リチャード・ロンクレイン監督「ウィンブルドン」

ウィンブルトンとあるからはテニスの映画だろうと見始めたら、ほんとうにウィンブルドンで撮影されたテニスの世界選手権をテーマにしたラブコメディだった。
一時は世界11位になったことのあるピーター(ポール・ベタニー)はいま119位、今シーズンは推薦特別枠で出場権を得た。これを機に引退しようと思っている。
ピーターがホテルの部屋番号を間違えてアメリカの女性若手注目選手リジー(キルスティン・ダンスト)の部屋に入ったことからふたりは知り合いつきあいはじめる。
話がとんとんと進んで、ふたりは仲良くなり、リジーの応援でピーターは元気が出る。リジーの父親でコーチのデニス(サム・ニール)はふたりを引き離したいが、うまく立ち回っていっしょに過ごすふたり。
ピーターは気合いが入って勝ち進む。
ピーターと反対にリジーは負けてアメリカに帰るため空港に行くと、あちこちに置かれたテレビでピーターのインタビューをやっている。ピーターはリジーに会えたからここに立てたと感謝の言葉。聞いた父と娘はセンターコートへ。
最後はセンターコートでの決勝戦。最初は負け続けていたが休憩中にやってきたリジーに攻略法を教えられ、抱き合って元気をもらう。
期待通りに激戦を勝ち抜いて優勝。ほんとうのテニス中継みたいな画面におどろいた。

テニスの試合が中心になっているが、反目していたピーターの両親が仲直りする場面もよかった。ボールボーイに声をかけるところもよかった。
物語の最後はピーターは引退し、リジーはウィンブルトンで2回優勝。結婚してこどもを抱いている幸せそうなシーンで終った。2004年製作。

『BOLLOCKS』#007 ジョン・ライドン インタビューに共感

1カ月くらい前に友だちの鬼蔵さんがツイッターにジョン・ライドンにインタビューする仕事がきたと書いていてびっくりした。そのインタビュー記事が「BOLLOCKS」#007に掲載されたというのでさっそくアマゾンで購入。
パンク雑誌で若者向きだから(それがあとで聞くと40代読者が多いそうで、文字が細かいと批判があるとか)全体に字が細かくて老眼鏡をかけても読みづらい。おおかたのページが黒地に白い文字なのだ。他のページはともかく、ジョン・ライドンの言葉はきちんと読みたいので拡大コピーして読んだ(笑)。鬼蔵さんのインタビューは聞くべきことはちゃんと聞いていると思った。根っこからのパンク少女だもんね。
「ヴィク・ファン・クラブの会報に紹介するね!」「紹介お願い!」の会話があって、さっき紹介記事を書いたところ。
本文は会報を出したあとでアップします。

マイク・リー監督『キャリア・ガールズ』

最近はお借りしたDVDの紹介記事をさきに読んで見るのを決めるようになった。昨日も今日も女性たちが元気で楽しく終りそうなのを選んだ。ハッピーエンドであってしかも考えさせられる内容というけっこう難しい選択なんである。

アニー(リンダ・ステッドマン)はロンドンに向かう列車に乗って学生時代を思い出している。ハンナ(カトリン・カートリッジ)との出会いはふたりとも貸間を探していてルームメイトになったから。アニーは喘息で頬にアレルギーのかぶれがあるが、パンクファッションでキメてタバコを吸っている。ハンナはしっかり者で美人だが愛想がない。もうひとりのクレア(ケイト・バイアーズ)は男の子好きでいつも化粧を欠かさない。アニーの専攻は心理学、ハンナとクレアは文学専攻。
3人は「嵐が丘」のページを開いてする占いで盛り上がり、クラブで踊り遊ぶ。
そういう暮らしでアニーとハンナは仲良くなったがクレアとは合わなくなり、ふたりで住むようになる。

