サラ・ウォーターズ『エアーズ家の没落 上下』

『黄昏の彼女たち 上下』の感想を書いたとき、未読の本として本書をあげたらSさんが持っているよと貸してくださった。一気読みしてしまったが、感想をまだ書いてなかった。お話はおもしろくてどんどん読めたが内容は悲しくてつらい物語である。

かつては隆盛を極めた領主館だったが第二次大戦が終わってからは子孫がひっそりと引きこもって寂しく暮している。土地や建物を切り売りしてなんとか暮しているのだが、だんだん生活が苦しくなっている。
村の医師ファラデーの母は第一次大戦前にこの屋敷の女中だった。父は食料品店の使い走りをしていて二人は知り合い結婚した。賢いファラデーを大学に行かすため両親は無理して働き早く世を去った。ファラデーは出身階級である小作人たちの間では嫉妬からくる無視に出会い、ほとんどが豊かな階級出身の医師たちの間では居心地が悪い。でも医師のとしての腕は確かなので認められている。

ファラデーが子どものとき母が内緒でお城に入れてくれた。そのときお城に魅せられてその気持ちはいまも続いている。
不運な一家のために医師として城に出入りするうちに令嬢キャロラインと心が通い合う。しかし、お城と令嬢のふたつを手にする幸福はファラデーには結局訪れなかった。物語が終局に向かう迫力がすごい。

時代が進むにつれ村の人口は増え医院の仕事も増える。仲間の医師たちともうまくつきあっているのでよかった。

すごく長くて怖い物語をドキドキして読んだ。最後までいってまた読み返した。
(中村有希訳 創元推理文庫 上960円+税、下1000円+税)

花粉症復活ということは・・・

おととい12日に思いもよらない花粉症の症状が出て驚いた。もう二度となるはずないと思っていたのに。昨日は雨だから軽くすんだけど、今日は昼過ぎに洗濯物を干すのにベランダに出ただけなのに、その後は水鼻に悩まされている。そして目がいらいらする。アタマがまわらない。気力がそがれる。ほんまにいやになる。

もしかしたら菜食生活を糖質制限ダイエットに切り替えたからかしらと疑問がわいてきた。だったら治っていたジンマシンも復活するかもしれない。
花粉情報はまだまだ「多い」が続くんだろうな。でもまあ、花粉症は花粉が収まれば出ないだろうが、ジンマシンやアトピーはどうなるやら。
悩み多き春。ああ、アタマが痒くなってきた。

『月刊 MOE モエ』5月号(特集 中原淳一)

書店で働く友人が教えてくれたので買おうと思っていた『月刊 MOE モエ』5月号(特集 中原淳一)が書店で見つからない。ネットで出版社のサイトを見たら「売り切れ」になっている。まあええかと諦めかけたけど翌日アマゾンを検索した。在庫ありだったのですぐに注文したら(11日)今日(13日)の指定時間に届いた。すんごい世の中だ。
書店で探してお金を払って買うのが好きと思ってたけど、時間の無駄かもね。買うと決めてる本はこうして買ってしまえばいいのかも。

表紙がすっきりしていて好み。記事も編集意図がしっかりしているからわかりやすい。中原淳一先生の生涯にも触れられているし、仕事全般をきちんと整理してあって若い人にもよく伝わるだろう。
まあ、わたしのような「淳一いのち」時代があった人にとってはうまくまとめ過ぎだけど、それはわたしのほうがおかしいのだから。淳一先生と同時代に生きて、同時代に発表された雑誌を買って何十度も繰り返し読んだ経験はしたものにしかわからない。わからなくて当たり前だ。
そんなことはどうでもよい。若い人たちが中原淳一をかっこいいと思って、生活すること、着ること、読むこと、食べることなどなどの参考にするって素敵だ。うれしい。

本格的なヒノキ花粉症、なんでや?

けっこう長い期間、花粉症持ちとはいうているもののクシャミや鼻水が少々で「花粉の季節になったね」って感じだった。昨日もそうで、今日は夕方までそうだった。
夕方になってベランダで洗濯物を取り入れ、いま洗ったのを干した。そのあと明日午後から雨らしいからちょっと掃除らしきことをして、その後は空を眺めて立っていた。少し風が強かったかな。

そのあと2時くらいして晩ご飯を食べようとすると鼻水が流れそしてクシャミがはじまった。ティッシュの箱を側に置いてご飯を食べた。片付けしていても鼻水が流れる。全然鼻に溜まっていなくて流れ放題だからたまらん。
そういえば、今朝はなにかやる気が起きなかったのを思い出した。朝からそういう体(花粉体質)になってて、夕方から本格的になったってわけか。今夜は早寝することにして明日はどうなるかなあ。この独特のしんどさがかなわんなあ。

