サラ・パレツキーさんの来日とVFC

「サラ・パレツキーさんは来週来日」と早川書房編集部員のかたのツイッターにあった。知っているとはいえ、いよいよだなと思う。関東在住のヴィク・ファン・クラブ会員Sさんは早川書房のミニトーク&サイン会、日本ペンクラブの講演会、その前に会員どうしでランチでミーティング、そして関西にもきはる。いまごろどきどきしてるやろな。

サラ・パレツキーさんに歓迎のメールを出したら返事をくださって、15年前に大阪で会ったときのことを忘れていないとあった。あのころはVFCができて3年目でいつまでやるかなと思っていたのに、ずっとやってて来年で20年ですよ。今月ひとり新入会があったので、まだまだ頑張らねばと思う。書く人が増えて会報のページ数が増えてる。

ご入会希望のかたは当ブログの「kumikoのプロフィール」にいくと「入会ご希望のかたは、こちらへ」というのがあるので、クリックすると「届けっメール」が出てきます。

サラ・パレツキー講演会の報告に感動

9月23日にあった日本ペンクラブでのサラ・パレツキー講演会の感想を、ミクシィの「サラ・パレツキー コミュニティ」の書き込みで読んだ。すごくきちんと聴いての報告と感激に心打たれた。コミュに参加している女性たちが、尊敬する作家の言葉を伝えたいという気持ちで真面目に書いているところがすごい。きっと新聞や雑誌に有名人が感想を書くだろうけど、もうそんなものは読まなくてもいい。

ヴィク・ファン・クラブが発足した19年前にはパソコンはあり、翻訳者の山本やよいさんがヴィクのことが出ていると教えてくれた〈パソコン通信〉の「ミステリ会議室」におそるおそる入った。結局、そこはしっくりこなくて、会報をつくるためにタイピングの練習をしたり、ソフトの使い方を覚えたりのほうに精を出した。

阪神大震災後にインターネットをはじめた。そして掲示板で発言することを覚えた。ヴィク・ファン・クラブのサイトを作ってから何年か後に掲示板「VFC BBS」をはじめた。覚えてくださっているかたもいらっしゃると思うが、大もめしたり、けったいな人が入ったりのド派手な掲示板だった。わたしのネット経験を豊かにしてくれたといまは感謝している。

ミクシィについていろいろと言われているけれど、「サラ・パレツキー コミュ」についてはありがたく思っている。ここで知り合った人が語り合える友になり、ヴィク・ファン・クラブの会員になり、親友にもなった。

サラ・パレツキーさん来日情報

今月の後半にサラ・パレツキーさんが来日されます。
早川書房主催のミニトーク&サイン会と日本ペンクラブの講演会のお知らせ、来日にあわせて出版された本を紹介します。
2010年9月22日(水)18:30〜20:00
場所:MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店(東急百貨店本店7階)特設会場
定員:先着50名(整理券を持参の方)。入場:無料
整理券:9/8(水)よりサラ・パレツキーの8月、9月刊の新刊3作品(『サマータイム・ブルース』『ミッドナイト・ララバイ』『沈黙の時代に書くということ』)いずれかをお買い上げの方、先着50名様。メインカウンターにてご予約承ります。また、電話でもご予約いただけます(TEL:03-5456-2111)
2010年9月23日(木・祝)16:00〜17:30 早稲田大学大隈講堂○サラ・パレツキーさんのヴィク・シリーズ新作「ミッドナイト・ララバイ」(原題HARDBALL)9日発売されました。あいだに「ブラッディ・カンザス」があるので、ヴィクのシリーズは「ウィンディ・ストリート」から4年目になります。
(山本やよい訳 ハヤカワ文庫 1100円+税)

○サラ・パレツキーさんのエッセイ「沈黙の時代に書くということ—ポスト9・11を生きる作家の選択—」も併せて発行されました。ミステリマガジンに連載されたものに、日本向けに新章「拷問とスピーチと沈黙」が入っています。
(山本やよい訳 四六判上製本 1800円+税)