ロンドンの駅にはハンナが待っていた。6年ぶりの再会、ふたりとも30代のキャリア・ガールである。アニーは田舎の会社で働き、ハンナはロンドンの会社で働いている。
ハンナは転居したいが、今度は家を買うとテムズ河畔のマンションを見に行く。プレイボーイまがいの男につきまとわれ、反対にやっつけて笑いながら立ち去るふたり。
不動産屋では学生時代につきあいがあった男に会う。そしたら今度はジョギングしているクレアと会う。アニーは帰る支度をしたが昔の下宿を見てからにするといい出す。建物だけは残っており、なぜかそこに昔の仲間のリッキーが階段に座っていた。
過去の3人と出会った旅であった。ハンナはアニーに「嵐が丘」をプレゼント、再会を約束してホームで別れる。

アニーは若いときはパンクファッションだったが、いまはベージュの服を着た地味なインテリ女性、ハンナはロンドンの一流キャリア・ガールらしいファッション。芯の強いアニーと常に闘う姿勢のハンナ。ハンナの仕草に惚れ惚れした。いつも「なにを!」という気持ちで男性に向きあっているところがカッコいい。
「コールド マウンテン」で「嵐が丘」が出てきたが、ここでもまた「嵐が丘」が重要な役割だ。1996年製作。

パット・オコナー監督『サークル・オブ・フレンズ』

1957年、アイルランドの小さな町で育った3人の女性の成長物語。ベニー(ミニー・ドライヴァー)は洋服屋の一人娘で太め大柄の物怖じしない明るい女性。イヴ(ジェラルディン・オラウ)は孤児で尼僧たちに育てられた美女。ふたりはダブリンの大学に入学するが、下宿は許されずにダブリンまでバス通学する。大学で幼なじみの美人のナン(サフロン・バローズ)と再会する。
ベニーは医学生でラグビー選手のジャック(クリス・オドネル)に一目惚れ。イヴはジャックの友人のエイダンと仲良くなる。大学のパーティでなかなかダンスの相手がなかったベニーだが、最後のダンスをジャックが申し込む。ベニーとジャックはだんだん惹かれあっていく。ジャックは医者の息子だが手術や血に弱い。
森の中に森番だったイヴの親が残した小屋があり、18歳になったイヴは鍵をもらい手を加えて泊まれるようにする。
ベニーの父は店の売上が落ちているのが気になるし、ベニーを店員のショーンと結婚させたいのが親子喧嘩となり、心労で倒れる。
ナンは地主の息子サイモン(コリン・ファース)をうまく引き寄せて、イヴの小屋で夜を過ごす。妊娠したナンは結婚を迫るが、金持ちとしか結婚しないとサイモンは手切れ金のように小切手を渡す。ナンはすぐに作戦を変えて、父の死後は店の手伝いをしているベニーを裏切って上手にジャックに手を出し妊娠したとだます。
ベニーはショーンに結婚を迫られるが、ショーンが売上金をごまかしていたのを調べようと部屋に行く。そこで捕まるところを撃退しようと投げたクッションに紙幣が詰まっていた。お金を投げて出て行けというベニー。
イヴは小屋でナンとサイモンが過ごしたのに気がつき真相を知ってナンに迫る。ナンはガラス戸にぶつかり負傷する。ジャックは手当てをするが、そのとき自分の恐怖症がなくなったのに気がつく。ナンはジャックに謝ってイギリスへ。
ジャックはベニーの店に来て謝り、愛を告白。ベニーはゆっくりとつきあい直そうと思う。
大学でベニーとイヴとジャックは共に勉強を続ける。
そして数年後に、森の小屋に来たベニーとジャック。

アイルランドの田舎町ののどかな風景と森の木々の美しさの中で、若者たちが愛し合い、成長していくさまを描く。1996年の作品。気持ちよく見られてよかった。
コリン・ファースがイギリス人地主の役で出ていた。

クリストファー・ノーラン監督『バットマン ダークナイト ライジング』

クリストファー・ノーラン監督の「バットマン ビギンズ」(2005)「バットマン ダークナイト」(2008)を去年の夏にDVDを貸していただいて見た。ちょうどそのころ3作目の「ダークナイト ライジング」(2012)を映画館でやっていて、ちらっと見たいと思った。もちろん思っただけでじっと待っていたら今回貸していただけたというわけ。

