガレキ説明会が中之島中央公会堂であった。この日はわたしは体調が悪く不参加だったが相方が参加したので詳しく話を聞き、IWJの中継と合わせて情報はばっちりもらった。
橋下市長がモジモジさんの質問に答えられず退場したところもしっかり見た。8月30日の中継と文字起こしがあります。

その活動とともに、毎週金曜日に関西電力本社の正門前で、毎週火曜日には大阪市役所前で抗議行動の中心におられる。
10月5日の関西電力前での抗議活動中にAさんが公務執行妨害で不当逮捕された。その日は下地さんは用事で行くのが遅くなり現場にいなかったのだが、最初から不穏な雰囲気だったと居合わせた者は語っている。
仲間たちは毎日のように拘留されている天満署前に行って抗議を続けている。天満署前は警官たちがずらりと並んで警備している。ぎりぎりのところで抗議する下地さんたちの姿をはらはらして見ているが、歌ったり踊ったり警官への講義もあってなかなかの見物でもある。

そういう緊迫した状況をネット中継でありのまま見られる。警察もずっと写真とビデオを撮っていたが、こちら側も岩上さんのIWJのおかげで全国の人たちが警官たちの行動を見ている。

橋本市長の背後にあるもの、ガレキの背後にある原発を押し進めていこうとする者たちについて下地さんは語った。

ジェシカ・ベック『動かぬ証拠はレモンクリーム』

訳者の山本やよいさんから送っていただいた。ノースキャロライナ州の小さな町の〈ドーナツハート〉のオーナー、スザンヌ・ハートが主人公のシリーズ2冊目。1冊目の「午前二時のグレーズドーナツ」を読んでいるとむしょうにドーナツを食べたくなった。前回の感想の最後はこうだ。「近くにおいしいドーナツ屋さんがなくて、わたしはまだドーナツを食べてない。」
ところがそれからすぐに四ツ橋筋にドーナツ専門店「フロレスタ」があるのに気付いた。ここのドーナツは〈ドーナツハート〉のドーナツにいちばん近いような気がする。ふんわり揚げたてのさくさくしたネイチャーが好き。昔は大好きだったショートケーキやモンブランなどは最後に食べたのがいつか忘れたが、フロレスタを知ってからはドーナツは食べる。
おっとドーナツの話ばかりしてるわ。

相変わらず深夜に起きてジープで店に行き助手のエマとドーナツを作る毎日だが、町で〈素敵なキッチン拝見ツアー〉という企画があり、友人のマージのしゃれたキッチンでスザンヌがドーナツ作りを実演することになる。
そのとき作る予定のドーナツをしっかり予習してその日にのぞんだのだが、そっと外を見ると60人ほどが待っている。時間になりスザンヌは「本日はベニエを作る予定です」と説明をはじめる。ペニエって時間と労力を注ぎ込んで作る高級ドーナツなんだって。
材料を調理台に並べて混ぜる作業にとりかかろうとしたとき悲鳴が起こる。「死んでる」と誰かが言った。
ペグ・マスターソンが倒れていた。そしてペグの手に握られているのが、ひと口かじったレモンクリームのドーナツ。〈ドーナツハート〉の商品に間違いない。
スザンヌはやってきたマーティン署長に待つように言われる。そして店のほうも捜査員がいっていると言われる。

スザンヌは友人のグレースとともに事件を探る。前作で知り合った恋人のジェイク、向こうの浮気がもとで別れたのに未練たらたらの元夫。なぜか以前に会ったことがある感じの新しい客、と男関係もにぎやか。近所のお店のひとたちとやりあったり助けられたりで、最後には真犯人を見つける。
(山本やよい訳 原書房コージーブックス 838円+税)

ニコラウス・ゲイハルター監督・撮影『プリピャチ』うめだ上映会

「プリピャチ」(1999)はいい映画だと聞いていたがチェルノブイリに関わりがあるという以外なにも知らなかった。大阪駅前第二ビルの研修室で開かれた上映会に相方と行って感動して帰ってきた。