女性誌がおもしろい

今年になって女性誌をよく買っている。わたしは記事を読み相方は料理の参考にする。いまも『k u : n e l』『エル・ア・ターブル』がテーブルにあって明日のご飯の献立を検討中。料理がないから『装苑』は買わない(笑)。
『エル・ア・ターブル』の特集「トーストとサンドイッチ」のページ数に驚いた。めくれどもめくれどもうまそうなトーストとサンドイッチが現れる。材料を買ってくればだけど、すぐにできそうである。こういうのが今風なのかと納得する。先日心斎橋のブルックリンパーラーで「今日のサンドイッチ」を注文したら、温めたパンに肉とごぼうその他の野菜炒めがいっぱいはさんであって味もよかった。ポテトフライがたっぷりついているのにも驚いた。それで翌日に買った『エル・ア・ターブル』を見てなるほどとなった。

関東の書店で働いている友人がメールで『MOE』5月号は「中原淳一特集」だよと教えてくれた。買いに行ったがうちの近所にはなかった。新大阪の本屋でも見つからなかったから梅田で探すしかないな。と書いてネットを見たら「売り切れ」になっていた。3日発売なのに・・・淳一先生いまだに人気あるんや。淳一先生の本や絵葉書などいろいろ持っているのでまあいいか。

翌日追加:『MOE』5月号「中原淳一特集」アマゾンにありました。明日届くそうです。楽しみだ〜

古い本箱は宝の山

姉が「最近本が読めなくなったからいらんわ、あんた持って帰ってええよ」というので、定期購読している新潮社の『波』の2,3,4月号をもらって帰った。けっこうおもしろいのでちょこちょこ読んでいる。

先日、転んだときぶつかった障子が一箇所破れたのを貼り直してほしいと頼まれた。障子紙を探していたら亡き義兄の勉強部屋の奥の本棚の引き出しにあるとのことで、障子紙と糊と刷毛が見つかった。しかもその奥に分厚い本が見えた。
引っ張り出すと厚い『朝日ジャーナルの時代』が現れた。刊行された『朝日ジャーナル』全部が小ぶりになって収録されている。
姉は『朝日ジャーナル』をずっと愛読していて、廃刊したあとにこんな本まで買っていた。あちこち開いていると「60年安保」の記事が出てきた。樺美智子さんの写真もあった。
「もう読まないから持って行っていいよ」というので、ありがたくもらって帰った。この前は高橋和己さんの本をもらったが、まだまだなにかありそうだ。

トム・クルーズ主演/キャメロン・クロウ監督・脚本『ザ・エージェント』

姉の家から帰ると相方が炊事していたんだけど、大クシャミとハナミズの洪水。昨日の夜遊びで風邪を引いたんやなと思ったのだが、風邪よりも花粉症の症状のようだ。お昼の天気予報で「今日の花粉は特別多い」と言ってたし、わたしがひどい花粉症になったときの症状に似ている。

それなら映画でも見て呑気に過ごそう、トム・クルーズの笑顔で癒されようと『ザ・エージェント』(1996)を選んだ。

ジェリー(トム・クルーズ)はエージェント事務所の腕利きの社員だったが、突然仕事の思想性に目覚めて独立する。一緒にやろうとオフィスで呼びかけたが全員無言。その中で経理事務のドロシー(レネー・ゼルウィガー)だけがジェリーの考えに賛成して一緒に退社する。いままでジェリーが担当してきたスポーツマンたちは会社側について、彼のクライアントはアメリカンフットボールのロッド(キューバ・グッディン・ジュニア)一人になってしまう。ロッドはまだ世間に知られていない選手だ。
ジェリーの奮闘とドロシーの純情。ドロシーの息子が可愛くて達者で楽しい。保父がジェリーにジャズのテープを渡したのがおかしい。細部までこだわりがある。
ロッドが最後に大試合で頑張りスターになる。ジェリーの努力が報われた。

トム・クルーズ大好き。最近は見てないけど『トップガン』からずっと見続けてきた。『レジェンド/光と闇の伝説』はレーザーディスクを買った。『カクテル』の笑顔が好き。『遥かなる大地へ』のアイルランドの若者がよかった。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』は美しすぎ。『アイズ ワイド シャット』好き。

掃除嫌いの洗濯好き

掃除は怠けるが洗濯物が溜まっているのには我慢できない。雨が降ると1日くらいは置いておくが、2日目になると洗濯機に放り込む。降り込んだ雨で濡れないようにベランダの内側に干す。空気が湿っているから乾かないけど。そのあとは室内干しで狭い部屋がもひとつ狭くなる。でも洗濯物なら許せる(笑)。