大阪観世会定期能

ずっと昔から大阪能楽会館で行われている「大阪観世会定期能」の入場券を兄からもらって行った。30年くらい前には3年くらいは毎月行っていた。お気に入りの演者は大槻文蔵さん、生一知哉さん、梅若猶義さんと覚えているくらいに、毎月一番前で見ていたものだ。よく居眠りしてたから舞台からまた寝てると思われていないかと心配だった(笑)。

自営業になって土曜日が休めなくなったり、きょうだい不和があったりしてだんだん行かなくなった。最近は細野ビルでのTTRの会の公演に3回行って、能はええなぁと改めて思った。日本の男には黒紋付と袴がよく似合う。

今日は梅田からの道を間違ってしまった。だって梅田はずいぶん変わってるもん。かなり行ってからイケメンの青年に道を聞いたら行き過ぎてると笑われた。もどって曲がったら懐かしの能楽会館があった。

すぐに仕舞「野宮」がはじまった。次が大槻文蔵の能「俊寛」だった。暑い道を歩いてきて涼しいところに座ったので心地よく眠ってしまい、目が覚めたら舟は出て行き、俊寛が嘆いているところだった。大槻さんの俊寛の最初と最後しか見ていない。出だしの明るい顔と、最後の絶望の顔と同じ面なのに全然表情が違う。

会場がだんだん寒くなってきた。見渡すと膝掛け毛布をかけている人がたくさんいる。用意がいいなと思ったら、同じチェック柄である。どうやら貸し毛布らしい。能衣装を標準に冷房温度が設定してあるのかな。仕舞が終わり狂言「鳴子遣子」になったので外に出て温まった。
最後は能「安達原」でシテの演者が変わったと貼り紙があったのだが、お名前を忘れてしまった。みちのくの安達原で阿闍梨と山伏が山道に行き暮れて泊まった山家の女主人が実は鬼で、見るなと言われた寝室に人骨がいっぱい。鬼の姿になった女にたいして数珠で対抗する。

今日は小物に惹かれた。俊寛が出てきたときに持っていた小さな提げるカゴ。「安達原」の老婆が糸を紡ぐ道具。あんなん欲しい。

SUB40周年ライブ!

SUBは今日で40周年を迎えた。残念ながらわたしはそのころは天王寺にあったジャズ喫茶に入り浸っていてSUBを知らなかった。それから37年ばかり経って(すごい年月やなぁ)、エディ・ヘンダーソンのライブのときにはじめて行って、それから出入りするようになった。何度も書いているけど、1961年の「アート・ブレーキーとジャズ・メッセンジャーズ」のコンサートへ行った実績(?)がものをいっている。

たまたま今日は金曜日で、15年続いている西山さんと竹田さんの演奏日だ。早めに出かけたら昔なじみらしいお客さんがいていつもと雰囲気が違っていた。Tくんと若い女の子としゃべっているうちに客が増えてきた。わたしらの話題はアメリカ文学のこと、ふふ。

西山満さんのベースと竹田一彦さんのギターに弦巻潔さんのドラムが入って演奏がはじまった。何曲かあとからは滝川雅弘さんのクラリネットが入って雰囲気が変わる。クラリネットの音を聴くのは久しぶり、懐かしいような安らぐ音にうっとりした。
休憩後にはまた客が増えてぐっと雰囲気が温かくなった。ピアノが3人(歳森彰さん、蓼沼ゆきさん、松本ゆかさん)入れ替わり、ギターが竹田さんから塩本彰さんに替わり、ベースは西山さんから山本学さんと財盛弘さんに替わり、ヴォーカルは女性2人(城下麻弥さん、春田久仁子さん)と楽しい口トランペットもある男性ヴォーカル、ISAさんが順番に加わった。なんかもう音をもっともっとと食べてお腹いっぱいになってしまった感じ。

最後の西山さんと竹田さんのデュオが穏やかに心に沁みた。そしてギターの最後のひとふしが泣かせてくれた。この音を聴けたから今夜はしあわせ。
西山さん、おめでとうございます。
竹田さん、ありがとうございます。

ピーター・テンプル「壊れた海辺」

知らない作家の本を読んでいこうと思って図書館で借りた。分厚い文庫本で文字がびっしり。著者のピーター・テンプルは1946年南アフリカ生まれ、オーストラリアに移住し記者・編集者生活を経て作家になった。たくさんの著作がありオーストラリア・ミステリ界の第一人者だそうだ。

