年の暮れに誓う

今年の春分の日に御堂筋で転倒してからなんとなく生き方が消極的になったように思う。その前(09年11月)にアップルストアの階段でド派手にこけたときは笑ってすませた。もひとつ前(06年9月)に家庭内転倒のときは膝を打って長いこと整骨院のお世話になったが、精神的にはダメージがなかった。
今回の転倒は尾を引いている。悪い右足をかばって歩いているうちに左足に無理がかかっていた。昨日は外を歩いている姿勢が悪いと相方に指摘された。
今日は整体院で丁寧に膝に触っていただいた。歩くときに足先が外側に向いているから転倒するんだって。意識してまっすぐ足を出して歩きなさいって言われた。
毎日ストレッチを忘れずに。そして体重を減らす。

昨夜は晩ご飯後になんだかだとしゃべっていて、1日2食にしてから減った体重がいまのところで落ち着いてしまったのはおやつの食べ過ぎだと反省。特に最近は姉のところに集まったお菓子をもらって食べることが多い。もったいないと残さず食べるから。
これからはおやつをやめようということになって、在庫のお菓子を捨てた。
2015年暮れの誓い「おやつは食べない」

食年表
2005年6月 1日2食をはじめる
2010年8月 菜食をはじめる(2015年9月まで)
2015年10月 糖質制限ダイエットに切り替える

疲れているので早寝する

昨日の夜は遅くまでこのブログの設定をやって疲れてしまった。今日は書くテーマがあるのだが考えるのをやめて早寝する。

お正月前だけど我が家はなにもなし。いつもどおりに過ごす。お店とか休みがあるからちょっと気にするけどあとは普通。
大晦日は朝から姉の手伝いに行って夕方まで過ごしてくる。帰ってお風呂に入り晩ご飯を食べる。夜中に約一名はおでかけするから、のんびりと好きな本を読みつつSNSに興じる予定。
その前に明日は整体に行ってくる。決まっているのはそれだけかな。
そうそう、お正月3日は姉の家に姪一家と大集合がある。

パトリシア・ハイスミス『キャロル』

映画『太陽がいっぱい』(1960)を見たのは1965年だったといまわかった。生意気な弟が父親と二人で見に行ってストーリーをしゃべりまくるし、主題歌をうなりまくるしうるさかったのを覚えている。すぐに兄たち姉たちも見に行ったのだろうか、わたしは一人で行ったように思う。わが家は『太陽がいっぱい』でいっぱいだった。
そのときに原作者パトリシア・ハイスミスの名前を覚えたのに、小説は読んだことがなかった。『リプリー』はビデオで見てなんともいえぬホモセクシュアルな雰囲気が好きになったのに、まだ本を読むところまでいかなかった。おかしな話だがいま考えると初読みを『キャロル』のためにおいてあったのか。

で、はじめて読んだパトリシア・ハイスミスが『キャロル』(1949)である。
最初から期待いっぱいで読みはじめて、その期待を裏切らぬ期待以上の作品で、読み終わっても数日間はしびれていた。
ハイスミスは作品のテレーズと同じようにニューヨークのデパートでバイトをしていて、美しい金髪の年上の女性を見かけた。そのときの気持ちが作品『ザ・プライス・オブ・ソルト』を生み出した。
作品は内容ゆえに大手の出版社で断られ、1952年にクレア・モーガン名義で小さな出版社から刊行された。翌年にペーパーバック版が出て100万部近くも売れる大ベストセラーになった。本書がハイスミス名義となりタイトルが『キャロル』になったのは1950年版のドイツ語版とイギリス版だったと訳者柿沼瑛子さんの「あとがき」にある。

ニューヨークで独り住まいの舞台装置家のたまご19歳のテレーズは生活費を稼ぐためにデパートで働くことにした。クリスマスの時期で配属された人形売り場は大にぎわいである。喧騒の中にひときわ輝く女性が立っていた。毛皮のコートを身にまとったブロンドの女性を一目見るなりテレーズは・・・

キャロル (河出文庫)

ジョージ・C・スコットの「クリスマス・キャロル」(クライブ・ドナー監督)

晩ご飯のあとになにか映画を見ようと何本か候補があがった。「クリスマス・キャロル」を見たいと主張したのはわたしだけど自分でもおかしくなった。いくらディケンズが好きでいろいろ読んでいるといってもクリスマスに吝嗇を改心する話を見たいなんて。いやいや、これには理由があるのです。
半年くらい前に中沢新一の『純粋な自然の贈与』を読んだのだが、数編の論文の中の「ディケンズの亡霊」というタイトルに惹かれた。ディケンズの亡霊ってなんのことかと読み始めたら「クリスマス・キャロル」が主題になっていた。長いあいだ忘れていた物語を中沢さんの導きで再び読めて、しかもわたしの目には見えていなかったものが示されている。
「クリスマス・キャロル」をわたしはこどものときから家にあった絵本でよく知っていた。その物語が教訓的だとさえ思っていた生意気な子どもだった。
それだけに「ディケンズの亡霊」を読んだ時はそんな大切なことが書いてあったのかと驚き、知ったことに感謝した。