昨夜は雨が上がったので洗濯機をかけて、安心して本を読んだりブログを書いているうちに干すのを忘れていた。
ツイッターに「雨が止んで雲が切れてきた。風もおさまったみたい。さあ洗濯しょ。」と書いたのがミクシィに転送され、Uさんが「これを読んで、わたしも洗濯しました。・・・」とコメントを入れてくれた。それを読んだわたしは「洗濯機を動かしただけで干すのを忘れてた。これから干します。ひひ」と返信してあきれられた(笑)。
夜中過ぎだったけど干してから寝て、今日の夕方にはほとんど乾いていた。明日は朝から出かけるのでまたさっき洗濯して干した。明日の夕方に帰って来たときは乾いているだろう。

今日は夕方に嫌いな掃除をした。掃除するのは嫌いだが、した後は気持ちよい。

サラ・ウォーターズ『荊の城 上下』

サラ・ウォーターズの作品をぼちぼち読んでいる。
長編小説は全部で6冊。1作目だけが訳されていない。あとの5冊は中村有希訳で創元推理文庫で出ている。
(1) Tipping the Velvet (1998)
(2) 半身 (1999)
(3) 荊の城 (2002)
(4) 夜愁 (2006)
(5) エアーズ家の没落 (2009)
(6) 黄昏の彼女たち (2014)

『半身』が未読。『夜愁』はだいぶ前に図書館で借りて読んだ。これから『半身』とともに買って読むつもり。
このブログにはいまのところ『黄昏の彼女たち』だけしか感想を書いてない。

『荊の城』の感想。
19世紀のロンドンの下町、持ち込まれた盗品などの故買で稼ぐイップス親方のもとで、捨て子のスウは養母サクスビー夫人に育てられて成長した。サクスビー夫人は捨て子や思わぬ妊娠で生まれた子供を預かって育て、子どもの欲しい人に売っていた。
スウはすばしこくスリやひったくりが得意な少女に育った。
ある日、古い知り合いの紳士を気取るリチャードがやってきて仕事を持ちかける。ブライア城に入り込んで、令嬢と結婚して全財産をせしめる計画である。スウにはその計画がうまくいくように召使として同行し手助けしてほしいという。財産をせしめたら令嬢は精神病院に入れてしまう。スウには礼をたっぷりやる。

令嬢は叔父とたくさんの召使と大きな城で暮らしているがほとんど幽閉状態である。スウはすぐに令嬢のモードに取り入るが、その孤独な生活に同情してしまう。このままでは精神病院に閉じ込められると教えてもモードは逃げるとは言わない。
精神病院に連れ込むために男たちがやってきたが、令嬢として連行されたのはスウだった。モードとリチャードは最初から、結婚を前提の遺産を手に入れるためにスウを犠牲にするつもりで計画を練っていたのだ。
スウはモードとして精神病院に閉じ込められる。
きつい病院生活、そして脱走し、ロンドンにもどる。

スウの出生の秘密、モードと叔父の間の秘密の生活、スウが慕っているサクスビー夫人の秘密、そして、スウとモードとの愛はどうなるのか。
ディケンズを思わせるロンドンの下町の生活。公開絞首刑のシーンもあり。
(中村有希訳 創元推理文庫 上下とも940円+税)

今日は昔の仲間と

わたしの1970年代前半はジャズの時代だった。77年頃に突然パンクに目覚めて遊ぶ場所が変わっていった。ジャズ喫茶からディスコへ。遊ぶ仲間も変わって、おしゃれな男子、かわいい女子と仲良くなった。
その時代の友だちで東京へ行ったが連絡を絶やさないでいた2人、MちゃんとKちゃんが久しぶりに大阪へきた。それぞれ家族と過ごしたあと、今日新幹線に乗る前に梅田でということでお昼頃に紀伊国屋前で会い、新阪急ホテルのティールームで2時間ほど4人でしゃべってきた。

電話でよく話しているし、毎年クリスマスプレゼントももらっているけど、会って話すと楽しさいっぱい。40年になろうかという付き合いで、Kちゃんとは東日本大震災のあと夫婦で大阪に来たとき会っているが、Mちゃんとは10年ぶりくらいかなあ。
45歳になってできた息子さんが中学生になるそうで、月日が経つのが早いのをつくづ感じた日であった。

2人と別れて久しぶりに梅田へきたからとシャーロック・ホームズへ。なんと夜の営業までの休憩があるのを失念していた。それではと今井でうどんを食べようと難波へ出たら定休日、ついてない。難波、道頓堀はすごい人出で入れるお店がなさそう。スタバなんかすごく並んでいるし派手な店には入りたくないし。
疲れた足を引きずって御堂筋を北に向かってブルックリンパーラーへ。ここは広くていい。静かで落ち着いて過ごせた。ビールもうまかったし食べ物もうまかった。