プリピャチはチェルノブイリから4キロのところにある町である。チェルノブイリから30キロ圏内はいま「ゾーン」と呼ばれる立ち入り制限区域である。有刺鉄線で囲まれたゾーンは兵士が出入りをチェックし中からの物の持ち出しを禁じている。

撮影されたのは原発事故のあった1986年から12年経ったときで、ゲイハルター監督は「当時ヨーロッパではチェルノブイリ原発事故の事はメディアでの報道も無くなり忘れ去られようとしていたので、僕は忘れないために記録しておこうと思った」と語っている。

モノトーンの画面で音楽や解説なしの沈黙空間に登場したひとたちが静かに話す。プリピャチ市の環境研究所でいまも働いている女性ジナイーダさん、避難先からもどってきてここで暮らすルドチェンコ夫妻、原発の技術者でシフト勤務のリーダー、立ち入り禁止区域との境界地域にあるポレスコエに住み10年以上移住の順番待ちをしている女性、川に船を出し漁をしている男性もいる。魚に包丁をあてながら猫にも食べさせる女性もいる。

ジナイーダさんはいまはキエフに住んでいるが、昔は近くに家があり歩いて通っていたとその道を辿った。道はだれも通らないので雑草と雑木が繁っているが、かきわけて進んでいく。ただ足音だけが響く。公団住宅のような建物に入り自分の家だった部屋に入ると、なにものかに荒らされて家具は壊され、こどものノートが乱れていた。

ルドチェンコ夫妻、せっかちな妻とそんなに急くなよと後ろから呼ぶ夫を見ていると、うちと同じでここは笑えた。その夫婦がこもごも語るのは、ここで生きここで死にたいということ。
それぞれの人間の物語がせつない。
帰りはたまの外食にシャーロック・ホームズへ。常連さんたちのダーツを見ながらギネス! 話はいま見た映画のこと。あの老夫婦はうちらとそっくりやなぁ。大阪が被曝したら、うちらはあの夫婦のように避難せずに大阪で暮らそうや、なんて。近未来はどうなるのか、わたしらはどう生きていくかを考えさせる映画だった。

スティーヴン・フリアーズ監督『プリック・アップ』

Tさんに映画のDVDをたくさん貸していただいたのだが、どんなのが見たいのかと聞かれても、だいたいが最近の映画のタイトルも知らないのであった。今日見たのはスティーヴン・フリアーズ監督の「プリック・アップ」(1987)で全然知らなかった。監督名で検索したらずっと昔に「マイ・ビューティフル・ランドレット」(1985)と「グリフターズ/詐欺師たち」(1990)を見ていて、両方ともすごくよかったのを覚えている。

ロンドンを舞台にゲイのカップル・・・と紹介文を読んだだけで胸が躍った(笑)。1960年代のイギリスでゲイが犯罪であったころに実際に起こった話である。
ジョー・オートン(ゲーリー・オールドマン)とケネス・ハリウェル(アルフレッド・モリーナ)は恋人同士で、ケネスの両親の遺産が入ったのでフラットを借りいっしょに暮らしはじめる。ケネスは作家志望で出版社に原稿を持ち込むのだが受け入れられずにいた。彼は8歳年下の荒削りのジョーに文学を教える。
ふたりが図書館の本を何冊も切り抜いたのがホモ嫌いの図書館員にばれ逮捕される。裁判で6カ月の禁錮刑判決を受けて独房にいるときにジョーは戯曲を書き出す。
ジョーの書いた芝居は賞をもらい有名になっていくにつれ、ケネスは私設秘書のようなかたちになって気持ちが屈折していく。ジョーに有名なエイジェント(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)がつき、ビートルズからの依頼もくる。
休暇でタンジールへ行ったものの、仕事をはじめたジョーを責めてケネスはタイプライターを放り出す。
ジョーは母の葬儀のあとでも他人と関係をもつし、ロンドンの公衆便所でも相手を見つける。
眠れないケネスはついにジョーを殺し自分も睡眠薬を飲み横たわる。