今日見たのはいままで9本製作された「クリスマス・キャロル」の中の3作目、ジョージ・C・スコットがスクルージを演じている1984年の作品。
ジョージ・C・スコットのスクルージさんはそのままのスクルージさんぽくて微笑ましく見た。従業員のクラチットさん、甥のフレッドも物語にあるとおりだった。

クリスマス・キャロル (字幕版)

さっき素直な気持ちで友だちへのメールに「メリー・クリスマス」と書き添えた。

(『純粋な自然の贈与』 講談社学術文庫 960 円+税)
純粋な自然の贈与 (講談社学術文庫)

近藤ようこ(原作 折口信夫)「死者の書 上」

先月だったか、寝るときにiPad miniで青空文庫の「死者の書」を読んでいると書いた。それを読んだ親切な友人が「死者の書」は難しかったのでマンガで読んだと送ってくれた本が、近藤ようこさんのこの本である。
折口信夫がマンガになっているのにびっくり!! わたしは最近原作を読んだからええわと言っていたのだが、マンガや本が近くにあればいずれ手に取る(笑)。

近藤ようこさんがどんな作品を書いているかは知らないが、「あとがき」に【四十年前に初めて読んだ『死者の書』を、やっと漫画にすることができました。】と書いておられる。そして【折口信夫を全く知らない人にための「死者の書・鑑賞の手引き」だから読者には最終的に原作を読んでいただきたいのです。】と続く。
上巻は第八話まであって、今年の1月から8月まで「月刊コミックビーム」に連載された。すぐに単行本になったのがここにあるわけだ。そしたら下巻が出るのは来年の後半か〜
まあ、原作を読んでいるのだからわたしはいいけど(笑)。

若いときの数年間わたしは奈良のお寺を巡ってけっこう歩いた。当麻寺も何度か行っている。そのときは「死者の書」の存在を知らなかった。ただ奈良中心部のお寺と違う鄙びた感じが好きだった。
それから何年か経って折口信夫と「死者の書」を知った。
近藤さんは40年前に原作を読まれたそうだが、わたしが読んだのもそのころだ。
ある春の日、出会って間もない相方と竹内峠を歩いて当麻寺まで行った。お庭を見たりお寺の本堂に上がらせてもらって午後から暗くなるまでいた。夕暮れ時には、した、した、した、と歩く音がしないかと土に耳をあてたりした。

そして、二上山! 泉北に住んでいた3年間は毎日二上山を眺めて暮らしていた。
いま、この本の裏表紙の二上山を眺めている。素晴らしい。
(KADOKAWA 740円+税)

死者の書(上) (ビームコミックス)

ロマン・ポランスキー監督「ゴーストライター」

ロマン・ポランスキー監督の映画を見るのは久しぶりだ。見た作品をあげると、「水の中のナイフ」(1962)、「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)、「マクベス」(1971)、「チャイナタウン」(1974)、「テス」(1979)、「赤い航路」(1992)だけで、好きなのにあまり見ていない。
「ゴーストライター」は2010年の作品でポランスキー80歳のときと知って驚嘆した。

主人公ゴーストライター(ユアン・マクレガー)の仕事は有名人が自伝を出すときの代筆者で、元英国首相ラング(ピアーズ・ブロズナン)の自伝代筆の仕事を依頼される。この仕事には前任者がいたのだが自殺したために急遽仕上げを頼まれたので、すぐにラングのいるアメリカ東海岸の孤島に向かう。
大邸宅でラングとその妻、女性秘書等に会い仕事を進めはじめるが、ラングが在任中に戦争捕虜に対しての拷問を支持した疑惑が出てきて島はマスコミ等で大騒ぎになる。
ゴーストライターは前任者が自殺したことに疑いを持ち調べ始める。

主人公はごく当たり前の中年に足を踏み入れたばかりという感じで好感がもてる。だから元首相の妻から好意を持たれるんだけど・・・
普通の人が必死で走ってここまでやったのに、権力側は逃さないでどこまでも追求する。

「水の中のナイフ」と「チャイナタウン」がまた見たくなった。前者は上映会で一度見ただけ、後者は映画館とテレビとレーザーディスクで何十回も見ている。

ゴーストライター (字幕版)

三浦しをん「仏果を得ず」

友人のYさんが送ってくれた本。彼女がときどき日本の女性作家の本を送ってくれる。直木賞作家の本が多いが、わたしはほとんど知らない。翻訳物以外は明治大正昭和初期の本ばかり読んでいるなと改めて思った。
今回の三浦しをん「仏果を得ず」もはじめて知った本である。三浦しをんという名前は聞いたことがあるが読んだことがなかった。
ちょっと読んでみたらおもしろくて昨日と今日で読んでしまった。
主人公は文楽の若手太夫 建(たける)で、八章あるタイトルが全部文楽の演目がついている。「一、幕開き三番叟」からはじまって「八、仮名手本忠臣蔵」まで、建が語ることになり、三味線の兎一郎と組んで演じる。その芸道を極めようとする日々の笑いと涙の物語である。最初は組むのを嫌がっていた兎一郎だが、一緒にやっているうちに理解しあっていく様子がうまく描かれている。