あれから8年、バットマンことブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)はデントの罪を自分がかぶって屋敷に引きこもっている。
ゴッサム・シティは亡くなったデント検事を英雄としてたたえ、それを力にして一丸となった政治を行っているところへ、テロリストたちが乱入。ゴードン市警本部長(ゲイリー・オールドマン)も怪我をする。入院中に機転よく働いた若き警官ジョン・ブレイクを刑事に引き立てる。

さあ、そこで事件が次々と起こる。
今回の悪人役はテロリストのペイン(トム・ハーディ)で、ものすごく強くて悪いヤツ。どこまでやるのか、いままでの悪人の何倍も強くてたちが悪い。導入部のヘリでの乱闘場面でのペインの残酷さのショックのままに画面に見入った。
魅力的な女泥棒キャットウーマン(アン・ハサウェイ)もバットマンの邪魔をする。疾走する彼女がステキ。
ワルの中心がこのひととは思ってもいなかったひとがワルなのであった。

「バットマン ダークナイト」がよすぎたから、期待が大きすぎたせいかちょっとあっけなかったかも。でも大掛かりな戦闘場面やバットマンが縦横無尽に飛ぶシーンでは、やっぱり手に汗を握っていたのであった。

ケン・ローチ監督『麦の穂をゆらす風』

見たかった映画だがいざ手元にきたら一日延ばしにしていた。T氏がDVDを貸してあげると言ったときに、ケン・ローチの映画を見たいと言ったのに、明るい映画や恋愛映画に向かっていた。ようやく見たら、これがすごい映画で、圧倒されて励まされて。

第一次大戦後、1920年のアイルランド。イギリスの支配に抵抗してアイルランド独立を求める人たちの運動が高まる。イギリスからは治安警察隊(ブラックアンドタンズ)が送りこまれ、権力に屈しない若者たちが殺されていく。
遊び仲間のミホールは武装警官に名乗れと言われてアイルランド名を名乗りなぶり殺される。葬儀の日に村の女性が歌う「The Wind that Shakes the Barley」が哀切きわまりない。

秀才の医学生デミアン(キリアン・マーフィー)はロンドンの病院に就職が決まっている。出発の時に駅で英国の警察隊が列車に無理矢理乗ろうとするのを拒否し暴力を受ける駅員、車掌、運転士を見て、彼はアイルランドに残るのだと決意する。
デミアンの兄のテディ(ポードリック・ディレーニー)は抵抗グループのリーダーで、指の爪を剥がされる拷問を受けるが屈しない。グループの中にデミアンは運転士のダン(リーアム・カニンガム)と再会する。
彼らは武器を調達し山で訓練を重ねる。美しいアイルランドの緑の中に銃の音が響く。
連絡や物資の調達で彼らを横から支援する殺されたミホールの姉シネード(オーラ・フィッツジェラルド)とデミアンのこころは通じ合う。

彼らの闘いがあったからこそ、イギリスからの停戦申し入れがあり講和条約を結ぶのだが、喜びもつかの間、条約はイギリスに都合のよいものだった。アイルランド側は条約受け入れ賛成と反対に分かれ、ついにはアイルランド人同士の内戦になる。兄のテディは政府軍に入り、デミアンはまたゲリラ活動にもどった。
闘いの中でダンは撃たれて死ぬ。
デミアンは政府軍に捕まり仲間の居場所と武器の置き場所を言うようにテディに強要されるが拒否する。ついにテディはデミアンに遺書を書くようにいう。
翌朝、デミアンは処刑される。
テディはシネードにデミアンの死を告げにいく。ここに二度と来るなと叫ぶシネード。

いろんなことを考えさせてくれる映画だった。

2006年製作、カンヌ映画祭 パルムドール受賞。
デミアン役のキリアン・マーフィーはニール・ジョーダン監督「プルートで朝食を」で女装の男性役をやっていて、すごく美しかった。全然気付かず、あとで検索してわかった。

アンソニー・ミンゲラ監督『コールド マウンテン』

ずっと見たいと思っていた「コールド マウンテン」(2003)、上映時間が2時間35分と知って気持ちが引けたままだった。昨日久しぶりに「VFCサイト」のエッセイページにある「Chissarossa の I LOVE CINEMA 15」を読んで見たくなった。

