第20回大阪翻訳ミステリー読書会 『さむけ』ロス・マクドナルド著

早くから課題書が決まっていたのになかなか読めず、というより、読むべき本の中に混ぜて積んだままだったのをようやく読んだ。ロス・マクドナルドの本は70年代になってミステリー読者に返り咲いたころに読み出して夢中になったが、最終的にはたいしたファンではなくなっていた。輝かしくロバート・B・パーカーのスペンサーが出てきて、ジョセフ・ハンセンの調査員ブランドステッターやマイケル・ナーヴァのヘンリー・リオスなどゲイの探偵、そしてヴィクなど女性探偵たちの新鮮さに興味が移った。あちこちで書いたが、目下の興味は北欧の捜査官たちに向いている。

今夜の「第20回大阪翻訳ミステリー読書会」は20名の参加者が熱心に『さむけ』について語り、ロスマクについてそれぞれ感じたところから語っておもしろかった。ベテランの読み手の人を別にして、たいていは今回はじめて読んだ人なので感想も新鮮だ。その感想の裏打ちをするベテラン読者がいるのがいい構図だった。読書会の醍醐味を主催者は味わったと思う。

雨の月曜日に読む、アーナルデュル・インドリダソン『湖の男』

雨の月曜日が憂鬱といっても20年以上通勤してないのでリアルではない。実際は起きてお風呂に入って出来上がっている昼ごはんを食べた。優雅〜なもんだ。そして一度も外に出ずに一日中パソコンと本で過ごした。はじめはパソコン前でツイッターを読んでぼちぼちとリツイート。リツイーターと自称しているが、フォロワーさんたちが勉強させてくれるのが有難い。自分は書くことがないので読むばかりなり。

読書はアーナルデュル・インドリダソン『湖の男』(東京創元社)の二度目。今日は感想を書こうと思っていたのだがまだ書けない。ばたばた読んだので消化不良なのだ。1970年代のアイスランドから東ドイツへ留学した若者たちを描いているのだが、話が現在になると、どの人物がどの学生だったかわからなくなる。自分の70年代を思い出したり。
二度目を読み終えたら整理できるだろう。
アーナルデュル・インドリダソンの4冊目の翻訳なのだが、4冊とも素晴らしい。なんと両方とも訳者が柳沢由美子さん。現在のミステリーの最高峰だと思う。亡くなったスウェーデンのヘニング・マンケルのクルト・ヴァランダー刑事についで本作のエーレンデュル刑事がわたしの尊敬する人。
夜になってからヴィク・ファン・クラブの会報づくりをやった。三分の一くらいまでできた。

本を捨てて捨てて、また買って

押入れに積んである本(ほとんどミステリー)をなんとかしたい。できたらお金にしたいと思ったが、アマゾンの中古本を見たらかなりが1円で買えそう。すこしくらいは値段のつきそうなのもあると思うが、点検するのがしんどい。もう捨てるしかないなと物を捨てるのが好きなわたしは思った。それで部屋の片付けをして本棚を設け、並べたり積んだりできる分を出してそれ以外は捨てる。
女性探偵ものをけっこう集めていたが、出してみるとほとんど忘れている。もう一度読みたいかというのも判断基準にして、どんどんゴミ箱に出していった。まだまだ1/5くらいしかすんでいないけど、ちょっとほっとした。本への愛着があると思ったがそうでもないようだ。身軽になるほうがほっとする。

あんなに好きで出るたびに買って10数冊はあったスペンサーものは4冊になった。すべて持っているのはサラ・パレツキーとドロシー・L・セイヤーズ。ダルグリッシュ警視長もののP・D・ジェイムズ、ダルジール警視もののレジナルド・ヒルが全部揃っている。これは置いとこう。あとは好きな作家の好きな作品を選ぶこと。おっと、ヘニング・マンケルの本も全部あるなあ。アイルランドの尼僧ものも。前途道遠し。

いまいちばん好きなミステリ作家はアイスランドのアーナルデュル・インドリダソン。きれいな装丁の本が3冊ある。さっき最近もう1冊出たのを知って注文したところ。『湖の男』、主人公がアイスランドの首都レイキャヴィク警察のエーレンデュル犯罪捜査官。誠実で確実な捜査官でいまのお気に入り

サラ・ブレーデル『失踪人特捜部 忘れられた少女たち』

このまえ難波のジュンク堂をぶらついているとき目に止まり、北欧の刑事物ならいけるだろうと知らない作家だけど買ってみた。用事の合間に読み出してぼちぼち進んで10日もかかったけどおもしろかった。うまい作品だなと思ったら著者紹介にデンマークの人気ミステリ作家とあった。たしかにうまくて魅力がある。

主人公は新たに失踪人特捜部に配属された女性刑事ルイース・リック。用意された部屋に黒づくめの変わった感じの刑事アイクが入ってきた。ルイースの目線で話が進むので読みやすい。不良っぽいアイクだがルイースにだんだん惹かれていく。

