きくらげの天ぷらは〈さの半〉だった

おとといの「カンタン菜食ご飯」を書いてからツイッターに「大根おろしの食べ方をなにか考えよう」とツイートしたら、「なめこおろし」を教えてくれたひとが二人いた。〈ミクシィのつぶやき〉では「天ぷらに大根おろし」と教えてくれたひとがいたので、紅生姜の天ぷらを買ってくると返信。続いて「きくらげの天ぷら軽く焼いて大根おろし^^美味しいですよ〜^^*」とあった。
わが家は最近天ぷらと無縁なので「きくらげの天ぷら」と言われてもぴんとこなかった。キクラゲを揚げたらうまいのかな、なんてナンセンスな反応をした(笑)。いまは魚とキノコを食べないので、天ぷら(薩摩揚げのことを大阪では天ぷらという)といわれても、普通の天ぷらのことかと(笑)。

そこで思い出したのが〈さの半〉の天ぷら「キクラゲ入り」である。〈さの半〉は道頓堀にあって、池波正太郎がうまいとほめていたお店である。道頓堀までわざわざ買いにいく値打ちのある味だった。キクラゲ入りもゴボテンもおいしかった。かまぼこもおいしかった。鱧の皮もここのはものがいいからキュウリもみがうまかった。
閉店して5年以上経っている。あの味を知っているひともだんだん減っていく。

『ハリウッド・バビロン』と『女優フランシス』

雑談していてロボトミーの話になった。あっ、ロボトミーの手術した女優の話あったやんと、取り出したのがケネス・アンガーの「ハリウッド・バビロン」(1978年)。ハリウッドの話題になると引っ張り出していた本だが、ここんとこご無沙汰してた。4月に開かれた関西翻訳ミステリ読書会ではジェイムズ・エルロイの「ブラック・ダリア」が取り上げられて、翻訳本の編集者によるレジュメに本書が紹介されていた。この本を知っていたのはわたしだけだったので、おおいに自慢した。

フランシス・ファーマー(1913年生まれ)は美しい女性だった。1935年にパラマウント社は「新しいガルボ」と飛びついて7年契約を結んだ。しかし金以外はハリウッドのなにもかもが嫌いという言動が取りざたされ、ささいな交通違反からパトロール警官の無礼な態度への暴行で逮捕される。警察でも裁判所でも反抗的な態度をとおし、まわりに群がったカメラマンを「ネズ公!ネズ公!ネズ公!」と罵倒した。
会社に反抗し徹底的に会社命令を拒否、警察の謀略により逮捕されたあげく、精神病院に強制入院させられ、やがてはロボトミー手術をされる。悲しいことに手術以後はおとなしくなったという。

「女優フランシス」(1982)はフランシス・ファーマーの生涯を描いた映画である。フランシスをジェシカ・ラング、唯一の理解者役がサム・シェパード。梅田コマ劇場地下のコマシルバーで見た記憶がある。強烈な映画でもう一度見るのはかなわんなと思ったくらいだ。

「再稼働反対」と岩上安身さんのIWJ

昨夜は大飯原発の動画を見ているうちに外が明るくなってきた。あたまがぼやけてきて「再稼働反対」の繰り返しが耳にこびりついている。ぬるいお風呂に入って友人が送ってくれた絵本「エミリ・ディキンスン家のネズミ」を眺めてから寝た。おかげでぐっすりと昼まで寝られた。大飯では交代して仮眠しているくらいだろうに申し訳ない。

起きるなりIWJの中継を見始めて用事以外の間はずっと見ていた。男性の友人が叫んでいるところも女性の友人が踊っているところも見た。警察が介入する緊張感みなぎるときには視聴中の人は26,000人に達していた。これだけの人数が視聴しているのだから目の前でへんな介入はできないよね。デモ側は見事に非暴力を貫いていた。
深夜1時前に抗議行動は終了することになり、最後は一本締めの粋な〆。いま名残惜しくも片付け中。
これで終わるかと思いきや、また集まって「再稼働反対」を繰り返している。山本太郎さんから電話メッセージが入った。ちょっと違和感あり。現場にいる者とよそにいる者の差を感じた。まだまだ残った人たちがドラムと声を轟かせている。