アメリカ南部、コールド マウンテンで働いていたインマン(ジュード・ロウ)は、新任の牧師の娘エイダ(ニコール・キッドマン)と気持ちが通じて言葉を交わすようになった。彼は他の若者たちといっしょに南北戦争に駆り出されて行く。別れのときに抱き合っただけだったが、それがふたりにとって生涯の恋となった。

南部の青年たちは苦しい戦争で死んで行く。重体のインマンは収容された病院でエイダからの手紙を読んでもらって生きる気力が甦る。病院から忍び出たインマンは脱走兵となって、歩いてコールド マウンテンを目指す。脱走兵を捜す義勇軍に追いかけられながらも、孤独に暮らす女性たちにかくまわれ助けられてエイダと会いたい一心で歩く。

一方、エイダは父が急死して孤独な生活をしている。お嬢さん育ちのままで畑は荒れ日々の暮らしに困るのを隣人のサリーが助けてくれる。サリーは流れ者のルビー(レニー・ゼルウィガー)をエイダに紹介する。ルビーは雇われ人ではなく対等な立場ならと、エイダに野良仕事を教える。エイダはピアノを売り払い畑を耕し種を蒔く。でも、夜になるとルビーに「嵐が丘」を読んでやる。ルビーはここまでといわれても自分で続きを読むほどになる。

サリーの息子たちが脱走してもどったのを義勇軍が引きづり出して殺す。ふたりはサリーを助けていっしょに暮らすことにする。ルビーの無責任な父親が仲間とやってきて一悶着。

雪の山小屋で一夜を過ごすことになったエイダは食糧を求めて山道を行くと、向こうから男が歩いてきた。インマンだった。
ふたりは初めての夜を過ごす。美しいベッドシーン。
しかし、翌日、脱走兵を捜す連中がやってくる。インマンと義勇軍の中でも腕自慢な男との一騎打ちはお互いに死の銃弾となった。

最後は戦争が終って平和な農場に一家がいる。
エイダは娘の手を引いている。ルビーには夫と子どもがいる。ルビーの父親がいて、サリーが微笑んでいる。

マイク・ニューウェル監督『フォー・ウェディング』

ヒュー・グラントはどんな映画でも好きだといまさらながら思った。どの映画を思い出しても好いたらしいオトコだ。コリン・ファースと比べればコリンのほうが好きだが、いいオトコという点ではヒューのほうが点が高い。
1994年、いまから20年ほど前の映画だから若いヒューの魅力があふれてる。この5年あとに魅力満開の「ノッティング・ヒルの恋人」がある。いま思い出したのは「モーリス」。この映画のヒューはどうにもこうにも、大好きであった。

目覚ましが鳴っても起きられないチャールズ(ヒュー・グラント)は友人の結婚式に遅刻して指輪を忘れて、笑ってごまかす。友人の中にひときわ目立っているジョン・ハナーを見てびっくり。イアン・ランキン原作のテレビドラマの主役リーバス警部だ!
披露宴でアメリカから来ているキャリー(アンディ・マクドウェル)と出会って、うまく彼女とパブの2階で泊まるが、チャールズは結婚に発展させようなんて考えもしない。
しかし、次に出会った結婚式でキャリーは年上の男性と結婚すると告げる。
その次の結婚式はキャリーのスコットランドの伝統に従った式だったが、友人が急死してしまう。葬式の席でふたりは再会するが、彼女は人妻。

どたばたなチャールズにずっと友人だったフィオナがずっと好きだったと告げる。フィオナはそれを言っただけで友人の立場にいる。
そしてチャールズはヘンリエッタと結婚式をあげることになった。そこへ夫と別れたキャリーがやってきてチャールズのこころは乱れ、結婚の誓いを誓うのをやめる。いらついたヘンリエッタに殴られて結婚式は中止で、ようやくチャールズとキャリーは結ばれる。