粉川哲夫のサイト『シネマ・ポリティカ』119「プリック・アップ」が勉強になった。

ジョゼフ・ハンセン『アラン—真夜中の少年』

柿沼瑛子さんお勧めのゲイミステリ10冊のうちの1冊。全然知らなくてアマゾンの中古本で手に入れた。二見書房のベルベット・ロマン・シリーズから1993年に出た本。
ジョゼフ・ハンセンはハードボイルドミステリを夢中で読んでいた時代に出会った作家だ。たくさんいる探偵のなかでも目立って異色の探偵である。それは保険会社の調査員ブランドステッターがゲイだったから。わたしはジャン・ジュネやジャン・コクトーやゲイの作家の作品はたくさん読んでいたけど、ゲイの私立探偵がいるとは思いがけないことだった。
ハヤカワポケミスで1970年の「闇に消える」から1991年の「終焉の地」まで12冊出ているのを全部買って読んだが、いま残っているのは数冊だ。今年の2月に他の本を探していたら、ブランドステッターものに出くわした。開くとやっぱりお気に入りの探偵だけにすぐ思い出した。
そこへいま、同じ作家だけどちょっと怪しげな感じがする本だからうれしくって(笑)。

アランはもうすぐ18歳だが小柄で13歳くらいにしか見えない。いま彼は両足を骨折して石膏で固められ、胸や肩に包帯を巻かれてベッドに横たわっている。黒い肌のハンサムなキャッチが彼の世話をやいてくれている。キャッチがいなければアランは生きていられない状況にある。
それより少し前のこと。アランは新聞で父が自殺したことを知った。父はハリウッド俳優でアランが6カ月のときに家を出て行ったままだ。母のベイブはバーでピアノを弾いてアランと暮らしてきた。アランはIQが最高ランクで読書好き。孤独に慣れていた。あんなやつほっとけという母は言ったが、アランは父エリックの葬式に行こうと思う。
着替えとお金(ほかの生徒のレポートを書いてやったりしてけっこう実入りがよかった)を持って出発しヒッチハイクでハリウッドを目指す。
葬式には間に合わず墓地へ行くと一人の男にエリックと間違うほど似ていると言われる。そこで父がホモであると知るのだが、教えたソーントンは自分の存在のせいで、エリックとベイブは別れたこと、父の死因は自殺のはずがないと語る。

アランは父にゆかりのある人間を探しまわる。最後に父の死因を知り殺人者を見つけ、自分も同じ場所で怪我をするが、運良く助けられる。
最初は現在の介護されているアランがいるので、どういうことかと読み進む。家を出ただけでなく、母からの精神的な自立、そして父の死の真相を体を張って探り出す。父の相手だったゲイ青年との愛憎がやるせない。
(柿沼瑛子訳 二見書房 1165円+税)

オリヴァー・パーカー監督『理想の結婚』

1999年にオスカー・ワイルドの没後100年を記念して制作されたイギリス映画で、ワイルドの「理想の夫」が原作。19世紀末のロンドン社交界を舞台に愛と結婚と理想について華麗に描いている。ちょうどドロシー・L・セイヤーズの時代と重なっていて、アーサー・ゴーリング卿(ルパート・エヴェレット)はピーター・ウィンジィ卿に似たところがある。本心は真面目なのに軽薄なそぶりで独身を謳歌している。ただし執事が老人でバンターのように気が利かなくて、そこがストーリーの鍵になっている。

ガートルード(ケイト・ブランシェット)と国会議員の夫ロバート(ジェレミー・ノーサム)は愛し合っている夫婦で、ガートルートは婦人参政権運動をしている。ロバートは官僚として働いていたときに内部情報をもらしたことがあり、そのときの手紙を昔の知り合いチーヴリー夫人(ジュリアン・ムーア)が握っていて強請られる。彼が意見を変えれば株価が変わる。自分の正しいと思う意見を議会で演説するか、チーヴリー夫人に強制された反対意見に変えるか苦悩するロバート。
チーヴリー夫人は貧しいところから這い上がり、つきあっていたゴーリング卿を袖にして、ウィーンのもっと金持ちと結婚した。ガートルードからははっきりとつきあいたくないと言われる。
ロバートの妹のメイベルはガートルードよりも器量も愛想も悪いが、ゴーリング卿を想っていて最後に愛していると言われてよかった。
「高慢と偏見」のエリザベスの血を引くガードルードやメイベルのいきいきした考えや言葉がいまにも通じる。