舞台はオーストラリアの南方に位置するヴィクトリア州の田舎町ポート・モンローと少し都会のクロマティ。ジョー・キャシン上級部長刑事は丘の朝の散歩を楽しんでいた。曾祖父の兄弟が植えた樹々が聳えているところを2匹の犬が狩りをしている。そこへ納屋に浮浪者がいると通報があった。追い立てると出てきた男レップは50代くらいで身分証もなにも持っていないという。クロマティへ行くというので、お金をいくらか渡そうとすると、「おれを人間扱いしてくれたからそれだけでいい」と答える。結局、キャシンはレップを連れて帰りベッドを提供し、自分の土地の大工仕事や牛の世話を頼むことになった。

ある秋の朝、ブルゴイン家の屋敷の主がひん死の重傷で倒れているのを家政婦が見つける。州警察直接の指示のもと、キャシンはクロマティ署といっしょに捜査にあたる。被害者の時計が州を越えてシドニーで売られたという情報が入る。時計を持っていったのはアポリジニの少年たちだった。そしてそのうちの一人はアポリジニ活動家ウォルシュの甥だった。少年たちを穏便に取り押さえるのに失敗したキャシンは、アポリジニ、マスコミとあらゆる方面から攻撃される。

アポリジニが絡んだ事件はアポリジニ出身の警官を当らせるという方針で、アポリジニ出身の警官ポール・ダウがキャシンの相棒となる。二人がだんだん信頼関係を築いていくところがいい。
意識不明だったブルゴイン家の当主が亡くなり、海を臨む土地の売却問題が浮上してくる。
上司たち、キャシンの複雑な家族問題、そして一夜のつき合いだけで他の男と結婚した女性の子どもが自分の子だと思う気持ち。

社会問題と個人の問題の狭間で苦しみつつも、信じられる上司や友人、そして恋人も得るキャシンがきっちりと描かれている。
【「たしかに、おれは渡りの労働者だ」レップはキャシンと目を合わさずに言った。「金をもらって人がやりたがらない仕事をやる。州から金をもらって、金持ちの財産を守っているあんたらと同じだ。金持ちに呼ばれれば、あんたらはサイレンを鳴らして駆けつける、貧乏人が呼ぶと、順番待ちの名簿があるからちょっと待て、そのうちにと軽くあしらわれる(中略)「おれたちの違いはな、こっちは仕事にしがみつく必要がないってことさ、ただ出て行けばいい」】
(土屋晃訳 ランダムハウス講談社文庫 950円+税)

ナイジェル・ニコルスン「ヴィタ・サックヴィル=ウェストの告白 ある結婚の肖像」

先月Sさんに送る荷物の中にこの本を入れたのがもうもどってきた。すぐに読み出してすぐに読み終わったのね。読む人が読めばすごくおもしろい本なのだ。
イングランド屈指の名門に生まれたヴィタ・サックヴィル=ウェストは外交官のハロルド・ニコルソンと21歳で結婚、そのかたわらに50冊以上の小説・詩・伝記などを書いた。ずっと日本には翻訳がなく知られていなかったが、映画化されたヴァージニア・ウルフの「オーランドー」のモデルとして知られるようになった。

本書が出たのは1992年(原作は1973年)で18年も経っている。わたしは早くから国書出版会から出た「オーランドー」を読んでいたので広告を見てすぐに買った。読んでびっくりというか喜んだというか、いまも大切にしている本の一冊である。

名門中の名門である夫婦の私生活を息子が包み隠さず書いているところがすごい。夫妻には子どもが二人いたが、夫婦ともに同性愛者だった。そして二人は愛し合っていた。だがお互いに同性の恋人をつくる。

暑くていけません。いつか涼しい日にこの続きを書くことにする。
(栗原知代・八木谷涼子訳 平凡社 3200円)

魔女会議と深夜のラーメン、はぴまん(Happy Monday!! DJ ageishi)