オリヴァー・パーカー監督『アーネスト式プロポーズ』

コリン・ファースとルパート・エヴェレットが出ているだけでこころときめくものがある。「アナザー・カントリー」は1984年だったのか。そしていま見た「アーネスト式プロポーズ」は2002年。ふたりとも若々しくていい感じ。
オスカー・ワイルドの原作「真面目が肝心」は全然知らなかったけど、以前見た同じ監督の「理想の結婚」もよかった。真面目で洒脱な作品を書いていたひとなんだな。

19世紀のイギリスで田舎の紳士ジャック(コリン・ファース)はロンドンに遊びに行く理由に、弟のアーネストを口実にしていた。そして自分がアーネストと名乗って遊び歩いていた。
友人のアルジー(ルパート・エヴェレット)のほうは架空のバンベリーという病弱な友人をつくって伯母ブラックネル夫人(ジュディ・デンチ)の目をごまかしていた。
あるとき、ふたりはお互いのウソを知ってしまう。

ジャックはブラックネル夫人の娘グウェンドレン(フランシス・オコナー)に夢中になって求婚するが、彼女はアーネストという名前の男性と恋に落ちたかったといい、ジャックは慌てる。本人の承諾を得たがブラックネル夫人の面接があって、ジャックは生い立ちを話す。彼は赤ん坊のとき黒い鞄に入れられてビクトリア駅で見つけられた。そんな人間に娘をやれないと断られてしまい傷心のジャック。

ロンドンの町並みを行く馬車や人々も緻密に描かれ、屋敷や遊び場などの室内も豪華で楽しい。

後半はジャックの田舎のお屋敷が舞台になる。
アルジーがやってきて夢見る乙女のセシリー(リース・ウィザースプーン)に近づく。いらつくジャック。
屋敷も素晴らしいが庭園がステキで、セシリーが夢見る中世に舞台が変わっても矛盾がない。広い芝生の上でのお茶のためのテントもため息が出る。
そこへ自動車を運転してグウェンドレンがやってきた。
執事や家庭教師や召使いたち、近くの教会の牧師さんもやってきて大変な騒ぎに。
騒ぎの中に黒い鞄の持ち主もわかり、赤ん坊が誰の子かもわかり、したがってジャックの出自もわかる。
最後は気持ちのよいハッピーエンド。
コリン・ファースとルパート・エヴェレットが歌うのが愛嬌。

スティーブン・フリアーズ監督『ジギル&ハイド』

先日見たスティーブン・フリアーズ監督の「がんばれ、リアム」が良かったので「ジギル&ハイド」(1996)を引き続いて見ることにしたが、今回もこってりしてた。

タイトルにジュリア・ロバーツとジョン・マルコヴィッチの名前が出ているのでヘンだなと思った。あとでわかったがロバート・ルイス・スティーブンソンの名作「ジギル博士とハイド氏」を召使いの目線で描いたバレリー・マーティンの小説「メアリー・ライリー」の映画化なのであった。

メアリー(ジュリア・ロバーツ)は貧しく育った。父は仕事がある間は優しかったが仕事をなくして酒を飲むようになり娘を虐待する。暴力を振るったあと物入れに閉じ込めてネズミを放ち鍵をかけて出かけてしまう。夜遅く仕事から帰った母はメアリーを抱いて家を出る。いまもメアリーの腕と首筋には父の暴力の痕がある。ジギル邸で朝早くから働いているがそれを幸せだと思う。

外の階段を掃除しているときにジギル博士(ジョン・マルコビッチ)がもどってきて傷跡に目をつける。部屋へいったとき父に受けた暴力について異常に熱心に聞かれる。
博士は弟子のハイド氏の存在を召使いたちに話す。
それからは博士の使いに行かされたりするが、娼館へ手紙を持って行くと女主人ファラデー夫人(グレン・クローズ)にいろいろ苦情を言われる。どうやらハイド氏が娼婦相手に暴力をふるったらしく口止めの小切手だった。
その後にファラデー夫人や貴族が殺害されてメアリーの恐怖は増していく。

19世紀末のロンドンのお屋敷や道路や娼館、市場での屠殺の様子、そして雨や霧の風景がたっぷりあって楽しめた。
ジュリア・ロバーツの映画はあまり見ていないけど、こんな役はめずらしいような気がする。