岡田春生「教育よ、国を滅ぼすな—百草頭上無辺春—」(2)

岡田さんは大正5年(1916)に四国の宇和島市で生まれた。3歳のときに医師の父親が治療中に破傷風菌のついたメスで自身を傷つけてしまい、感染して亡くなった。その半年後に母が当時流行したスペイン風邪に感染して亡くなった。孤児になった5人のこども(岡田さんは末っ子)はそれぞれ親戚の家に預けられて苦労した。
その後、盲目の祖母に引き取られ熱愛されるが、体が弱くて家に引きこもりがちで本ばかり読んでいた。亡父が遺した本は日本文学や探偵小説の古典があって、その読書が長じても歴史探偵小説、サスペンス好きという生涯の趣味となった。
田舎の中学から東京へ出て早稲田大学に進んだ。父が遺したお金は放蕩者の兄が全部使ってしまい苦労して大学を卒業。

結婚して3人のこどもを養うために働き、一生の大半を教員として過ごし60歳で定年退職した。最初は中国の北京日本中学校教諭で、本書では中国の回想に一章ついやされている。戦後帰国してからはほとんどを東京都の教員として過ごした。特に美濃部都政で日教組の強いときに教頭、校長として苦労した話が詳しく書いてある。具体的に自分と教員たちの言葉と行動が記されていて、記憶力にも感心する。わたしは岡田さんと考えは違うけど、日教組の人たちのことを許せない岡田さんの気持ちはよくわかる。教条主義の身勝手な人たちがいたのがわかるから。

忙しい中で禅の修行をされて精神統一が深まったとあり、さまざまな霊的経験をされている。ユングの深層心理学についても書いてあるのだがむずかしい。

退職後、フランスの修道院に入った。気持ちのよい場所なので座禅を組もうと思う。びっしりと決まった労働と祈りの時間があるので、食事の時間と寝る時間を削って最低5時間座ったそうである。

いまは夫婦で有料老人ホームにおり、なにもかもヘルパー等のお世話になり、感謝しながら暮らしている。
【いつ死んでもよい。この平凡極まるボケ老人が……平凡な一生、いや平凡こそは、それこそ最上の生き方ではないか。「無事是れ貴人」と禅家では言う。】

本のサブタイトルについて
【禅語に「百草頭上無辺春」という句がある。宏智正覚(わんし しょうがく)というシナの南宋の頃の坊さんが、春咲く草花の一つ一つが春というものを体現しているというのである。それに気付かないだけであるといった。】

岡田春生『教育よ、国を滅ぼすな—百草頭上無辺春—』(1)

著者の岡田さんはヴィク・ファン・クラブの名誉会員である。20年くらい前にヴィク・シリーズを読んですぐに会員になられた。そしてすぐに東京から例会に来てくださった。いま97歳なので77歳から80歳くらいのときだ。ヴィクとわたしたちがおもしろいと例会には二度来られた。その後は行きたいけど腰を悪くしていると便りがあって、それからは会報の原稿が送られてきた。VFCサイトを作る話が出たときはカンパを送ってくださった。なにかあると励ましてくれた。
ご夫婦で有料老人ホームに入られてからは会報を送ってお互いに元気なことを知らせあっている。
サラ・パレツキーの本を仲立ちにたくさんの方と知り合ったが、ヴィク・ファン・クラブとわたしについて岡田さんがいちばん興味を持って関わってくださったように思う。

2009年4月に「もう一度 坂の上の雲を—陰謀の幕末史と現代(小楠、海舟、具視)—」を出版されたのをいただいた。幕末、明治維新の難局をどう切り抜けてきたかという内容だ。岡田さんの日本のこれからを危惧する思いがつまった本だ。