ルイースには結婚を決めていた恋人クラウスが首をつっているのを見た過去があった。彼女はそれ以来独身をとおし、両親を失った子供を養子として育てている。
森でのレイプ事件を調べはじめると、過去の事件も浮かび上がる。ルイースはアイクに最初は違和感を持つが、共同で仕事をするうちに打ち解けだんだん協力しはじめる。
ルイースの友人で元新聞記者カミラも独自の考えて調査をはじめ、目の前にせまった自分の結婚式を放り出して関係者を訪ねてまわる。
第二作が読みたい。翻訳出るかな。
(河井直子訳 角川文庫 1000円+税)

今日買った本は『ハティの最後の舞台』と『侍女の物語』

用事だけすませてまっすぐに帰るのはつまらないので、姉の家からの帰り堂島のジュンク堂へ寄った。大きな本屋に入るのは久しぶり。ふだん行く本屋はクリスタ長堀と東急ハンズ地下の本屋くらいだ。週刊誌と女性誌はスーパーかコンビニで買う。

昨日ツイッターでミステリ評論家2人が褒めていたミンディ・メヒア『ハティの最後の舞台』はハヤカワ文庫の棚の前に立ったら目の前にあった。もう1冊なにか買おうかと本棚の前をぶらついたら、すぐにマーガレット・アトウッド『侍女の物語』があった。この本が翻訳出版されたとき読もうと思ってから何年も経っている。その後も読もう買おうと思いながらミステリ優先で買わなかった。そして最近になって読まなきゃという気分が強くなっていた。帯に「トランプ政権の未来がここにある」と書いてある。ということで今日はハヤカワ文庫を2冊買った。
ロマンスものを1冊買いたかったが、これっというのが見当たらなくてやめた。そのうちぱっと「これっ」というのにぶつかったとき買う。

ハヤカワ文庫の次の楽しみはサラ・パレツキーさんの『FALL OUT』の翻訳刊行です。

『ミステリマガジン』9月号

友だちとミステリの話題でメールのやりとりをしていたら、彼女は『ミステリマガジン』9月号を2冊買ったという。表紙がベネディクト・カンバーバッチなのでファンの人にあげようと思ったそうだ。そしてこの号はコリン・デクスターの追悼号でもあると教えてくれた。コリン・デクスターはいっとき好きで多分翻訳されたのは全部読んでいる。彼女もファンで「よかったね」のやりとりが頻繁にあった。
そんなわけで『ミステリマガジン』7月号買おうと思っているのに買いに入った本屋に見当たらず、アマゾンに頼もうかと思っていた。そのうち買わなくても貸してもらおうと調子のいいことを考えた。返すときにこちらからもなにか貸してあげたらいいかという考え(笑)。そしたら貸してくれるどころか1冊あげますと送ってくれた。

表紙を見たら「これは、これは」となった。カンバーバッチ、すごい美形やん。ネットでうわさは聞いていたが、これほどとは。表紙をめくったところにあるワトソン博士と並んだ写真もステキだ。「あれっまあっ〜」と開いたり閉じたりして眺めていた。これは映像見なければ。実はまだ彼のシャーロック・ホームズを見たことがない。超遅れてる。

「パブ シャーロックホームズ」は大阪にある英国パブで先日40周年を迎えた。明日は晩ご飯を外食するつもりなので、ちょっと寄ってフィッシュ&チップスでギネスを1杯飲んでこよう。

ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q Pからのメッセージ 上下』

久しぶりに北欧ミステリを読んだ。振り返ればスウェーデンの作家ヘニング・マンケルの『殺人者の顔』を最初に読んだのが2001年(原作は1991年発行)。それ以来たくさんの北欧ミステリが翻訳されてきた。最初は出版されたらみんな読むようにしていたが、だんだん追いつかなくなり、全部読むぞという快挙は無理になった。いま振り返って16年経っているのかと驚いた。久し振りに読んだ北欧ミステリはおもしろかった。

デンマークの作家ユッシ・エーズラ・オールスンの第1作『特捜部Q 檻の中の女』を読んだのは2011年、すごく入れ込んで読んだのだが、犯行の残酷さにひるんで次作を買うのは控えた。犯行以上に被害者の意思の強さに揺すぶられ、特捜部Qメンバーの推理力、実行力に惹かれたものの、また今度とかいいつつ日にちが経った。今回は友人Sさんが貸してくださったのでこれ幸いと読んだ。やっぱり残酷な犯行が描かれ、それを追う特捜部Qのメンバー、カール・マーク警部補とアサドとローセの地べたを這うような捜査が描かれる。

発端はメッセージが入ったボトルだった。曲折を経て特捜部Qに届いたボトルからメッセージが発見される。ほとんど消えている文字を判読しアサドとローセが調査にのめりこむ。他の事件で働いていたカールがもどって加わる。残虐な犯人を気持ち悪く描いているところがあまり好きでない。だけど負けずに真っ当に生きようとする人間を応援する姿勢が基本にあるから、最後までしっかりと読める。(吉田薫、福原美穂子訳 ハヤカワ文庫 上下とも800円+税)