ネットニュースによると「関西電力は今日1日、大飯原発3号機の再稼働に向け原子炉を起動した。関電側は陸路をあきらめ、作業員約500人と経済産業省原子力安全・保安院の検査官数人を船で原発内に送り込んだ。」そうである。ということで再稼働はされてしまった。

日本のマスコミには報道されなかったデモが、ドイツやイギリスの新聞やウェブサイトで紹介されているそうで、ツイッターから記事へリンクされている。

「IWJの中継を目撃してくださっている13万人を超える人へ。目撃した事実をどうかさらに多くの人にお伝えください。」と岩上安身さんが書いておられる。
合計視聴数が1時過ぎには40万人を超えた。
いまアップしようとしたら2時前。みんな片付けて去って行くところで中継が終わった。合計視聴者数は417,000を越えた。

極私的な話と大飯原発の動画

姉の家に行って帰ってからIWJ_FUKUI1の映像をずっと見ながらメールやツイッター読んでいる。姉とは1カ月ぶりだったのでおしゃべりざんまい。相方が鉢植えの植え替えをしていたら雨が降り出したので、切り上げてお風呂に入りテレビで阪神-ヤクルトの試合後半を観戦。年に一度か二度見るだけだから阪神が勝ってよかった。神宮球場なのに阪神ファンが多いのでおどろいた。平野選手は大人になったなあなんて。鳥谷選手の貫禄を見よ、なんちゃって(笑)。独居の姉の慰問なんだけど、自分が楽しんでいる。ご飯のあとには「八丁堀の七人」も見て大好きな村上弘明を楽しんだ。

ああ、こんなこと書いているうちに、実力行使がはじまっていた。深夜なのにIWJ_OITA1と合わせて8000人を超える視聴者がいてどんどん増えている。外国語のツイートもある。関電側の暴挙が明らかになっていくのがわかる。女性が「原発止めてほしいだけやねん」と何度も言っている。「原発止めてくれたらすぐに帰ります」という男性の声もする。市民側はみんな冷静で女性たちは警官たちを言い負かしている。年配の男性の説得力のある話が続き、若い警官たちのまばたきが増えている。
311以来、いろんな場面ですごい人が出てくるのにおどろいているが、今夜もこの方が突出した力量を見せてくれた。
それにしても、関電幹部や政府のえらいさんがのうのうと眠っているときに、若い警官たちと止むに止まれず自腹を切ってここに来た人たちが向かいあっているのはおかしいと思う。年配の方は説得力ある会話を続けている。女性たちは寒そうにフードを立ててにこやかである。雨が降っているようだ。

関電本社前の再稼働反対大規模抗議行動に参加

4月にはじめたときは20人くらいだったそうだが、先週は1500人で今夜は2200人が集まった。関電前は狭いし横の道も狭くてすぐに食べ物屋さんなどの店舗が並んでいる。ビルの二辺を取り囲む敷地にこれだけの人数が乗っているのだからすごい。

相方は最初からその場にいたいと自転車で先に出かけているので、わたしは少しあとから出発。今日はバスで行ってみようと大阪駅前行きのバスに乗った。堂島大橋で降りて国際会議場のほうへ渡ってまっすぐに行くとロイヤルホテルである。すっごい清潔で広々とたすっきりした道だ。どんどん歩いていったら国際美術館が見えて、叫ぶ声が響いてきた。
足を速めて行くと玄関前あたりにもたくさん集まっている。いつもはこの角を曲がった通用口があるほうにいて、7時半になって拡声器使用をやめた時点で玄関前方向に移る。それが今日は敷地いっぱいの人出である。

みんな「再稼働反対」「再稼働反対」と叫んで叫んで飽きることがない。いっしょに叫びながら移動して前のほうに行ったが、立っているのがしんどくて後方へもどった。植え込みの縁の石に腰掛けて休憩していると、前にいた赤い服を着た女子がトラメガなしの生声でコーラーをやりはじめた。すごい元気な声にこれ幸いと和して叫ぶ。
どんどん人が増えてくる。知り合いが前を通っていく。また立って前のほうに行きかけるとあちこちで笑顔が呼び止めてくれた。友だちの友だちは岡山から来たんだって。和歌山から来た友だちはここから仲間とともに大飯へ行く。福岡へ母子疎開されている一家も来ていて明日は大飯に息子を連れて行くという。