「教育よ、国を滅ぼすな—百草頭上無辺春—」は岡田さんの自叙伝で今年の8月に発行された。いままでばらばらに聞いていたことがつながった。
本の紹介は明日書きます。

玄米チャーハンがうまい

またもや藤城寿美子「玄米食養クッキング」からの料理だが、先日からご飯を多い目に炊いて作っている〈玄米チャーハン〉がうまい。残りご飯の焼き飯はしょっちゅう作っていたが、ニンニク醤油味とトマト味の2種類だった。肉を食べていたころはハムとかベーコンとかミンチを野菜と炒めておいて、卵を一個さっと広げてからご飯を炒めてみんな混ぜたもの。焼き飯とはこういうものと思い込んでいた。何十年もそう思っていたが、野菜だけにしてからのほうがはっきりとうまい。

そこへまた新しく〈玄米チャーハン〉の登場で、焼き飯の考え方が変わった。ヒジキ(水でもどす)、ニンジン、タマネギ、レンコン、ショウガ(テキストには生シイタケが入っているが、うちはキノコを食べないので)で、調味料がごま油、醤油。ふりかけるのが青のりとゴマ。
このチャーハンには味噌汁と漬け物がよく似合う。今夜はそれにワカメとキュウリの酢の物と刻み紅ショウガだった。

ポール・グリーングラス監督『ボーン・アルティメイタム』

3夜連続でロバート・ラドラムの『最後の暗殺者』の映画化、ボーン・シリーズ、「ボーン・アイデンティティー」(ダグ・リーマン監督 2002)、「ボーン・スプレマシー」(ポール・グリーングラス監督 2004)、「「ボーン・アルティメイタム」(ポール・グリーングラス監督 2007)を見た。
1と2はだいぶ前に見て感想を書いている。3は書いてないし見た覚えもなかったのだが、見ているうちに思い出した。テレビで見たのかな。
1、海で漁船に助けられたが自分の名前も過去も思い出せないジェイソン・ボーン(マット・デイモン)。唯一の手がかりチューリヒの銀行の貸金庫でたくさんの現金とパスポートと拳銃を見てあせる。逃走中に居合わせたマリーの車に乗せてもらいパリへ。パリでも襲撃されマルセイユに向かう途中でも襲われて、マリーを避難させる。いろいろあって最後はマリーと海辺の店で会う。
2、2年経ってボーンはマリーとインドのゴアで静かに暮らしているが、毎夜悪夢に襲われる。そこへ殺し屋がきてマリーが殺される。
自分が殺したロシア人夫妻の娘に会うためにいろんな危機を乗り越えてロシアに行くところが素晴らしい。母が夫を殺して自殺したという公文書になっていることを、自分が両親を殺したこと、真実を知ってもらいたい気持ちを話す。
CIAの上層部のやりたい放題と、そこで正気をとおしているパメラの闘いもあり見応えがある。

そして「ボーン・アルティメイタム」、過去の記憶がばらばらに甦って苦しいボーンはパリでマリーの兄と会う。同じころ、イギリスの新聞記者がCIAの暗殺部隊の記事でボーンのことも書いていた。ボーンは記者と会うことにする。CIAの上層部は殺し屋を放ち記者を殺す。
CIAの一員だったニッキーはボーンと行動を共にすることにする。タンジールでの殺し屋との長い逃走とやり合いの末に、ニッキーを逃がし、ボーンはニューヨークへ。

人間兵器になるために洗脳され訓練された場所に行ったボーンはすべてを思い出す。パメラに機密書類を渡すと即ファックスするところが痛快。だが、まだまだドラマは続いて追い込まれたボーンはビルから川へ身を投げる。
3日経っても遺体は見つからないとテレビのニュースが告げている。カフェで見ていたニッキーがにやりと笑っておしまい。

マット・デイモンがいい。アクションがすごい上に、憂いに満ちて、言い訳を言わない正直まっすぐなボーン。最後まで大丈夫と思いながらもはらはらどきどきして見てた。

デイモンの新作は「Promised Land」(ガス・バン・サント監督)で、エネルギー問題を取り扱っている社会派の映画なんだって。yahoo! 映画ニュースによると「シェールガスの採掘のために用いられる水圧破砕が、人体や環境にもたらす悪影響が描かれているため」エネルギー業界が抗議しているそうだ。