第19回大阪翻訳ミステリー読書会

日時:7月14日(金)18:45〜
場所:大阪駅前第二ビル
課題書:『拾った女』チャールズ・ウィルフォード著/浜野アキオ訳/扶桑社文庫

早めに出てシャーロック・ホームズで夕食を食べて、店主や客と雑談して隣のビルにある会場へ時間通りにいった。
最初に課題書を知ったときは、なんで1955年に書かれた本をいま取り上げるのかわからなくて、主催の影山みほさんはどういう基準で選んだんだろうと不思議だった。表紙のデザインはいいけどと言いながら読む気が起こらず日が経っていき、ぎりぎりに本を開いたら、なんと!著者のチャールズ・ウィルフォードは昔愛読していた『マイアミ・ポリス』のシリーズ3作を書いた人だった。

小柄でブロンドの美しい女ヘレンがハリーが働くカフェに一文無しで入ってきて、ハンドバッグをなくしたという。ハリーはヘレンに酒をおごり、連れ出してホテルに泊まるように世話する。翌日お金を返しにきたヘレンと過ごすために仕事をやめて夜の街へ出ていく。二人はそれから一緒に暮らし始める。ハリーは画家として立つように教育を受けていたがいまはその未来を捨て去っている。ヘレンはハリーに肖像画を描いてくれるように頼む。たまたま200ドルの金が入ったのでハリーは酒代以外に絵の道具を買い整え創作を始める。
だが、酒なくしては生きていられないヘレンとハリーの思いは「死」へと向かう。
そこまで進んできた物語は一転外の世界と関わるようになる。うんうん言いながら読んできたのが、おうおう、そっちへ行くかと切り替える。最後に「そうきたか」と感心して読み終わった。書いたらネタバレになるからここまで。

わたしは感想を話すとき、これは「純愛だ」と叫んで笑いをとったが、会の終わりに「どこが純愛や」と反論あり。この本のテーマが「純愛」なんですけど。
中心の話題は、アメリカの50年代のこと、人種差別のことなどかなり深いところまで語られてました。

ミステリ読書会のおかげで出てきた本

次回の大阪翻訳ミステリ読書会は7月14日に開かれる。課題本チャールズ・ウィルフォードの『拾った女』(扶桑社ミステリー)を「知らんなあ、まあ買うて読むか」とアマゾンに注文した。届いた本は去年の7月発行なので、まだ新しい本なのだ。けっこう古い人だと思いこんでいたのでなんだかよくわからん。表紙カバーの絵はおしゃれで新しい感覚だと思える。眺めていたらカバーを曲げたところに著作紹介があって、『マイアミ・バイス』とある。あれまあ、『マイアミ・バイス』とは、あの部長刑事さんだ!とすぐにわかった。そして「この本もってるやん、探したら出てくるで」とつぶやいた。

天気が良くなったのをさいわいに、物入れを開けて本の段ボール箱を引っ張り出す。大きいと重くて持てないので小さめの箱に詰めてある。持てる精一杯の量が詰まっているのを、おっちらと引っ張り出して探した。もっと時間があったらえらいこっちゃになるところを、探すだけで次々と元に戻す。
あったあった、3冊いっしょに出てきた。『マイアミ・ポリス』「あぶない部長刑事』『部長刑事奮闘す』。よーし、読書会に持って行こう。
だけど本命の課題本『拾った女』をまだ読んでない。

エドワード・D・ホック『怪盗ニック全仕事〈4〉』 を読みだした

昨夜は早く寝ようと思ってたけど、先日木村二郎さんに送っていただいた『怪盗ニック全仕事〈4〉』(エドワード・D・ホック 木村二郎訳 創元推理文庫)を読みはじめたのと、届いたばかりの美しい本『ヨーロッパの幻想美術-世紀末デカダンスとファム・ファタール(宿命の女)たち  海野 弘 (著)』を開いては閉じ、また開いては閉じして遊んでいたのでやっぱり遅くなった。

今朝はお昼前に起きてカンタンサンドイッチをつくり、かぼちゃの水煮があったので豆乳でスープにして食べた。
午後から昼寝をぐっすり1時間。天気が良いので洗濯物が乾いて気持ち良い。
夕方起きてきた相方が晩ご飯にカレーのうまいの作るわといって買い物に行った。
昨夜の読書の続きで『怪盗ニック全仕事〈4〉』を読む。久しぶりのニック・ヴェルヴェットの仕事の話がおもしろい。1〜3と読んでいてそれぞれおもしろく読んだんだけど、今回は格段におもしろい。本の内容がわたしのいまの心境と合ったのかなあ。
だいたい本が届いたときに開いてそのページを読んだらニックのガールフレンドのグロリアが別れ話を言い出していた。「あれまあこの二人どないなるん?」と開いた本を立ったまま読んだわたし。わたしはこのカップルが好きなのである。まだまだ全部読み終われない厚さの本で楽しみ〜

晩ご飯は豆腐のステーキと野菜のサラダとカレーライスとビール。それぞれうまかった。
少しのビールでまっかっか。