7時半で抗議行動は終了。あちこちで会話の輪が広がる。玄関前ではまだ叫びが続いているのでそちらへ移動。30分ほどいて帰ってきた。
帰ってからはツイッターで東京の情報などを読む。官邸前に15万人集まったそうだ。すごいなぁ。広瀬さん岩上さんたちのヘリからの映像は明日見よう。

レジナルド・ヒル『探偵稼業は運しだい』

レジナルド・ヒルのダルジール警視ものとは別のシリーズで私立探偵ものである。1月にSさんから貸していただいて読んだ「幸運を招く男」が1冊目で、本書は3冊目。表紙を見てコージー・ミステリと間違ったくらい明るい表紙だ。
1冊目はアメリカに例えればデトロイトの感じ。ジョー・シックススミスは工業町ルートンで旋盤工をしていて失業し、これならいけるかと私立探偵事務所を開いた黒人の独身男。冴えないけれど愛嬌がある。お節介な伯母さんと彼女に紹介されたペリルとうまくいきそうだったが。

今回は季節が夏というだけでなく全体にカリフォルニアの雰囲気である。
ひまな午後をジョーが事務所でまどろんでいると依頼人が現れる。〈若き金髪の神〉30歳になるかならず、長身で少年ぽいハンサムで髪は淡い金髪で濃い金色に日焼けしている。金がかかった服装をしているが態度がすがすがしい。
クリスチャン・ポーフィリはウッドパイン警視に紹介されてきたという。相談に行ったら警察の扱う仕事ではないからジョーのところへ行け、彼はこの仕事にぴったりだといったそうだ。「ええと、現在わたしは非常に忙しくて・・・」とジョーがいうと、「もちろん、あなたがひっぱりだこだということは承知している・・・」と4枚の50ポンド札を置いた。そして明日〈ロイヤル・フー〉で待つという。
ルートンにはクラブは多いが、ジョーは〈ロイヤル・フー〉を知らない。フーというのは〈ドクター・フー〉かというくらいに。

こんな出だしでいくからどんどん先を追って読んでしまう。殺されそうになるし、女性にもてもてだし、私立探偵ものの醍醐味をこれでもかと盛り込んで楽しんでいるヒルさんである。
(羽田詩津子訳 PHP文芸文庫 857円+税)

サラ・パレツキー『アンサンブル』(3)

第三部「ボーナス・トラック」には去年(2011年)の11月に刊行されたアンソロジーのために書かれた作品「ポスター・チャイルド」が入っている。ヴィク・シリーズでなじみのフィンチレー警部補が出てくるのがうれしい。

湖畔には霧が立ちこめていてジョギングやサイクリングの連中が前を通っているのに気づかれず、死後1時間も経ってから男の死体が湖畔のベンチで発見された。男は顔面を強打されて眼球がつぶれていた。口からはみ出ているのは中絶反対のチラシを丸めたものだ。
フィンチレー警部補が連絡を受けたときはまだ被害者が有名人であることがわからなかった。それでベテラン刑事ではなく、怠け者のビリングズと新米のリズ・マーチェクの二人組を現場へ行かせる。

被害者は中絶推進派を激しく攻撃しているカルヴァーだった。中絶に反対するアメリカ国内の教会の潤沢な資金を後ろ盾にし、リベラルなクリニックにヘリから爆弾を投下したり、リベラルな考えのクリニックのスタッフの子どもたちをつけまわすなどの活動を続けている。
今回も活動中でドクターがタクシーから降りて船に乗るときに、連れていた子どもに中絶反対のチラシを渡させる。そのチラシをドクターはカルヴァーの顔に投げ返した。ドクターは警察に連れていかれる。