最近つき合い出した若い女性の友人たちが「くみちゃん、カワイイ」と言ってくれる。それとは別な子にお話したいと言われてお世辞かと思っていたら督促されて、では本気なのかとあわてて返信した。
というわけで、今日はパノラマで魔女会議したのであった。メールをくれたMさんと手芸部のHさんと最近何度も会っているKさんも加わって賑やかなことであった。Mさんの亡き母上がサラ・パレツキーファンだったそうで、ヴィクシリーズの話もあり、日本文学のあれこれ、そしてマルグリット・デュラスの本と恋人のことなど。好き嫌いが似ているのもうれしい。やっぱり恋愛の話があったが、その人の恋物語の参考にわたしの経験を引き出そうと頑張られた(笑)。

みなさんビールを飲んでいるのに、わたしはジンジャーエール2本とコーヒー飲んでお相手。途中から相方がきて話に加わったり、DJブースと反対側に写し出されている映画を見たり。コッポラとルーカスの映画だという「ポワカッツィ」の映像がすごくよかった。
DJ ageishiさんともお話できてうれしかった。若手DJの音も良かった。

夜中を過ぎたらお腹が減ってきたのでラーメンを半分コして食べた。濃厚でまだお腹に残っているのでもう少し起きていよう。

バースディ・ディナーはたこ焼き屋

大阪人のくせにたこ焼きを食べることがめっそない。年に一度あるなしである。アメリカ村の南のはずれにある〈味穂〉でたこ焼きを食いたいと思いつつ何十年(笑)。いや、ほんま、憧れの店だったんだってば。
あそこのバー、あそこのカフェと行きたいところをあげていったら、ほんまに行きたいのは〈味穂〉で落ち着いた。
結局12時過ぎて出かけたので30分近く歩いて1時ごろだったか。それでも夕方の飲みタイムのような混みかたで、時間の観念を失うくらい。
生ビールをたのんで、たこ焼き、どて焼き、餃子を食べた。陽気な客たちのざわめきが心地よい。どんどん注文して食べる様子が気持ちよい。

帰り道はさすがに足がつって三角公園で一休みした。無事に家まで歩けてほっ。シャワーと着替えで第一段階、相方がまたもや出かけたあとで半身浴と熱い紅茶で第二段階。そして、いま。あいだにちょっと絵本を見てた。
お湯がもったいないし、また汗かいたし、もう一度お風呂に入って寝よう。

アン・クリーヴス「白夜に惑う夏」(2)

調べた結果、仮面の男は自殺でなく殺されてから吊るされたものとわかる。イングランドから来て、港で船から降りる人たちに画廊のパーティ中止のチラシを配っていたのが彼だ。誰も彼のことを知らない。
前回と同じくインヴァネス署からやってきたテイラー主任警部が指揮をとることになった。テイラーは捜査の中心になるつもりだが、いらいらしながらも地の利があるペレスを尊重して行動する。
ケニーは仮面を外した男の顔を見て兄のローレンスでないことを確認した。ローレンスはベラに夢中だったがふられたので出て行ったものと思われている。イングランドへもどったテイラーのしぶとい調査で仮面の男の正体がわかる。
二人目の犠牲者を見つけたのもケニーだった。羊が岩棚で身動きがとれないでいるのを助けたあとに、視線を下にすると岩にぶつかってロディが死んでいた。

ペレスはフランの家で娘のキャシーに本を読んで聞かせる。この子の父親ダンカンは彼のかつての親友だった。そのわだかまりを超えて、いまのペレスの望みはフランとキャシーといっしょに家族を作ることだ。

ロディの死を捜査していると携帯電話がないことがわかり、クライマーに頼んで崖を探してもらうことになる。クライマーのカップルが崖をくだって岩棚をひとつひとつ探すが、洞穴で見つけたのは人骨だった。もっと昔に別の殺人があったのだ。
テイラーとペレスと部下の緻密な捜査の結果、ついに三つの殺人事件がつながっていることがわかり、殺人者がだれかがわかる。

とても緻密なミステリであると同時に、白夜のシェトランド島に住む人たちの気持ちがよく描かれている。暗くならない夜って想像できないけど、眠れない夜の憂鬱な気分が伝わってくる。イングランドから来たテイラーがペレスを見ていらいらすることで、シェトランドのペレスの気質が伝わってくる。
〈シェトランド四重奏(カルテット)〉あと2作訳してほしい。
(玉木享訳 創元推理文庫 1260円+税)