大阪の町があちこち出てくるのも魅力。住んでいるのは生玉(神社)さんのそばの連れ込みホテルである。偶然知り合ったホテルの持ち主の世話になっている。地方公演のときは留守が安心だし、大阪にいるときは手伝いをする。近所の小学校でボランティアで文楽を教えて、熱心な少女に惚れられる。
文楽を演じる人たちの演目と絡んだ物語がうまくて楽しい。

わたしは若いころに四ツ橋文楽座や道頓堀の朝日座に何度か行ったことがある。能、歌舞伎、文楽、そしてクラシックとバレエに凝っていたハタチのころ。働いたお金はみんなそれらに使った。5年後にはジャズと登山とデモに興味が移ってしまって古典とはさよならしたが、三越劇場で見た桐竹紋十郎が遣った「伊達娘恋緋鹿子」(八百屋お七)が忘れられない。
(双葉文庫 600円+税)

仏果を得ず (双葉文庫)

ウォン・カーウァイ監督「マイ・ブルーベリー・ナイツ」

恋愛もので都会的でおしゃれで楽しい、こう思っていつも今夜これから見る映画を探すのだが、見た映画か見たくない映画しかなくてナンギする。今夜はこのタイトルはおしゃれでいいねと「マイ・ブルーベリー・ナイツ」(2007)がアマゾンにあったので見ることにした。監督の名前も調べずに、ニューヨークが舞台らしいでと呑気にウィスキーのグラスを手に。
はじまってすぐに「これええやん」「おっしゃれ!」「スタイリッシュとはこのことやな」と夢中になった。ノラ・ジョーンズええ感じ。ジュード・ロウは渋い男前。

最後に監督ウォン・カーウァイという文字が出て、そうや〜2008年日本上映の時は話題になったっけと思い出した。「恋する惑星」がすごくよかったウォン・カーウァイ監督初の英語映画だ。
脚本はカーウァイなんだけど、なんとまあ、ミステリ作家のローレンス・ブロック(映画「八百万の死にざま」の原作者)が参加している。

ニューヨークのカフェからはじまった旅は距離を伸ばし、知り合った男の生と死に直面し、知り合った女たちのやり方に人生を学び、再びニューヨークのカフェにもどってくる。
最後のラブシーンがすてき。
音楽は「パリ・テキサス」のライ・クーダー。

アーナルデュル・インドリダソン「声」と「テンプルちゃんの小公女」

「声」を金曜日から読み始めてもう終わるのだが、さっき気がついたことを書いておく。
アイスランドの大きなホテルのドアマンでクリスマスにはサンタクロース姿でサービスするグドロイグルが、ホテル地下の粗末な自室で死体となっているのが発見される。
捜査官エーレンデュルが2人の部下と捜査にあたる。
なにもない部屋に唯一シャーリー・テンプル主演1939年製作の「リトル・プリンセス」のポスターが貼ってある。最後まで「リトル・プリンセス」は「声」の中で重要な役割を担っている。

「リトル・プリンセス」は「小公女」のことだと気がつかずにストーリーを追っていたが、終わりのほうで気がついて検索したらウィキペィアにちゃんと「テンプルちゃんの小公女」とあった。
こんな映画があったんや。知らんかった。
「小公女」はわたしが最初に読んだ本の一冊である。いまだに好きな本の上位にある。ときどきiPad miniで読んでいる。
ウィキの「概要」のところに、この映画はパブリックドメインとなっているとある。そして右側に【1939年版『The Little Princess』全編(パブリックドメイン)】とあるのでクリックしたら<a href=”https://ja.wikipedia.org/wiki/テンプルちゃんの小公女”_blank”>映画</a>がはじまった。わーい!!
今日のところはセーラと父がロンドンの街を馬車で通って寄宿学校に着いたところまで見て、残りはお預け。

ドン・コルレオーネの退院を祝う、シチリア風鶏のカチャトーラ

タイトルの料理の作り方が2年ほど前の「エル・ア・ターブル」に出ていたのを見て相方が作って、今夜食べた。フランシス・フオード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」で、マーロン・ブランド演じるドン・コルレオーネが襲撃されて入院し、退院の祝いの食卓に出された料理だそうだ。ドン・コルレオーネも年だし退院したところだから柔らかい肉が出たんだと勝手に解釈、「これなら歯にもいいはず、わしらもトシやから」と続けて解釈(笑)。

レシピを適当にアレンジしてます。
1 鶏肉をぶつ切りにして赤ワインに半日以上漬けておくとあったので、昨夜から漬けて冷蔵庫に入れておいた。
2 フライパンにオリーブオイルを入れて中火で鶏肉を表面に火が入るまで焼く。
3 鍋に、ニンニク、オレガノ、塩、こしょうを入れて鶏肉とワインを少々入れて、水をひたひたになるまで入れて1時間半くらい煮込む。

今夜のご飯はうまかった。
他に食べたものは、ピクルス盛り合わせ(キャベツ、カリフラワー、パブリカ、ひよこ豆)、マカロニ入り野菜スープ、パン、コーヒー。