リズは祖父母に育てられたユダヤ系アメリカ人で、7年間パトロールの仕事をしてから刑事試験に合格した。祖父は彼女を〈アナーキスト刑事〉と呼んでいる。
懐かしきフィンチレー警部補はリズが単独行動をとったときに「きみがV・I・ウォーショースキーになったつもりで・・・」と注意する。笑えるシーンだ。リズはそのときヴィクを知らないのだが(もしかして次の長編にリズが出てくるかも)。
アメリカの現在の状況がわかる一編。
(山本やよい訳 ハヤカワ文庫 900円+税)

大阪・関電本社前の再稼働反対の大規模抗議行動

いままで相方が関電前抗議行動に参加し、わたしは反原発デモに参加となぜか役割分担してた。お互いに両方参加の元気がないからだが、ふたりともしゃべりなので情報を共有できていた。でも、たまにはそっちにも行ってみよう。

毎週金曜日に行われている関電本社前の抗議行動は夕方の6時から8時まで行う。6時から7時半まではマイクを使って社員が帰っていく通用口で、その後はマイクなしで正門前でと決めてある。
わたしが今日行ったのは、大飯原発再稼働が刻々と迫っていること、北九州市の瓦礫受け入れ問題に対しても意思表示をしなくてはと思ったからだ。

地下鉄の四つ橋線の肥後橋下車、北口を出て左折して歩くと数分で到着。このあたりのビル群は資本主義の牙城という感じ。でかくて高いビルが林立しているが、特に威圧的にでかいのが関電ビルだ。
その前に数十人の人が立っているところに参加。デモで顔見知りのFさんがいたので横に立つ。相方は自転車で先に来ていた。交代でマイクを持って意見を述べる。その合間にシュプレヒコール。相方は最初は紙に書いたのを読んでいたが、慣れてきたので原稿なしでしゃべっている。話が切れたらわたしもしゃべってみようかなと思ってたが若い人たちがたくさん語られた。どんどん人が増えていく。あとで知ったが、毎日放送が取材に来ていて「NEWS 23」で放送されたようだ。

社員が広い通用口から帰って行かれる。みなさんなぜか前を向いて早歩きである。警備員がこっちを向いて3人立っていて、職員らしき3・4人も少し離れて立っている。

徒手空拳のわれらは声だけしかなくて、その声を張り上げて「ゲンパツ反対」を叫んでいる。本社前に場所を移して、見上げると細い三日月が見えた。30分間をマイクなしで叫ぶ。人間の声って強くて美しい。

帰りは歩くことにして、土佐堀からうつぼ公園を通った。バラ園は花盛りでうるわしい香りが漂っていた。ベンチでひと休みして立ち上がったら横の道から近所のFさんご夫妻が子ども連れで通りかかった。彼らも関電前の帰りだった。内部被曝のことなど立ち話した。

晩ご飯はスパゲッティやら野菜料理を食べてビールを飲んだら眠気がおそってきて4時間の爆睡。起きてお風呂に入ってこれを書いた。

「6.24 イノチアクション@大阪」に参加

先日デモで知り合った女性から「わたしらがやるデモ」ということで誘われた。<a href=”http://inochicore.web.fc2.com/setsumei.html”_blank”>「6.24 イノチアクション@大阪」</a>というユニークなデモになるらしい。
〈6月24日(日)元町中公園に13時集合。当日にお好きなブロックへどうぞ!→防護服&ガスマスクドラム隊/猫耳部隊/和装(おかみ大作戦)/アート&パフォーマンス/避難者&ベビーカー子連れ/いきもの/フード/アニミズム/フリーブロック〉
わたしが入ったのは最後のフリーブロック。備考欄にこうあった。〈コンセプト無しに、どなたもお気軽にどうぞ。途中参加退場もOK。自由にエネルギッシュにお歩き下さい!!〉その前にある情熱ある具体的備考欄と違うような(笑)。

デモコースは、元町中公園→千日前通りを西へ→なにわ筋で曲がって北上→立花通を東へ→四ツ橋筋北上→長堀通へ→大丸前を通って御堂筋南下→元町中公園ゴール。

わたしのデモ参加は、はるばるきたよ14回目。相変わらず定刻より遅れて到着で挨拶や説明はほとんど終わりに近い。いつものデモよりも多彩でもっと早く来たらよかったな。着物姿や猫の髪型の女性たち、黄色いドラム缶と原発作業服姿の人たちがいっぱい。テントでは小物を売ってたらしいが、買い逃してしまった。あとで動画を見たら東京からのパフォーマーや和歌山からのミュージシャンがいたのがわかった。

順番にデモ隊出発。フリーは最後についた。たいていは一人でやってきた人たちの感じ。一人が肉声で音頭をとってシュプレヒコール。だんだん調子が出てきて元気になってきた。途中からトラメガを持った人が加わってデモらしいコールになってきた。大飯原発再稼働反対!
クラブ友だちのりえちゃんと彼氏が声をかけてくれた。いま来たばかりのようなので、前が賑やかだよと教えたらそのまま前のほうにに入ったみたい。
大丸前で途中離脱したのだが、前のほうを見ておこうと先へ進んだら、いつも会うFくんが幟を持って行進していた。なんとなく安心した(笑)。

今日の参加者は500人と主催者がツイッターに書いていた。あまり照りつけずあまり暑くなくていいデモ日和だったが、〈防護服&ガスマスクドラム隊〉の人は大変だったろう。

地下鉄で行ったわたしは帰りに大丸でおかずを、自転車で行った相方は四ツ橋筋のフロレスタでドーナツを買って帰り、楽しい晩ご飯になった。

酒井隆史『通天閣 新・日本資本主義発達史』読書は佳境に入っているが

小野十三郎の詩から始まって彼の子ども時代からの生き方について書いているのがすごいショック。こんなふうに生まれてこんなふうにお金を使った人だったとは。
そして「通天閣」の話が続いて、将棋の「坂田三吉」の生涯と当時の大阪の状況が執拗なまでに書かれている。坂田三吉の新国劇の芝居も映画も見たことがないが、「明日は東京へ・・・なにがなんでも勝たねばならぬ」はわたしの愛唱歌である。生まれ育った貧乏長屋から少しましなところへの引っ越して次の長屋と話は進んでいくが、それは大阪の低所得者層の生活の場の話でもある。
そこから続いて映画作家川島雄三のこと。彼は無頼派の作家では太宰治と坂口安吾がきらいで織田作之助だけを評価していた。織田の原作「わが町」の映画化の話がある。
長くなるので、結論だけ引用する。
【しかし、「故郷はない」とつねに断言し故郷の根を断ち切っていたからこそ、都市と故郷をかさねている者とちがってより見えてくる「都市的なもの」もあるはずだ。そもそも、歴史のなかで「都市的なもの」を形成してきたのは、この「根を断ち切った」者たちの群れではなかったろうか?】
【課題は、織田作を織田作自身から逃がすことであり、大阪を大阪自身から逃がすことであるように。/足はおもうように動かずとも、そう、それは魂の問題なのだ。】

織田作の作品で読んだのは「夫婦善哉」だけだ。映画もそれだけだ。読まねば。川島雄三監督の映画を見たことがない。見ねば。

そして織田作つながりでその背後にある大阪の街のありようが詳しく書いてある。上町台地や夕陽ヶ丘、あのへんのことはあまり知らない。高津神社で桂文太さんの落語をきき、生国魂神社で薪能を見たことが各一度あるだけだ。地下鉄で降りても右も左もわからん。
20年ほど前に谷町九丁目のカナディアンができたころはよく行ったが、あすこは地蔵坂だったかしら。谷六に得意先があったころは空堀商店街を歩いて帰ったものだが、これも10年以上前。
わあっ、大阪に住んでいて新町と堀江と梅田の一部しか知らないとは。今池はよく知っているといっても30年も前のことだし。
最近は肥後橋と土佐堀あたりがわかってきた、って関西電力抗議集会のおかげ(笑)。デモコースで歩く通りもよくわかってきた。

そしてついに、第4章「無政府的新世界」のタイトルで「借家人同盟」からはじまる社会問題の章になる。

今日の感激した言葉をもう一度!
【足はおもうように動かずとも、そう、それは魂の問題なのだ。】
(青土社 3600円+税)